時代設定が、1963年5月~6月となっています。
導入部では、コクリコ荘と港南学園のあいだの街(横浜の坂の多い一画)が描かれます。
63年は、東京オリンピックの前年だ。
隅々まで描かれています。こういうのが好きなんだなあ。
これは、別のシーンですが、風間俊が家に帰るところ。
写真屋という設定だそうです。
このあたりまでで、ある年代層は確実に取り込まれてしまっただろう、と思う。
キーとなる写真1葉。
松崎海さんの下校風景。シーンはちがう。
“ ジブリの女の子 ”はマジメでつよい。嫌味に聞こえるなら、“追求心”が強い。
それにしても、2枚目の雨滴の描写には、うっとりしてしまいました。
オリンピック前の都市の描写。
東京の出版社だかを訪れた、風間俊・松崎海・水沼史郎の3人。
右上の「日本刀全集」がおかしい。
高校生の日常生活が中心だから、どうということはない。
しかし、じわじわとなにかが沁みてきている。
制作発表から何十年も前に宮崎駿の山小屋に彼の姪や甥が遊びにきていて少女漫画雑誌が
置いてあり、その中に載っていた原作漫画を気に入った駿が長年映画化を検討していた。
そして前作(2010年)の『借りぐらしのアリエッティ』制作中に正式に映画化されることが決定した。
アリエッティの監督は米林宏昌さん。
コクリコの監督は宮崎吾朗さんです。『ゲド戦記』につづいての監督2作目。
宮さんは製作作業中は、一切、口を出さないし、顔も出さなかったとテレビで
見た記憶があります。
それでも(だからか)、宮さん得意の飛行機ではない、船も出てくる。
2枚目は、もはやエンディングですね。
下宿屋であるコクリコ荘と港南学園の部室棟である木造の「清流荘(カルチェラタン)」の
2ヶ所が、この映画の主な舞台になっています。
集団の中でのコミュニケーション、友人たちとのコミュニケーション、東京に訪ねて
行ったコミュニケーション、恋もひとつのコミュニケーション、ということで、
このあたりがテーマなのかな。
毎日掲げる、船の信号旗もそういって、いいんじゃないか。
63年という背景の中で醸し出されたそういったものが、じわじわと沁みてきたんですね。
「朝鮮戦争」なんていう話もちらとある。
ここには、ファンタジーはない。
宮さんは、完成試写のあと、ほとんどコメントしていなかったと、テレビで見ています。
さっきのテレビの中でです。
“じわじわ”に、ドキッとしたのではないか、と思ったのですが、
どうか。