閉伊川ワカサギ博士の何でも相談室

Welcome to Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER 森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

宇宙への誘い4ーアインシュタインの宇宙定数

2009-10-31 | 宇宙へのいざない
 光までの距離が変わると色が変わる。色がどう変化するかを見てどのくらいの距離かを測定できる。

 ハッブルとヒューメイソンが銀河が遠ざかる速度を分光観測で測った。銀河の距離はパッブルの法則に従うと、遠い銀河ほど大きな速度でわれわれから遠ざかっている。

 ハッブルの法則は宇宙の膨張をよく説明できる。どの銀河も四方へ広がるように見える。宇宙は膨張するのである。

 しかし、このハップルの法則が出る前は、宇宙は停止していると考えられていた。1916年、一般相対論であるアインシュタインの方程式で、静止宇宙の解を得るためにλを導入した。一方で、1920年フリードマンとルトールは宇宙は膨張しているということを唱えたが、アインシュタインは認めなかった。

 しかし、ハッブルの法則が発見されてから、アインシュタインは「人生最大のミスであった」と語ったという。しかし、この宇宙定数こそが、”宇宙膨張は加速している”という近年の発見(ダークエネルギー)を予言していたのである。
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宇宙への誘い3ー天の川銀河の形

2009-10-29 | 宇宙へのいざない
 宇宙にはたくさんのちりがあるのをごぞんじだろうか?,チリによって星間減光の波長依存性があるが、可視光よりも赤外線で小さい(チリがじゃまをして見えにくくするが,赤外線で見るとよく見える)。そのため、天の川銀河は川の様な形状をしている。しかし、赤外線で見ることで実際の天の川はいて座の方向を中心にしておわん形をしていることが分かったのである。

 現在,遠赤外線で天の川の観測を行っている。銀河系の中心にある変光星を灯台にして中心までの距離を測定するために、1364 個のミラ型変光星を発見し観測が行われた。その結果、銀河系中心までの距離は2万7千光年であることが明らかにされた。
(写真は天の川銀河=Wikipediaより)
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宇宙への誘い2ー銀河は独立しているのか?

2009-10-27 | 宇宙へのいざない
 1920年までは、セファイドによる銀河の距離決定はできていなかった。たとえば、球状星団はわかるのであるが、渦を巻いた天体はどこにあるのか、マゼラン雲は星がなく100分の1の大きさであるが、それらの大きな違いはわからなかった。
 
 渦巻星雲の大きさは2つの考え方があり、大論争がおこった。銀河はそれぞれが別であるのか,それともそれぞれの銀河は一つの塊の中に一緒に存在するのかどうか。しかし、ハッブルはこの論争に終止符を打った。

 セファイド変光星をM31,M33星雲で発見したのである。そのことで本来の明るさがわかり、それぞれの渦巻星雲を調べると90万光年であった。これをきっかけに銀河は独立しているのである,ということを証明した。ほとんどの渦巻き銀河は、数100km/s以上で遠ざかっていることもわかった。
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宇宙へのいざない1ー宇宙の科学での大発見”セファイド変光星”

2009-10-27 | 宇宙へのいざない
 六本木ヒルズで開催された、東京大学宇宙教育研究センター研究員による宇宙へのいざないの講義を拝聴した。

 天の川は400年前にガリレオガリレイにより発見された。ちょうど今から400年前の1609年だ。
今日は天の川の中心まではどのくらいなのか、それを明らかにした科学者たちの歴史、科学史を紹介する。

 地球から星までの距離は三角測量による方法によって、年収視差で距離を測ることができた。
1兆km=1光年の1000倍まではこれでわかるがそれ以上はわからなかった。
この方法では、天の川の全体像はわからなかった。

 1920年になって標準光源を利用する方法が女性科学者ヘンリッタ・リーヴィットにより開発された。
それは、次のような原理である。

 「同じ明るさだったらと奥にあるほど暗く見える。これと同様に本来の明るさが分かれば、みかけの明るさから距離を求めることができる。例えば、星の明るさは、シリウスは太陽の23倍、ベガは50倍、ベテルギウスは13400倍であるが、地球からの距離が遠いので、1.5等級、0.0等級、0.4等級である。」

 しかし、距離がわかるためには、本来の明るさがわかる星がないといけない。リーヴィットが発見した星は周期的に膨張収縮を繰り返し、明るくなったり暗くなったりする。小マゼラン雲のセファイド変光星だ。1700個のセファイド変光星があることがわかり、周期が長い星ほど,本来の明るさが明るい星であることを発見した。このことから、周期が長い星は宇宙の灯台として使うことができる。さらに、みかけの明るさとの差を求めると距離が推定できるのである。(つづく)
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大学のもう一つの役割とは?

2009-10-22 | 水圏環境リテラシープログラム
都内大学院生(社会人入学生 三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員)が水圏環境リテラシー教育推進プログラムに関する取材に来学。

 1 環境意識を持つ市民を育成し,地域社会を作っていくには,環境教育の実践が必要である。社会の要請にこたえるためには,その環境教育の仕組みをどうやって作っていくのか,そのための枠組みはどうあるべきか。
 2 その上で,文科省の現代GPはどのような役割を果たしているか?
 3 最近,大学の傾向として環境調査のスペシャリストを目指す向きがあるが,その点についてどう思うか?

