一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会(4)

2024-06-29 23:46:03 | 将棋ペンクラブ

第8図以下の指し手。△――
まで、87手で一公の勝ち。

「負けました」
第8図で、なんと加藤結李愛女流初段が投了してしまった。私はびっくりである。
「△8六角成▲同玉△8四飛があるじゃないですか」
私は言う。以下予定では▲8五飛だったが、△8二飛▲同飛成に△6四角の王手竜がある。
よって▲8五飛では黙って▲8五歩か。以下△8二飛(参考B図)。

このとき、先の「▲2二金△4一玉」の交換が不必要になってくる。これがなければ、▲2一飛△同玉▲2二銀で上手玉が詰むのだ。
……あ、そうか。だからやはり「▲2二金△4一玉」はいらなかったのだ。この詰めろを残しておけば、上手は△8四飛の王手馬を掛けるヒマがない。△2三金と成桂を取れば、▲8五歩とでも打って下手必勝なわけだ。
もっとも参考図でも、▲3三成桂と取る手が大きく、下手の有利は動かない。
いずれにしても加藤女流初段は劣勢を自覚し、潔く駒を投げたというわけだった。
「大沢さん、▲3三飛成と金を取るとき、すごい迫力でしたよ」
と山野氏が言った。私の背後で観戦していたらしい。
自分ではそのつもりはなかったが、知らず知らず、加藤女流初段に脅威を与えていたのかもしれない。
その山野氏と手合いがついた。彼は横歩取り△4五角をやる気満々なので、私が先手を持って指す。

定跡通り進んだが、図の△4五桂が見慣れぬ手。ここは△5四香が定跡で、以下▲8五飛△2五飛▲同飛△同歩▲8五飛と進んだ気がする。
本譜は▲6六馬と引いたがやや疑問だったようで、△5四香と畳みかけられ、形勢を損ねた。
終盤も私の惨敗形なのだが、山野氏は詰ましに来ない。だから私が詰ましにいったが、全然詰まないのに山野氏が雑な玉の逃げ方をするので、詰むや詰まざるやになってしまった。
結局詰まず、私が投了。すると、観戦していた美馬氏が「この筋で詰まない?」と言う。調べるとそれでも詰まなかったが、際どかった。さすがにアマ強豪の視点は違う。
これで対局は終了。全体的に、女性の参加者が少なかった。たぶん1人で、数人が集った数年前とはエライ違いである。いまは「観る将」が流行りだが、私たちは「書く将」「読む将」で、女性ファンの入る余地は少ない。これの女性陣が気づいてしまった。
表彰式&自己紹介では、5勝の人がいた。見たことのない若者で、彼はどこから来たのだろう。
私は2勝だったが、意外と早く呼ばれた。
「私は女流の先生から2勝したんですけど、女流からの勝利は1勝で10勝分になるので、きょうは私が最多勝だと……」
景品は、加藤女流初段の「結実」の色紙をいただいた。
全員の自己紹介が終わっても棋書がはけないので、追加で1冊、持っていっていいことになった。私は中原誠十六世名人と南芳一九段の著書と迷ったのだが、南九段の「地蔵流実戦次の一手」(マイナビ出版)をいただいた。
ここから懇親会である。こういうとき、将棋会館と違い、椅子と机がくくりつけなのでラクだ。缶ビールやつまみが揃い、乾杯となる。音頭はもちろん窪田義行七段。会場が御徒町に移ってすっかり棋士の参加がなくなったが、窪田七段だけは、毎年参加してくださる。ありがたいことだ。
軽食は湯川恵子さんのお手製。恵子さんの料理はいつも美味い。これをいつもいただける博士氏は幸せ者なのだが、当人がそれに気づいているかどうか……。
私の対面にはA氏がおり、ふたりでおしゃべりしていたら、周りに何となく集まってきた。
この中で異色だったのがK氏で、彼は元高校竜王。現在は東京大学に通っているという。今回は美馬氏に勝ったらしく、そういえば美馬氏は4勝1敗だったが、その1敗はK氏に食らったものだったのだ。
K氏は関西が地元らしく、今回はわざわざ東京までお疲れ様、と思ったら、東大だからもう東京に住んでいるのだった。
しかし東大か……。どういう勉強をしたら東大に入れるのかと思うが、当人は勉強でつらかった記憶がないという。
どうも、彼には将棋と受験勉強が同列なのだろう。受験勉強も将棋と同じく楽しかったに違いなく、乾いたスポンジに水が吸い込まれるごとく、知識を得ていったのだろう。
そんな彼には社団戦に入ってもらいたいが、彼はすでに東大チームからスカウトが入ったという。それじゃダメだ。
いっぽう美馬氏はあす5月26日、アマ竜王戦茨城県予選2日目に出場するという。そのため同日の職団戦は休まざるを得ないという苦渋の選択となった。お疲れさまである。
懇親会は2時間の予定だったが、1時間で終了。なお、まだ棋書が余っている、持って帰ってよい、とのことだったので、中原十六世名人「決断の一手!」(楽天ブックス)をいただいた。
二次会があったのかなかったのか知らぬが荷物も多くなったし、「あさこ・梨乃・かしゆかの5万円旅」も見たかったので、そそくさと帰宅したのだった。
また来年、何事もなく参加できればうれしい。
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