Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

ワカサギ博士,デルタスメルトふ化施設を見学

2009-06-28 | ワカサギに学んだこと
 荒涼とした砂漠地帯が続くカルフォルニア内陸部に入ること60分,目的地であるデルタスメルト(私はカルフォルニアワカサギと呼んでいる)のふ化施設に到着した。UCデービス校の付属の施設である。責任者であるJoan博士(女性である)に,場内を案内していただく。この施設は,州政府が管理する揚水ポンプ場施設の中にあり,入室が厳重に管理されており,一般人は立ち入り禁止である。
 
 10名ほどのスタッフがおり,ふ化したデルタワカサギを交代で飼育管理している。各ステージごとに200L程の円形水槽で飼育しており,スタッフが丁寧に説明してくれた。
 
 はじめて生きたデルタスメルトを触ることが出来た。以前,研究者から聞いた話では,キュウリくさくて,触れたものではない。こんなものは食べられない。といっていたが,今回手に取った感触では,日本のワカサギによく似て,区別はつかない。匂いも決して強いものではない。むしろ,日本のワカサギより匂いがしない方である。ただ,之は天然ではないからとジョーンは話していた。

 彼らは,デルタワカサギを食べない。食べないものでも,これだけの施設と人員を配置しているのは,どのような背景があるのであろうか?

 ワカサギの餌であるコペポーダの種類が変わった。これは,船のバラスト水により,運ばれてきたものである。デルタスメルトへの影響が懸念されている。

 また,連邦政府の役人であるフリオより,40年間にわたり,デルタ地域で魚類の最終調査が継続的に実施されていることを聞いた。調査は,月1回,あるいは月に2回の割合で,トロール船によりリングネットを曳いて,生息魚類の個体数と生息域の経時変化を調査し,その結果をインターネットで公開している。

 デルタスメルトの産卵場はサクラメント川であると推定しているが,産卵場を具体的に推定することはほとんど不可能であるという。これまで,1個の卵しか発見していないという。また,水深が深く,透明度が悪いために,しっかりとした産卵生態が抑えられていない。

 その後,閉伊川ワカサギの生活史に関する調査結果を紹介した。特に,ワカサギの産卵遡上の環境要因,ならびに産卵床,そして産卵行動に興味を持っていた。



水圏環境リテラシー教育推進プログラムに対する激励のお言葉

2009-06-20 | 水圏環境リテラシープログラム
フィッシングカレッジにて水圏環境リテラシーを説明したところ,聴講された方から,水圏環境リテラシー教育推進プログラムに対する期待のお言葉を頂戴いたしました。この場をお借りしましてお礼申し上げます。

去る6月8日こよなく釣りを愛する奥山先生主催のFishing Collegeで題記のレクチャー拝聴しました。小生この一年余りこのFishing Collegeに参加し色々有益なお話を伺いました。なかなかためになりました。
小生そもそもは下手な横好きの釣りを東京湾で時おり楽んでいる所謂高齢者です。個人的には東京湾がきれいな海として資源にも恵まれた海(東京湾を江戸前の里海に)になってほしいと願っているものです。
今回のレクチャーでは教育者としての志がうかがえぜひ成功実現されるよう期待します。
小生も地球規模の環境問題、資源問題について我々はどうあるべきか。まずは日日の生活の中にするべき事があるように思います。
ある人は今一番の問題は市民の生活規範だと言います。
山、里(都市)、海これらを結ぶのが川でそこに住む人が果たす役割が相互に機能しすべてを飲み込む海が答えを出すのでは。
先生のvision は政府の教育指針に反映されるべきです。つまり普遍的コンセンサスが必要ではないでしょうか。我々日本人は世界一のfish eaterであります。だからこそ海はかけがいの無い大切なひとつの源なのです。こんな事を思っているのですが、今の若い皆さんがこのようなある意味では地味な事柄にどう対応されているのか知りたいものです。先生の生徒さんだけでは不十分です。
思いのままですが、ご活躍を祈ります。 

第2回閉伊川大学校開催

2009-06-15 | 閉伊川調査
 第2回閉伊川大学校が,宮古市中央公民館分館で開催された。エデュケーター9名が参加し,9月13日閉伊川中流域の湯ったり館付近で実施する水圏環境学習会のための教材(アクティビティ)の検討会が行われた。

 この学習会は,魚採りを通して,閉伊川を科学的にとらえ,そして豊かな閉伊川を体で感じてもらい,美しい閉伊川を後生に残す心を養うことを目的に行われる。

 前回の話し合いで,無理をしないように,そして出来るだけ体験を重視し,バランスよく知識を織り交ぜた内容とすることとした。これを受けて,事務局より,3つのアクティビティが紹介された。

