Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

小学生を対象とした生物学の授業

2009-02-28 | ローレンス科学館
 ここは,LHS内の教室。先生が手に持っているのは,大きなヘビ。子どもたちもはじめて見る巨大なは虫類に興奮している様子だ。これからはじめてヘビを触るのであろう。

 授業は,先生(Educator)とバークレー校の大学生がアシスタントとして担当するようだ。アシスタントをする学生の中には,子どもたちの喜ぶ笑顔に轢かれてEducatorとして就職したいという希望を持つようだ。
 
 3つの教室が用意され,生物,化学,物理地学の授業をいつでも受けることが出来る。全ての授業は,ラーニングサイクルにもとづいたIBLメソッドによって行われる。おそらく次のような流れであろう。

 第1段階として間近で見せる前に,教室の前の方で,導入が始まる。みなさんはヘビを見たことがあるかな?ヘビはどんな特徴があるのかな?どんなところが好きなのかな?と質問を投げかける。次に,第2段階目の探究の場面,実際に間近で触ることになる。触ってみてどんな感じだったかな?何か発見したことは?どんな特徴があるかな?第3段階目は概念の革新である。ここではじめて,は虫類の説明がなされる。第4段階目で,それでは他の生き物はどうかな?と今の学習をさらに深めていく。

 この授業では,子どもたちの科学する心,発見の喜びを上手く引き出すことに主眼が置かれており,生き生きとした姿がとても印象的である。

 向かい側にある教室では,大学生を対象としたEducator養成コースCommunicating Science の授業が展開されている。LHSのEducatorによって(教授職でないが,学生に授業を教える事が出来るポスト),午前中は25名を対象にCommunicating ocean science for informal audience,午後は30数名を対象にCommunicating scienceが行われていた。

 

UCバークレー校アーキオロジー(考古学)研究室を訪問

2009-02-26 | 閉伊川調査
 バークレー校のアーキオロジスト(考古学者)を訪問し,意見交換した。アメリカでは日本の縄文遺跡への興味関心が高く,こちらでは青森県を中心とした縄文遺跡に頂点をあて,研究が進められている。

 プロジェクトは毎年4週間の発掘とソーティングを現地で行う。その後,サンプルをバークレー校に持ち帰り種を同定するという。同定作業は,学生がワーキングとして分析に当たる。

 私が訪問した際は,10台程の実態顕微鏡で植物の種の同定を学部生が実施していた。このワーキングは,3時間実施することで1単位が与えられるという。ある学生にインタビューすると,大変日本の文化に興味を持っており,日本語を勉強し将来は日本で研究をしたいという。

 ある大学院生は,三内丸山の魚類の骨を分析し,縄文人がどのような魚類を食べていたのか分析をすすめている。マグロなどは,縄文時代の食べ物としてよく知られているが,現在でも普通に見られる湿地帯や汽水域に生息する身近な魚類も食べられていたという。ワカサギを食べていた可能性がありそうだ。年内にThesisとして発表される。楽しみである。

 それぞれの国々における生活の歴史は,現在の食文化や自然認識に大きく影響を与える。日本の海洋認識もこうした縄文時代の生活様式が影響を与えている。日本人の私たちは,このあたりをもっと認識を深めていく必要があろう。

 岩手県沿岸も縄文遺跡が多く,未だその当時の影響を残している食生活がある。例えば,クルミをお正月によく食べること,私の叔母がドングリを食べさせてくれたことなどを紹介し,岩手県沿岸部の調査と海外への情報発信に期待を寄せた。


南加岩手県人会にいわて文化大使として出席

2009-02-25 | 話題
 南カルフォルニアで活躍する岩手県人の皆さんと情報交換をした。
 参加者は、30人。盛岡市、宮古市、遠野市,一関市,川井村、大槌町、浄法寺町、一戸町、藤沢町、大船渡市、花巻市などの出身者やゆかりの方々である。職業は、プロの作曲家、ギタリスト、デザイナー、会社経営者などで,滞在年数は、2年から40年以上と多彩である。写真は,世界で活躍するジャズサックス演奏家,作曲家HITOMIさんである。

 スピーチする機会を与えられ,カルフォルニアと東北地方が交流を深めることで岩手の可能性を高めることが出来る,岩手とカルフォルニアの架け橋となるようご活躍いただきたいと話をした。

HITOMI,TOM&WAYAMAの演奏に続き,亀掛川師範より高校時代に習った,桂林荘雑詠諸生に示す(廣瀬淡窓)を吟詠した。

道うことを休めよ 他郷苦心多しと 
同袍友有り    自ら相親しむ 
柴扉暁に出ずれば 霜雪の如し 
君は川流を汲め  我は薪を拾わん

 川井村ゆかりの方はロスアンゼルス40年。御尊父は最期に「ふるさとの山と閉伊の川」と詠んだという。ふるさとをもう一度見てみたいという願いはかなわなかった。父が愛した山と川をもう一度この目で確かめたいという。

