Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

海の教養(海洋リテラシー)を涵養し”海洋国家復興”を目指せ!!

2010-04-28 | 水圏環境教育センター
 日本は海洋国家であるといわれる。確かに,世界で第7番目の島国であり,森川海の豊かな自然環境と多様多様な海洋生物に恵まれた国である。
 しかし,現代の私たちは海に関する関心が低いのが現状だ。世界有数の魚食大国である私たちは,世界の海洋の問題に関して責任ある決定を行い,行動することが求められる。
 そのためには,多くの国民が海の教養すなわち海洋リテラシーを涵養し,海洋に関する総合的な理解力を身につけることが必要だ。 
 海洋リテラシーを持つことで,海洋の価値を高めることが可能となり,海との関わり方も改善され,持続可能な社会へと向かっていく。
 東京海洋大学では海洋リテラシーを普及するため,海洋リテラシー推進部門を立ち上げた。海洋リテラシーが組織的取組により多くの人々に共有され,海洋国家復興につながればと願っている。
(日経新聞に投稿しました。)

山口県立大津高等学校,水産高校を訪問しました。

2010-04-24 | 水圏環境教育センター
 来年度より山口県立大津緑洋高等学校となる,山口県立水産高等学校と山口県立大津高等学校を訪問しました。緑洋高校は日置農高と水産高校,そして大津高校が合併して開校されるという。農業と水産と普通高校が合併し緑洋という名前を冠することに時代にマッチした名称であると同行したOBは喜んでいた。

 実習船は山口,福岡,長崎の3件の合同実習船となった。反対もあったが,新しい仕組みを考えて時代に即応した水産教育をやりたいと関係者は話していた。またOBは,「遠洋漁業へのこだわりだけでは担えない。沿岸漁業をしっかりと定着させ,地域の人々へ裾野を広げることが,これからの水産にはますます必要である。」と語っていた。
 
 また,水産高校教諭からは「小学生と地元の漁師そして水産高校とのコラボレーションをやっている。これからは,地域の皆さんと一緒に水産を核とした取り組みをしていきたい。」と前向きな取組の成果を披露していただいた。まさに,コミュニティーベースの教育であり,私たちが目指しているところである。そのような活動が活発になるようにサポート出来る体制を整えていきたい。
 
 宇部空港がある宇部市から水産高校のある長門市まで印象は,風光明媚な山々と平坦な国道である。山々は,おにぎりの形をした小さな山がポツン,ポツンと立ち並び木々が生い茂っている。山々が途切れ道が平坦なのはカルスト台地のためであろうか。北上高地の沿岸から内陸に抜けでる険しい道程という感じではない。水産資源,水資源の豊富さはこの山が源なのだ。「ふるさとの山はありがたきかな」ふと啄木の唄がどこからか聞こえてきた。

いわて海洋研究コンソーシアムはモンテレー湾海洋研究拠点に匹敵するか?

2010-04-22 | 水圏環境教育センター
いわて海洋研究コンソーシアムが発足した。このコンソーシアムは,岩手県沿岸部に集積している研究機関(水産総合研究センター宮古栽培漁業センター,東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター,北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所,岩手県水産技術センター,北里大学海洋生命科学部)の5機関が連携して,国内外の研究者との学術・研究交流を促進するというものである。(いわて三陸海洋産業振興指針)。

岩手県沿岸部は,豊かな天然資源に恵まれ,研究対象としても重要であるばかりでなく,伝統的な知識を元にした漁業や日本人の食文化を支える食品加工産業等海洋産業の拠点だ。

アメリカ合衆国のカルフォルニア州にあるモンテレー湾はアメリカの海洋研究3大拠点であると以前記した。まさに,このモンテレー湾の研究拠点に匹敵する研究拠点であることは間違いないと思われる。

ただ,多様なニーズに応えるだけの資源が存在するものの,十分に生かされていない。そこで,アウトリーチ活動を積極的に推進する(同指針)という。

このアウトリーチ活動をどのようにして進めていくかが重要な課題だ(同指針)。海洋研究コンソーシアムを核として縦横のつながりの強化がもっとも重要であると考える。その意味でも,水圏環境リテラシー教育に大きな期待がかかっているといえるのではないだろうか?