 このアクティビティーは,上記の学習会の目的にあわせ,3つのプログラムからなっている。アクティビティ1,「魚のすみか」,アクティビティ2「科学者の仕事」,アクティビティ3「閉伊川を調査しよう」である。ラーニングサイクルをベースとするプログラムにすることを確認した。

 また,9月13日の予備日として,10月の第1週を当てること,「閉伊川を食べよう」では,地元の閉伊川漁業協同組合や保護者会から協力をあおぐことが提案された。

フィッシングカレッジにて水圏環境リテラシーを説明しました

2009-06-09 | 水圏環境リテラシープログラム
 フィッシングカレッジにて水圏環境リテラシーの必要性について話す機会を頂いた。

 今回は,はじめて具体的な日本における水圏環境リテラシー(私案)の中身を扱った。第1部では,水圏環境リテラシーとは「海の総合的理解」を示している。リテラシー教育では海が私たちにどのような影響を与えているのか,私たちは海にどのような影響を与えているのかを理解し,責任ある行動が出来る人材育成を目指している事を説明した。

 その後,参加者に6名ずつのグループに分かれて,水圏環境リテラシーは日本人に必要か,というグループディスカッションを実施していだいた。まず,大人の意見として,リテラシーという言葉がわからない,なぜ英語を使うのかというご意見,このような難しい語句を並べられても分からないという意見もいただいた。

 小中学校に海の教育がないということに関しても,疑問の声が上がった。日本人はfish eater であるにもかかわらず,海のことを知らないのは無責任ではないか。魚を食べるのなら,水圏環境のリテラシーを持つことは社会的な責任だ,というご意見も頂戴した。

 水圏環境リテラシー教育は必要であるという意見がほとんどであった。そして高校生からは体系的な教育プログラムがあると水圏環境リテラシーは高まる。ぜひ,水圏環境リテラシーを小中高の学校教育に導入して欲しい。その際,体験と知識を上手く組み合わせることが重要であるとする意見が3人の生徒からあがった。その理由は,我々は,水辺での体験がないからだ,ぜひ知識とともにそれと連動した体験を入れて欲しいということであった。

 そして,第2部として,水圏環境リテラシーをどのようにして普及するか,というテーマで話を進めた。ここで,昨年,閉伊川大学校で作成したワカサギとチカのプログラムのアクティビティを実施しながら,ラーニングサイクルの重要性について強調した。多くの参加者がアクティビティに真剣に取り組んでいた。プログラム終了後,ラーニングサイクルの歴史,その重要性について説明した。水圏環境リテラシーの普及は,ラーニングサイクルを元にした全国各地でのプログラム作成が大変重要であるということも説明した。

 参加者の方々からは,水圏環境リテラシーの難しい語句が並んだものでは理解できないが,そのリテラシーを具体的に推進するラーニングサイクルについて多くの賛同のご意見を頂いた。社会人としても,ぜひ水圏環境リテラシーのリーダー養成プログラムを受講したいがどうしたらいいかという質問や,民間企業の方からも海洋大学の実施しているリテラシー教育と繋がりながら社会還元を実施したいという意見を頂戴した。

 最後に,フィッシングカレッジということで,釣りの探究活動としての可能性についてお話しをした。釣りはリテラシー教育にとって大変重要なツールである。これからは,参加者皆さんによってラーニングサイクルに基づいた釣りの探究学習が実施されることを願っていると期待を込め,カレッジを終了した。

 多くの方から賛同の意見を頂き,中にはシーグラントのような組織を日本に作るべきである,なぜ日本にないのかという積極的な意見を頂戴した。そして,体験が少ない知識偏重の教育に皆さんが疑問を抱いていることもわかった。特に,海というフィールドは体験教育が必須項目である。これまで体験と知識が上手く結びついていなかったのである。ラーニングサイクルに基づいた水圏環境リテラシー教育普及の重要性を改めて認識した次第である。

埼玉県漁連を訪問

2009-06-01 | ワカサギに学んだこと
さいたま市北浦和にある埼玉県漁業協同組合連合会を訪問した。埼玉県には10支所があり、組合員数約は8000人。今回は、秋ケ瀬における遡上魚の調査について。

毎年、4月から5月になると、東京湾から荒川に天然アユが遡上する。多い年は800kgを超えたが、去年と今年はその半数の400kgであったという。減少した理由は冬季における水温の低下も考えられるのはないかと話した。

また、それに伴って、ワカサギも混隠されるという。今回はこのワカサギの様子を伺うのが目的であった。ワカサギも同様に、少なかったようである。

閉伊川の状況も、芳しくない。鮎の天然遡上は例年ほどではなく、ワカサギもさっぱり、ウグイもいないという。