 ご子息はバークレー校のPHDを取得し,現在オバマ政権のエネルギー長官スティーブン・チュー(National Berkeley Lab元所長)の下で再生可能エネルギーについて昨年まで研究。現在,研究員として日本に3月まで滞在中。バークレー校には20数名のノーベル賞受賞者がいるが,同級生の父親もノーベル賞受賞者であるという。将来閉伊川ゆかりのノーベル賞受賞者となるか,期待したいところである。


フロリダ州立大学ランド・シーグラントカレッジ気候変動ワークショップを視察

2009-02-24 | シーグラントカレッジプログラム
 フロリダ州プラント市で気候変動のワークショップが3日間にわたり開催された。このワークショップでは,シーグラントカレッジのみならず,ランドグランドカレッジも参加し,「気候変動の取り組みを、フロリダの実情に会わせ、総合的にどのようにして推進してくのか」が活発に議論された。

 印象に残ったことは,「not only educating public but also government」とエージェントが語っていたことである。最終的な政策決定は連邦政府であるが,実際に推進するのはシーグラントカレッジ・エクステンション・エージェントだ。日本では,各地方において各都道府県の本庁で決められたことを,正確に業務遂行することが大切にされるが,こちらではシーグラントカレッジに所属するエージェントが地域の実情に合わせながら、大学の科学者とも連携をはかり政策決定に加わる。まさに,双方向でホリステッィクな政策決定方法と言える。

 今回の調査では「どのようにして多様な学問や人材をミックスしコーディネートするか,科学教育のみならず,人材育成のキーワード」であるということを実感することが出来た。ミックスするには,技術レベルを維持しながら,いかにしてその情報をわかりやすく伝え合うかに,鍵があると考える。たて社会の壁を取り払い公平に耳を傾けるシステムが必要だ。
Land grant college climate change workshop
In this visit I realized that it is crucial important to coordinate and mix a lot of people to consensus building. and most important thing is how to communicate the information each other.

アメリカン自然史博物館その2

2009-02-20 | Weblog
 特別展示は,本来は科学者の指導の下,エギゼビターが,展示をまかなっていたが,数年前からエデュケーターとエギゼビターを仲立ちするリエゾンスペシャリストを置くようにした。また,展示も,ニーズアセスメントを実施し,事前に展示内容のチェックを行うようにしている。

 それは,エデュケーターとエギゼビターの間に大きなギャップがあったからである。エギゼビターは教育のバックグランドがないので,オーディエンスの理解が得られていない事が多かった。現在は,改善されて,リエゾンの重要性が高まっている。現在のパターンはまず,教師を対象にワークショップを実施して,どのように特別展示を見せればいいのか,またどのように質問をするのかを理解してもらう。その後,学校に戻り,事前学習を行う。その後先生が生徒を引率して特別展示を見学させる。というパターンを取っているようだ。

 この博物館もNPOであり,ほとんどが寄附で成り立っているが,NOAAや大学などがファンドを出しているようだ。今回のワークショップでは,4名の学校教員がNOAAから出張旅費を出してもらい参加していた。また,一部の若い職員の給料もfellowship プログラムの一環としてNOAAから支給されている。政府機関と民間企業,そして個人が一体となって体系的に教育に熱心に取り組んでいる様子が伺われる。



ナショナルアクアリウムを訪問

2009-02-20 | Weblog
ナショナルアクアリウム in DCを訪問した。

 この建物は商務省の地下にあり,1800年代に設置された歴史のある水族館である。本来は,水産資源の減少を危惧した研究者たちにより飼育施設として始まった。設立当初は,MBL(ウッズホール海洋生物学研究所)とも関わりもあるようだ。1 educator, 4 aquarist, 1 exbitary , 1 directorである。100年以上の歴史を感じさせる展示である。今はやりの巨大水槽はないが,入館者数は1000/day summertime, 500/day wintertmeであるという。


 NPOが経営をしている。こちらのNPOは国からの支援を受けている他,ドーネーションによって成り立っている。アメリカン自然史博物館もNPOの経営である。(寄付活動は普通であり,生前に寄附するのをPlaned giving といい,遺産を寄附するのをEstate givinngという。知り合いによると聞,生前に寄附することで生きているうちにその効果を確かめることが出来るのでいいのだ,という。アメリカは支え合って成り立っているともいっていた。国からの支援がほとんどなく,寄付行為の習慣もない日本とは大きな違いである。)


アクアリストの一人にインタビューをした。
-why do you select aquarist? 
--My major is biology, but marine science class taking,diving, aquarium loving.In Us Marine science getting popular,
-why?
-- Marine issue, aqua problem will be becoming important.