これからの地域振興は技術力と人材育成

2010-04-18 | 水圏環境教育センター
「これからの地域振興は技術力と人材育成」

 海洋リテラシー推進部門のエクステンションを!と地方自治体の代表団が本学を訪れた。自治体からの要請として第1号である。リテラシー推進部門に期待がかかっているのだ。嬉しい限りである。

 代表の方は,伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長(仕事学のすすめ,NHK出版)の言葉を引き,「技術力の向上と人材育成」の両方がこれからの地方振興には重要であり,その役割を果たす機関としてエクステンションを設置したいと話された。

「人材育成」は海洋リテラシー推進部門の目指すべき方向であるが,大切なことは何をアウトカム(成果)に設定するかである。一言で人材育成と言っても,即戦力としての人材の育成なのか,あるいはリテラシー教育を施す対象としての人材の育成なのか?おそらく,自治体としては前者の方に力を入れ,地域産業の直接的な発展を期待したいのであろう。

 海洋リテラシー推進部門は,対象が広く海洋の理解者を増やす活動を通して,何らかの形で地域が振興されていくことに主眼がおかれている。
 
 それぞれの地域において,地方の諸機関や人的資源を結びつけアウトカムを明確にしつつ,どのような活動を実施していくのかが,エクステンションの重要課題となるであろう。

政策創造エンジンー熟議カケアイー

2010-04-17 | 水圏環境教育センター
 教育政策提言を議論の中から生み出すという新しい発想で,第1回目の政策創造エンジンー熟議カケアイーが開催された。目新しい文部科学省のホールには,200人余りが参加して円卓会議をスタートさせた。ファシリテーターは,文部科学省の局長,課長たちである。この取組は鈴木寛副大臣が10年前から構想練ったもので,ようやく本日実現に至ったという。公募制で集まった人たちは多様であり,それぞれの立場で様々な意見が出された。

私の参加した班では地域と学校をどうつなげていけばいいのか,ということに焦点が当たっていた。
2時間の熟議の結果,各班より提言された内容である。
・多忙化を防ぐための工夫を
・多忙化を回避のため、いろいろな雑用をこなすスーパー事務室を
・学校と地域がつながるように,学校はオープンにする,地域から変える。その時に,大学の役割も重要。
・小学校の楽しい思い出と、学ぶことの両立、地域と学校との連携をどう全国に広げるか?
・教師の社会性の欠如、評価をどのようにするか?
・熟議を小さい場所でやればいいのでは?
・子供が仕合せだという気持ちを持たせたい。コミュニケーションの力をつけたい。コーディネーターはもちろん必要であるし,安全管理やキャリア教育も必要。地域の人々が参加できるようなシステムを。
・先進事例をもとにしてどう展開するのか?熟議型の学校教育を。
・学生ボランティアの力が必要。一般社会人は難しい。仕組みづくりは一筋縄ではいかない。

最後に鈴木副大臣が感想を述べた。
すばらしい熟議がはじまった.日本の教育をなんとかしようと、頑張っている皆さんの話は,現場ならではの話し合いであった。この熱気をさらなる議論に持ち込んでほしい。ネットでは1248名の方が見に来ている。熟議で大切なことは,問題設定は正しいのか?誤診ではないか?本当に正しいかどうかが大事である。(写真の中央は鈴木副大臣)
http://jukugi.mext.go.jp/ 文部科学省熟議カケアイのHP

ワカサギ博士の見た品川の海

2010-04-13 | 東京湾
 ワカサギ博士が閉伊川から高級リゾートマンションの立ち並ぶ品川に移って5年目となった。毎朝の運河を見ながらのジョギングが日課である。昨日は土砂降りの雨であったが,本日は気持ちの良い朝の天気であった。

 一般に,海といえば青いイメージを持つだろうが,品川の海(運河)は違う。特に土砂降りの次の日は茶色をしている。時には,白い時もある。なぜだろう。

 聞くところによると,大雨が降ると水再生センターでは雨水と一緒になった未処理の汚水が排出されているようだ。このような処理施設は合流式下水道という。東京湾の8割は合流式下水道である。雨の度にこのような現象が起きるのである。しかも,沿岸にはマンションが急激に立ち並び,汚水処理場は限界に達しているという。

 アメリカの五大湖もかつては同様の合流式下水道であったらしい。シーグラントのエージェントによるとすべての浄化槽を分流式下水道にして完全に処理をした処理水を排出しているという。オランダもそうであるらしい。

 確かに,海洋にはある程度の栄養が必要であろうが,今の状況は決してジョギングをして気持ちいいものではない。かといって,分流式下水道にすればすべて解決するかいうとそうではないと思う。何らかの改善策が必要であろう。
(ご指摘を受け語句を訂正しました。ありがとうございます)

