Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

三陸を舞台にした長編小説「深海のアトム」がはじまりました

2012-12-31 | 水圏環境教育


デジタル野生時代11月号から大型長編小説「深海のアトム」がはじまりました。

この物語には,様々な人物や場面が登場します。作者の服部真澄さんは「鷲の驕り」で吉川英治新人文学賞を受賞するなど数々の面白い作品を世に出していますが,地球温暖化の問題を扱った「ポジスパイラル」は海洋に関わる小説としておすすめです。

そして,この度「深海のアトム」が最新作。海洋に関する膨大なインタビューや研究成果を元にしながら,小説を通して前向きな提言をしております。


以下の場面は三陸が登場する場面です。
「陸北部,陸央部,陸南部。日本の一部だが,特区として陸滸(リアス)国と呼ばれる。陸滸国は,日本列島の東北にあるリアス式海岸の一帯。」「こんな恵まれた場所,世界を探してもほかにはないわね。まさに奇跡の海。これを放っておくなんて,あなたの国の政府はどうかしている」(「深海のアトム」より)

これからの展開がとても楽しみです。



港区教育委員会後援【第11回臨床教科教育学セミナー特別講演会in東京海洋大大学】を開催します。

2012-12-27 | ツイッター

港区教育委員会後援【第11回臨床教科教育学セミナー特別講演会in東京海洋大大学】を開催します。

臨床教科教育学は児童生徒の『学び合い』に着目した教育学である。『学び合い』とは,ラーニングサイクル理論にも通じるもので,社会構成主義学習理論の立場をとる。つまり,人は影響し合いながら学んでいる。知識や技術を一方的に与えるのではなく,学び合うことで知識が身についていくという立場である。臨床教科教育学はこの『学び合い』に着目して,どのように学習が深化しているのか,従来型の教育とどのような利点や課題があるのか等を情報を共有して検討している。

そのセミナーが東京海洋大で初めて開催されることとなった。学び合いといえば,シーマンシップの一つとして山本五十六の名言がある。

「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

今まで,教育的に正しいと考えられたことは,十分に検証されていない場合が多かった。『学び合い』では,学習者や教育者の行動や発話を元に分析をしていく。大変地味な作業であるが,一人ひとりの学びを分析する上で非常に有効な手段である。

第4回横浜市ブルーカーボン推進委員会

2012-12-18 | 水圏環境教育
横浜市ブルーカーボン推進事業は,横浜市が取り組むグリーバレー構想の一環で、陸上より吸収率の高い沿岸域の二酸化炭素吸収量に目を向けていこうとする取り組み。国連機関であるUNEPが提唱しているものであるが、実際に取り組んでいる自治体は私の知る限り横浜市だけである。

横浜市が取り組むグリーバレー構想の一環で、陸上より吸収率の高い沿岸域の二酸化炭素吸収量に目を向け抵抗とする取り組み。国連機関であるUNEPが提唱しているものであるが、実際に取り組んでいる自治体は私の知る限り横浜市だけである。

 今回の委員会も、具体的にどうブルーカーボン事業を推進するかが話題となり、横浜市から、アマモなどに二酸化炭素を吸収させるブルーカーボンと廃熱利用などのクリーンエネルギー、バイオ燃料などの利用などエネルギーの効率化を狙うブルーリソース、そしてわかめの種付けと摘み取りなどの環境啓発活動の3つをあわせて横浜ブルーカーボンとして提唱した。

3つの軸の関連性の明確化、時間軸の明確化などの必要性を指摘した委員もいたが、
二酸化炭素が目的化しているが本当に大切なのは何かといえば、人である。もっと人に焦点を当てたプログラムにするべきであるとの声もあった。

確かに、人々が流域や沿岸域の中でつながって生活していることの気づきを高めることによって循環型の生活スタイルを構築し、自然環境にやさしい生き方を推進することでやりがいや生きがいが生まれ、その結果として二酸化炭素が削減されていくといった成果がもたらされることが理想であろう。地域住民が持っていた昔の知恵に学ぶこともこれから必要になっていくであろう。

このような考え方は、里海の考え方にも通じていく。人間が手を加えることによって生物多様性が高まった状態を里海という。

このような里海の考え方は欧米でも取り上げられるようになってきている。もっとわが国から発信すべきことである。

また、こうした里海の取り組みは単なる生業でとどまらず、水圏環境教育活動にもつながっていく。先日、チリの講演でこのような発表をしたところ、フィジーの文部省の方から「大変共感できる。ぜひ、日本がそうした古来からの考え方を元に里海の概念を発信してほしい」と感想を述べていただいた。日本に対する期待が高まっていると感じた。

1月23日には、ブルーカーボン国際シンポジウムが横浜で開催される。ぜひ、横浜のみならず日本各地の取り組みを紹介する機会になればと願う。