 NOAAとの関わりを聞くと,NOAAに所属するNational Marine SanctuaryやNational Marine Sanctuaryから情報を提供してもらい,環境保護について最新の情報を提供しているという。

アメリカン自然史博物館におけるTeachers' workshopを視察

2009-02-18 | シーグラントカレッジプログラム
 ニューヨーク市のアメリカ自然史博物館における小中高教員向けのワークショップに視察をかねて参加した。今回のテーマは「気候変動」スクリプス海洋研究所のバーチアクアリウムでもそうだったが,「気候変動」がアメリカにおける大きな教育のテーマになっているようだ。

 アメリカには,研究者と教育者が協力して作成したサイエンスリテラシーがある。さらに,これの中に含まれている気候変動についての知識を各学年ごとにどのように教えるのかというシーケンスをもとに,特別展の気候変動を子どもたちにどのように教えるかを議論した。常設展示もよくできており,気候変動という固い内容でありながら,多くのオーディエンスが興味を持つように工夫されている。

 アメリカ自然史博物館の職員は200名であり,そのうちサイエンティストは120名,エヂュケーターが60名(アウトリーチ含む),テクニシャンが20名であるという(数値は概算)。今回のワークショップはエデュケーター部門で主催しているものである。エデュケーターのリサはカリキュラム開発と教材開発が担当である。この博物館は,サイエンスの他,文化、人類学の展示があるがそれらすべてが対象である。

 展示で大切なのは,いかに質問を投げかけるかであるという。物事を理解するためには問いかけが大切であり,そのための工夫をしているという。ワシントンDCの某博物館に比較しても,パネル展示や常設展示に,その工夫が見られる。このいかに効果的な「問いかけ」は,Inquiry based learning の概念としても大変重要な要素である。

American Museum of Natural History
200 staffs, 120 scientists, 60 educators, 20 technicians Climate change workshops was conducted by educators
They use also IBL method.

シーグラントアカデミー

2009-02-11 | シーグラントカレッジプログラム
 このアカデミーは,シーグラントカレッジの新職員を対象にしたプログラムである。シーグラントの歴史とミッションを学び,各エクステンションでの教育やアウトリーチ活動を実施するためのトレーニングを行う。

 本講習会は,2005年にも開催され,ワシントンDCにある,National Youth 4-H Centerで行われている。15のシーグラントカレッジ(ほとんどが州立大学の中に所属している)から30名のスタッフが参加している。(ちなみに,4ーHとはHead, Hand, Heart, Healthであり,1904年に農業技術研修のために作られてものだという)

 シーグラントカレッジは全米とプエルトリコの32大学に設置されている政府機関である。本部はワシントンDCのNOAAセンターにある。シーグラントカレッジのエクステンション職員は,シーグラントカレッジにもよるが,カウンティー(群)ごとに一人配属され,アウトリーチ活動や教育活動をコーディネートする。

 このトレーニングでは,それぞれの活動で使用する「Logic Model」の活用方法を学ぶ。「Logic Model」は既に企業で実施されているもので,広く利用されているが,今回利用するものはNOAA コースタルサービスが開発したものである。この「Logic Design」はすべてのNOAAに関連するアウトリーチ・教育活動で活用されている。

 このワークショップを修了すると,教育・アウトリーチ活動において,プログラム開発やプロジェクトデザイン,各種のアクティビティーを円滑にそして効果的に実施することが可能となる。

 以前訪問したUSCシーグラントでのワークショップも,この「Logic Model」と同様の方法で,ワークショップが組み立てられているという。

 国内には,National marine fisheries serviceやNational institute of marine geology があり,漁業や海洋科学に関する研究を実施しているが,シーグラントカレッジのように,教育活動,エクステンション活動はあまり行っておらず,シーグラントカレッジは教育やアウトリーチに力を入れた「教育研究機関」といっていいだろう。

 下部機関の評価をおこなうNOAA本部職員に話を伺ったが,シーグラントシステムは,40年の歴史があり(教育活動を推進する機関としては最も古い),一般市民と科学と政策を結びつける上で,成功を収めているという。不景気であるが来年度以降も予算が増額される。
 
 アジアではインドネシア,韓国がすでに設置し,一般市民の海洋の理解を推進する活動を実施している。インドネシアでは32のプロビンスにエクステンションを設置し,1名の常駐職員を配置している。

 シーグラントシステムが優位な部分は,大学が各地域の中心となり,教育と研究が広く一般市民へそして教育活動へと深くつながっていることであろう。ぜひ,日本からも成功事例を発信して行きたいものである。

Sea grant was established in 1966 as a major contributor to the issues of aquaculture, biotechnology, coastal communities and economies, coastal natural hazards, ecosystems and habitats, fisheries, marine science literacy, seafood science and technology, urban coasts and invasive species, and also supports students at all levels of the educational system , education and training of many marine and Great Lakes scientists, resource managers, and policy specialists through its three fellowships.


