AKB48の旅

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2013 真夏のドームツアー ブルーレイ「福岡ヤフオク!ドーム 2nd day」

2013年12月20日 | AKB
篠田さんの卒業コンサートということなんだけど、全体の構成というか基調が、これまでの、例えば去年の東京ドームの前田さんのセレモニーなんかと明らかに違ったものだった。その違いを一言で乱暴に言い切ってしまうなら、「上がり」感かな。篠田さんにとっても、メンバーにとっても、これでもう思い残すことはない、そんな本当の意味での「卒業」感。

篠田さんの佇まいは、ほぼ達観というか、淡々とした表情が多かったように思うし、高橋さんを始め、メンバーも、ある種、納得の雰囲気を醸し出していたように思う。それを裏付けるかのように、全体の構成にしてもセトリにしても、ユニットメンバーの選び方でも、明確に意識されていると思われるのが、世代交代というか、「新陳代謝」だった。

その白眉が、前半後半を分ける巨大回転舞台から飛び出す、後の新チーム4を含む当時の研究生による「PARTYが始まるよ」であることに異論はないと思う。この「PARTYが始まるよ」に、去年の東京ドーム初日が、引いてはAKB48劇場初日が意識されてることは明らかだし、先日触れた「Party is over」のモチーフになってると考えても、深読みとは言えないんじゃないか。

そして、予想されていたこととは言え、チームAキャプテンに横山さんが、篠田さんから直接指名されたこと。キャプテンの委譲という事実以上に、その様子は象徴的な意味を強く感じさせてくれた。横山さん自らが「してもらったようにしていく」と書いてたけど、そしてそれは部活的な意識だったのかも知れないけど、AKBという組織にあっては、それは正に新陳代謝と同義になる。

前田さんの東京ドームでのセレモニーは、ぶっちゃけ、死と再生の儀式だったと見なして良いと思う。それは前田さん自身にとってのそうであったように、実は残されたAKBという組織体にとってもそうだった。その後の前田さんは、たちまちのうちに「再生」を果たすことになるんだけど、AKBサイドは、そうは問屋が卸さなかった。既述のように、指原AKBとして再生を果たすまでには、1年近くを要したことになる。

前田さんの「卒業」に際しては、AKBの根本的な構造改革、つまりは脱学習と再学習過程が必要だった。けれども、篠田さんの場合は、飛ぶ鳥跡を濁さずとでも表現すれば良いのか、はたまた組織寿命を終えたパーツの、自律的な剥離とでも表現すれば良いのか、どういう記述を選んでも誤解を招きそうなんだけど、動的平衡→励起状態の組織であるAKBの自然の営みとしての、正に「卒業」だったと言うことなんだろう。

ちなみに、この「福岡ヤフオク!ドーム 2nd day」のセトリの中から一曲選ぶとしたら、篠田さんの卒業コンサートであるにもかかわらず、さっしーがソロで歌った「君は僕だ」を選びたい。前田さんの持ち歌を、秋元氏の許可を取らずにAKBのコンサートで歌うというのは考えにくいことだし、であるならば、この選曲が秋元氏の意思である可能性は十分にあることになる。

そしてそれは、前田AKBからの正当な継承宣言と受け取ることが可能だし、そういう秋元氏の認識という風に取れる、極めてクリティカルな一曲と言うことになる。