一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

終戦記念日の4時から男(後編)

2020-08-26 00:06:19 | 新・大野教室

第7図以下の指し手。▲2二と△1三香(投了図)
まで、Shin氏の勝ち。

第7図で△1四歩▲同玉△2五角以下の詰めろがかかっており、▲1二とも△1三香▲同と(▲同角成もある)△1四歩で負けと読んだ。ここでも△3二桂が、うまい具合に2四歩を支えているのだ。
といって▲2六歩と指す気も起こらず、私はヤケの▲2二と。Shin氏の△1三香に投了した。
途中までは敗勢だったが、終盤は逆転して私の勝ちだった。心の整理がつかないまま感想戦となる。焦点は第4図の▲4三歩で、△同金ならShinの勝ちだったと思う。
ところが局面が飛び、Shin氏が
「(第7図からの)▲2二とでは、▲6三銀成△同玉▲6四角成(参考A図)であぶないと思いました」
と吐露したから驚いた。

「エッ、そんな手があった!? ▲6四馬の形になって金銀があれば詰むでしょ。△7二玉に▲7三金で」
以下△6一玉▲6二銀△5二玉▲5三銀成……。簡単な追い詰めである。「詰んでた!? じゃあ▲2二とが敗着か!!」
私は再び叫ぶ。いやこれは久々にやってしまった。だが▲6三銀成が見えなかったのだからしょうがない。
「私は(大沢さんとの対戦成績の借金を)ひとつ返せてホッとしましたよ」
とShin氏。
改めて感想戦を続ける。終盤の▲4三歩には△同金が正着であろう。以下▲5二馬には△3二銀がピッタリだ。Shin氏は△4三同金に▲4四歩を気にしたが、それも△同金で構わない。私は金1枚では何もできない。
それなのに▲4三歩に△3一銀打はココセっぽく、流れは私に傾いた。
第5図からの△1七金でも、△1七歩成がベターである。だが私は△3二金も気にしていた。検討では▲4三桂△2一玉▲4四銀くらいで先手勝ち、と結論づけたが、そこで△2二金打と強防してどうか。これでもShin氏が残していたと思う。
本譜△1六歩には▲1八玉を検討すると、わずかに詰まなかった。だがソフトに掛ければ、意外な筋で詰むかもしれない。
第6図からの△3二桂には、▲同香成△同玉▲4四桂△4三玉▲4二角成△同玉▲3一角(参考B図)以下詰みで先手勝ち。そこを▲2三桂はひどかった。

いや、最後の最後にヘマをやって、私はボヤキまくった。
さて、私は次、誰と指すのだろう。
ところがShin氏は早速Og氏と対局をし、ほかの4人も対局もしていて、私ひとりが残ってしまった。仕方ないから今日はこれで上がりとし、対局観戦である。
Shin氏はOg氏の振り飛車にエルモ囲いを採り、相変わらずの作戦巧者ぶりである。ほかの2局も面白い。
Og―Shin戦は、終盤はShin氏が二枚飛車で必勝形だったが、Og氏が△9三玉で耐える形で、最後にうっちゃった。この辺が元奨励会初段の剛腕で、私たちオジサンはなかなか勝ち切れないのだ。

全対局が終わり、少し雑談。Yos氏は還暦を過ぎているが、現在再就職先を探しているという。確か警備の仕事をしていたと思うのだが、そこは辞めたらしい。私はYos氏に就職先を世話してもらうことも考えていたから、誤算だ。
「私の職場なら、履歴書を出せば即採用ですよ」
「そうですか。私はでも、まだ営業の仕事に拘っているところがあるのです。でも歳がいってて」
「大沢さんはいくつなの?」
「50代です」
「なんだまだ若いじゃない」
「……」
長崎県川棚「あんでるせん」のマスターは、「50代の人には40代の人が、60代の人には50代の人が若く見える」と言ったが、その通りらしい。
さて、食事である。佐藤氏は帰ったが、それでも総勢8人で、久々の大人数である。熟年夫婦が営業している定食屋に行った。お盆期間だが店は開いていて、客は私たちだった。これで十分にソーシャルディスタンスを取れる。
ではここで、席の配置を記しておこう。

出入口
   Yos    大野  Shin
壁   □    □    □
  Taga Tok Og W 一公
     壁

ここの定食はどれも美味いが、私はから揚げ定食を頼んだ。美味しくいただき、食後はゆんたくである。
私は夏子さんのことを話したが、まあ、私の席の周りは当ブログの読者なので、新たな情報はない。ただ、私とOg氏との会話に熱が入ってしまって、間にいたW氏は若干迷惑だったようである。
帰り道はShin氏、Yos氏、Tok氏と駅まで一緒だ。私は夏子さん絡みの話を続ける。
「当時は20代(後半)で結婚なんて、早すぎると思ってた。30代でもどうか、っていうところ。40代で結婚してもいいと思ってたよ」
と私。するとShin氏が
「いまの(晩婚の)風潮ならそれもアリですけど、私たちの若いころって、その認識がありました?」
「……」
Shin氏、私の強がりにサラッと流してくれればいいのに、そこは厳しく衝いてくる。昨年就職した会社は、ミーティングでの社長の追及が厳しかったが、あれを思い出した。「あ、ああそうだね、オレも1988年前後の女性の平均初婚年齢を調べたけど、25.7歳だった」
「じゃあ男性となると」
「27、8歳だろうね」
「じゃあ……」
20代で結婚しても、早くないじゃないですか、というわけだ。傷口をえぐるわぁ、Shin氏。
あー、26年前の9月15日の渋谷に戻りたいと思った。
コメント (2)
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