サンフランシスコ湾 ニシン漁最盛期

2009-02-02 | Weblog
 旧正月を迎え,春らしい天気が一段と続いているが,春を告げる魚「ニシン」の産卵がはじまった。とっていっても,ここは閉伊川が注ぐ宮古湾ではない。サンフランシスコ湾である。
 
 バークレーにあるスーパーマーケット「東京フィッシュマーケット」に出向く。陳列されている魚に今まで見たことのない,懐かしい魚が。「これはどこのherring?(ニシン)」「これはサンフランシスコ湾だよ」という。店員によると「今が最盛期だよ。2週間だな。サンフランシスコ湾にニシンの大群がやってくるんだ。ほとんどの魚は,日本に数の子の材料として送られるんだ。今は小さい船がたくさん出ているよ。ピア43が水揚港だよ。」

 早速,ワカサギ博士はニシン調査に早朝に出向く。漁船を発見。ちょうど,サンフランシスコジャイアンツの球場の前だ。しかし,ニシンの姿は確認できなかった。観光船に乗り,ピア39から湾内を周遊。湾全体が白く濁っているのを確認した。ニシンの産卵の後と推測したが,断定はできなかった。

 春告げウオといわれるニシン,まさしく西海岸は最高気温が19度,陸も海も春である。




1968年, ローレンス科学館誕生!

2009-02-01 | ローレンス科学館
 サンフランシスコの夜景は,このローレンス科学館から撮影したものである。サンフランシスコ湾を一望する場所,バークレーヒルズのほぼ頂上にこの施設がある。なぜ,ここにあるのか?なぜ,このような名前なのか?ローレンスとは誰なのか?そして,何をやっているところなのか?いろいろと疑問がつきないだろう。

 まず,ローレンスという名前について,ローレンスは世界で初めて原子核の加速器を発明したバークレー校の物理学教授。1939年,カルフォルニア大学で初めてノーベル賞を受賞した。オッペンハイマーと一緒にマンハッタン計画にも関わった一流の物理学者である。しかし,若くしてこの世をさる。1958年,享年57歳である。

 当時のバークレー校の学長は,ローレンスの名を冠した建物を造ることを提案する。ローレンスの友人ハービー・ホワイトらはその一つ,ローレンス科学館の設立実行委員会の委員長を引き受ける。英語ではLawrence Hall of Science (LHS)という。

 ハービーは物理学者でもあるが,学校教育の重要性を痛感し学校の教員向けのテレビ番組を受け持っていた。また,委員のメンバー(バークレー校の学長,フォード社社長,カルフォルニア大学の総長,原子力委員会委員長など)も,ローレンス科学館は物理学研究のためではなく,教育のための施設にしたいと強く願った。

 そこで,ハービーはローレンスの人物を紹介するコーナーとともに科学博物館を作ろうと決意し,世界中の博物館施設を回ったようだ。ロスやシカゴ,ボストン,フィラデルファア,ドイツなど。

 そして,ハービーは自分の計画をあちらこちらにいって話をした。多くの人々から重要な情報やアドバイスを得た。それは,科学教師のためのトレーニングの施設である。そして,考えたのが,科学の教室や高校生の実験室,格安でできる実験器具の販売,テレビスタジオ,講義室,etc.そして,これれを科学教師と結びつけることを考えたのである。

 バービーは,大学の理事次のように提案した。
 1 教えるための実験室ー教育のモデルを立てること。物理,科学,生物学それぞれについて実験できるもの。そして,大講義室,講義室,ギャラリー,格安でできる実験器具の販売,テレビスタジオ。
 2 近代的な科学博物館
 3 ローレーンスのノーベル賞を記念したコーナー
 理事たちは,これらの提案に大変興奮し喜んでくれたという。

 1959年から準備委員が設置されて,建物の様々な検討,デザインの公募等を経て,1968年に5月20日,科学教育のための建物が設立された。現在,職員数は300人,バークレー校に設置された科学教育研究,教材開発,博物館の総合的な科学教育館が誕生した。現在では,世界中で使われるハンズオン教材の理論 Inquiry Based Learning もここバークレーで誕生し,科学館から様々な教材が発信されている。

After E. Lawrence died, from 1959 Heavy White considered to make new science museum and propose the chancellor of University that not only science museum and Novel Prize memorial corner but also laboratory, classroom, auditorium,TV studio, experiment kit store for teacher training and teach science for students. This is one of the origin of model that the education and science collaborate.