 これらの質問は,環境教育活動の主体者にとって的を得た質問だ。大切なことは,大学の社会連携であろう。社会連携とは大学の知識を活かしつつ,地域の問題解決に当たる,地域住民のために大学が関わりながら地域のアウトリーチや教育を推進していくことである。
 
 地域と研究開発を繋げる分野が必要だ。アメリカの大学では,「シーグラントカレッジシステム」が存在し,研究分野とアウトリーチ,教育活動分野の両方の機能を持ち,それぞれが専門家として分担し活躍する。地域住民だけでなく,政府機関にとっても,地域の実情をよく理解した大学の存在はメリットが大きい。

 アメリカにはシーグラントカレッジが32カ所有り,それぞれの大学に設置されている。年間50億円の予算が政府から市急されっる。政府機関であるNOAAと直結した活動を実施している。日本においても,地域や政府と直結するしくみや,大学の専門機関設置や人材育成のプログラムが必要であろう。
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外来魚は誰の責任?

2009-10-20 | Weblog
 日本魚類学会主催の放流についてのガイドラインに関するシンポジウムが東京海洋大学で開催された。

「水産放流」と「善意の放流」について議論がなされた。
水産放流とは国の法律に基づき食糧を確保するという目的で義務として行うもの。
善意の放流とは,ペットがかわいそうだから放流するというもの。
これら2つは,生態系を攪乱させる大きな原因になっている。

 水産放流は,漁業権が発生する魚種は,放流義務が課せられる。その結果,本来その場で捕獲された水産生物を放流すれば良いものを,人間の都合により放流を行ってきた。例えば,琵琶湖のコアユの放流は全国各地で実施されてきた。大量のコアユが放流された。そのため,閉伊川でもそれまで確認されていなかったオイカワ,ニゴイ,カマツカ,イチモンジタナゴ,ギバチなど様々な魚が生息するようになった。この放流義務は,漁業権を与えられる漁業協同組合に対し義務化されているものである。

 この事業に対して,もう一度原点に返って公の手に戻す事が必要なのではないか?一般市民からは,河川は漁業権だけでない別の整備が必要なのではないか,合意形成により河づくりをすすめるよう目を向ける必要がある等の意見があがった。最後に,行政が変わることが必要であるとした。

 善意の放流について,パネリストは,研究者一人ではかなわないが,いろいろな場面で情報を発信し市民の要請にこたえる必要があるとした。また,里親制度など体験学習の機会が増えているので,小学校5年生のメダカの話や中学2年での外来種について,学校の先生を通じて教育していくことも求められる。という提案があった。

 ある市民から「研究者がもっと市民の中にはいることが必要だ。正確な情報と知識,生き物への気持ちを持ってもらうために研究者は市民の中にどんどん入って欲しい」と期待する発言があった。
 
 それに対して,ある研究者は「事例があれば説得しやすい,リスク評価を実施することを自分自身で行うように,啓発,教育が必要であり,インタープリター養成講座を県が単独で実施しているが,今後大学でも一緒にやっていきたい」と答えた。また,「ある県では,理科エキスパート事業を実施していて,学校に専門家を派遣する制度を作っているが,情報不足である。研究者が積極的にそうしたところアピールして欲しい。一般の人に教える活動があるといい。」という声も上がった。

 最後に,主催者側から今後の取り組みとして,この放流魚の問題について,研究者は「一般の人々にも分かりやすい啓発書を発行していくなどの活動をしていきたいと考えている」と語った。
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 アメリカのシーグラントの記述で紹介しているが,日本ではいまだこうしたアウトリーチの専門家が存在しない。まして,専門家の研究業績を分かりやすく市民に伝えるエデュケーターの専門家も存在していない。ほとんどが,ボランティアでアウトリーチ,教育活動のようなものを実施しているというのが現状である。現在,水圏環境リテラシー教育推進プログラムで人材養成が始まったが,受け皿がない状況だ。市民の要望にこたえるためにも,日本版シーグラントなど社会システムの構築が必要になるだろう。
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マルセイユの海洋教育ー9 旧マルセイユ港を見る

2009-10-19 | フランスの海洋教育
 マルセイユの大型ショッピングモール前には2600年前の港跡が展示されている。ショッピングモールを建てるために掘り起こしたところ,出土した。今から4年前だ。市民の運動によって港跡を観光地として残すことになったという。この港跡の周辺は,埋め立てが広がり,海水はないが,石造りのしっかりした堤が展示されている。

 マルセイユは,地中海の最古の港として栄え,ギリシア,モロッコ,エジプト,トルコなど多くの国々と往来があった。また,天然の良港として漁業の町として栄えた。
 
 しかし,近年は漁獲も少なくなり,漁師の数は1000人足らず。魚港はレクレーションの港へと変貌した。
 
 ショッピングモールの食品売り場で買い物をした。肉とチーズ,バター,ヨーグルト等乳製品がほとんどである。魚は少ないという印象だ。鮮魚は皆無であった。スモークサーモンや,スズキなどの白身魚,冷凍エビなどマルセイユでは水揚げされていいないような魚介類だ。
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マルセイユの海洋教育ー8 マルセイユ領事館