閉伊川の雪どけ水の流入始まる

2010-04-12 | 閉伊川調査
 閉伊川第一堰堤では,雪どけ水が流入し始めた。水温は4月10日午後3時10.5度であった。これまでのデータでは,ワカサギの遡上がスタートする水温である。雪どけが始まると急に水温が下がる。手を入れると冷たい。水の色は,白濁したみどり色をしている。水位は堰堤上流端で水位3(約30cm)といったところか?
木々は少しずつみどりの目を出し始めているがまだ冬の装いに近い。気温の上昇と合わせ,水温も徐々に上昇し,水位は低下する。約ひと月程雪どけ水が続く。水位が低下する前の雪解け水が豊富な時期が,ワカサギの産卵遡上やその他の魚(サクラマス,アメマスなど)の遡上には適しているようだ。逆に言うと,雪解け水がないと魚は遡上しにくいということ。そして,産卵後にはエスチュアリー(汽水域,海水と淡水が混じるところ)ではブルームによって増えたプランクトンが仔稚魚が食べる餌として待っているのである。これほど,ドラマティックな季節はない,と調査を初めて16年毎年同じように思うのである。

 

2010年度第1回閉伊川大学校が開催される

2010-04-12 | 閉伊川調査
 閉伊川大学校が開催され,今年度の方針が話しあわれた。今年は3年目となり,北上川の方,宮古の方,旧川井村の方など,新たに参加者が加わった。

本年度は,昨年度に引き続き地元の小学校とタイアップした活動を展開することになった。
「森・川・海と人が共生する安らぎのまち」を目指す宮古市に,何らかの貢献ができればという願いから,
「旧川井村の山々から新里そして河口域の宮古湾まで,一環とした教育活動を実現したい。」
「閉伊川大学校は地域の皆さんと学校とが一体となった取り組みをしたい。」
「世界自然遺産への登録をするにはどうしたらいいか?2014年に開催される世界的なESDの大会に貢献できないか?」
「閉伊川だけではなく,田老,山田,大槌の方にも声をかけ活動の輪を広げていきたい。」

といった意見が出された。
 本年度は,「閉伊川大学校におけるキャパシティビルディングに関する研究」としてさんりく基金から支援を受ける。
 次回は,5月21日金曜日午後18時から,宮古市中央公民館分館において,今後の活動について具体的な話し合いが行われる。

東京海洋大学・海洋リテラシー推進部門が発足(HPより)

2010-04-01 | 水圏環境教育センター
 東京海洋大学産学・地域連携推進機構では平成22年4月から,広く国民の水産や海洋に関する興味・関心及び理解を促進し、海洋リテラシーの積極的な普及・啓発を目的とする「海洋リテラシー推進部門」を新たに設置することになりました。リテラシー(literacy)とは英語で「読み書き能力」や「素養」を意味する言葉で,「海洋リテラシー」とは「海を中心とする水圏環境を総合的に理解する能力」,即ち「水圏が我々に及ぼす影響,及び我々が水圏に及ぼす影響を理解する能力」です。

 海洋リテラシー推進部門は,本学のフィッシングカレッジや他教育プログラム等とも連携し,海洋リテラシーの普及により「海洋環境を守り,海洋文化の素養を身につけた国民の育成」に寄与します。

 将来的には全国の学校や水族館・博物館などの社会教育施設,NPO法人,研究機関,自治体、大学等とも連携し,国民の海洋に関する理解を深める活動のシステム化を図り,幅広く海洋リテラシー普及活動を展開します。さらに,国際的な規模でも海洋リテラシー普及を目指します。

 本部門は,平成19年に文部科学省の補助事業「現代GP」に採用された「水圏環境リテラシー教育推進プログラム」の成果に基づき設置されます。同プログラムでは水圏環境教育推進リーダーを育成することを目的とし学部教育において人材養成教育が行われてきました。学生は,潮流や希少生物などの自然事象,漁業や海運,政策や文化等の社会的事象の幅広い基礎知識と,それを国民に分かりやすく伝えるコミュニケーション力を習得しています。

 本部門では、これらの諸活動とその成果に基づき,同プログラムで育成された水圏環境教育推進リーダーの地域への派遣や自治体等との人事交流等を通し,大学と社会をつなぐインターフェース的役割を担います。

 平成19年4月に海洋政策を計画的に遂行する「海洋基本法」が成立し,第28条では「海洋に関する国民の理解の促進」が謳われています。本部門は、海洋基本法の理念を具現化するものであり、海洋リテラシーの普及や水産および海洋環境の諸問題の解決等に寄与するものと期待されます。