2009-10-16 | フランスの海洋教育
セカルディー博士に案内され,マルセイユ領事館を訪問。番馬総領事と1時間にわたり会談。セカルディー博士は日仏学術交流の功労者で旭日中綬章受勲者である。
総領事「海洋学は幅が広いがどの分野なのか?」

ワカサギ博士「日本は,海を食と捉える。アメリカは環境問題だ。フランスも環境問題だ。」
総領事「これは,一神教的なものから来ているのだろう。一度決めたことは最後まで信じるというところが西洋にはある。それが良心へと訴えかけてくる。したがって,海を環境問題の対象とする傾向になりやすいのではないか?」
と,長年フランスにおいて感じていることを話していただいた。

また,番馬総領事は,
「フランスの学校教育の特徴は,体験教育である。目の前の結論までのプロセスを重視している。なぜそうなのか,どう思うのかを,時間をかけて教えている。そのため,体験活動を取り入れたあと,そのままで終わることはない。振り返りの時間を多く取っている。何でもいいからとにかく,話させ,感想を述べ合うことが多い。体験活動はすぐに答えが出ない。しかし,フランスの教師はすぐ結果が出なくても,徐々にステップアップするよう工夫している。体験を無駄にしない。体験活動を体系化するようにしている。体験活動は積み重ねが大切である」
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マルセイユの海洋教育ー7 オフィスデラメール

2009-10-15 | フランスの海洋教育
 ダウンタウンにある海洋教育施設「オフィスデラメール」を訪問。ちょうど,マルセイユ港を囲み市役所の対岸に位置する。日本語に訳すと海洋事務所である。施設といっても,海洋教育を直接行う機関ではない。マルセイユ市の海洋教育を統括する役割を果たす。ここは,20年前はNPOであったが,現在は国,州,マルセイユ市が支援する公的な機関となっている。
 
 主に海洋を守るための教育普及活動を行う。200あまりの海洋に関する諸団体をつなげており,8つのテーマに取り組んでいる。そのテーマは,主に海洋保護に関するものである。

 ミッションとしては海を通したマルセイユ市のイメージアップ,海洋環境に関する仕事を広める,一般人への海の環境保護を訴えることだ。この点は,水圏環境リテラシー教育に通じるものがある。
 
 4年前より進めているキャンペーン「オーシャンリスペクト」をNPOと共に実施している。このキャンペーンの目的は,ゴミ問題,海洋汚染が深刻化している中,この解決の第一歩として,観光客,一般人,児童生徒の意識を高めることである。

  また,セプテンバーアクションという取り組みをNPOと共に実施している。このイベントではNPOと共に9月の1ヶ月間を通して海洋保護に関するイベントを実施している。毎日各地で海洋教育に関するワークショップを開催している(写真:Miss FONTAINEへのインタビュー)。
 
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マルセイユの海洋教育ー6 マルセイユ市立海洋教育学センター

2009-10-15 | フランスの海洋教育
 ニースから2時間半でマルセイユに戻る。セカルディー博士の出迎えを受ける。市立海洋教育学センターを訪問する。

 ここでは,教育者が3名と事務職員が1名配置されている。50坪程の2階建ての建物は,1階に事務室と4つの教室,2階に大教室1つと準備室が2つある。主に小学校からの体験学習の受け入れを行っている。20年の歴史があるという。
 
 所長のレニー博士によるとフランスの小学校は,月に2回ほど学外に出て,体験的な探究的な学習を実施することになっており,キャンプや山登り科学実験などを体験する義務が課せられている。この制度は1970年代から実施されている。

 ワカサギ博士「なぜ,フランスでは体験活動を重視しているのですか?」
 レニー博士「確かに,時間がかかり,大変であるが,その分だけ知識を理解する時に早く理解できる。座学と体験はとても重要なのよ。」と語った。高校生は哲学が必修であるフランスは,知識もさることながら,体験の重要性を認識しているということだろう。

 このような体験学習を重視しているのはフランスだけではない。アメリカや,フィンランドも同様に体験学習に力を入れている。アメリカのカルフォルニア大学バークレー校が実施しているMAREプログラム,シーグラントカレッジのエデュケーターによる教育活動,フィンランドの学校と地域が一体となって実施しているナショナルフィッシングデーなどだ。

 体験活動の推進方法としては,国により違いがある。アメリカは32の州立大学に存在するシーグラントカレッジが中心となっている。フィンランドは,学校と地域社会だ。フランスでは,オフィルデラメールも海洋体験活動の中心な役割を果たす。
 
 いずれにしても,海洋教育を推進するために大学や公的な機関が関わり,国を挙げて体験活動に取り組んでいるようだ。日本は,それぞれの活動団体が個々に活動しているが,体験活動の社会的認識を高めるためには中心となる機関が必要になって行くであろう。(写真は海洋教育学センター,chaine alimentaire<食物連鎖>を学ぶための展示コーナー)
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