Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

閉伊川大学校主催「国際シンポジウム」が開催されます

2009-11-24 | 閉伊川調査
閉伊川大学校主催の国際シンポジウムが開催されます。12月19日15時から18時まで。場所は宮古ホテル沢田屋です。
この度、水圏リテラシー教育と地域振興と題し、三陸地域主に宮古市で、リテラシー教育に携わっている方々から日頃の活動をご紹介いただくとともに、フロリダ大学シーグラントカレッジ教授巻くスプランガー博士ならびにCOSEEフロリダの海洋教育コーディネーターのカレンブリラー女史からアメリカの水圏リテラシー教育と地域振興についてお話していただきます。通訳は、川井村ゆかりのフランク・リング博士です。会費は大人1000円、学生は500円、高校生以下は無料です。
なお、終了後、歓迎レセプションを開催します。http://web.mac.com/hypomesus/site2/HOME_files/閉伊川シンポ_1.jpg

芝浦アイランド周辺はなぜ水がきれいなのか?

2009-11-13 | 東京湾
 大学から自転車で10分。港区内に芝浦アイランドがある。広さは6ha(6万平方メートル),大学の広さは22haであるから,4分の1ぐらいの広さである。この島の西側にはモノレールが走る。その直下に、長さ約500m、幅5m、深さ1mほどの浅瀬が広がっている。初めて訪れたとき、「おやっ?」と思った。何かが違う。いつも見ている色ではないのである。

 品川浦周辺には見ない光景だ。観察すると石の間に潜り魚たちが何やら食事中であった。ボラが群れている。ハゼもいる。ここに集まる魚は10cm程度の小型魚が多い。浅瀬が生物の多様性を育んでいるようだ。生物が有機物を固定しているのであろう、この周辺は特有のにおいが少ない。

 このような場所がなぜ東京湾沿いに少ないのか?東京湾は、埋め立てられて運河になっており、あくまで船の通り道だからでだ。生態系のことを考えて作られていないのだ。品川から深川までのエリアは、かつて江戸前の干潟が広がった。今となっては、運河や桟橋が目立つ。

 この芝浦アイランドには、平成17年にマンションが完成し,人口が1万人の町が現れた。平成21年には町会が立ち上がった。この浅瀬は、カニ護岸といい、環境浄化を願い、住民の強い要望でできたものらしい。そして、住民らによりボランティアで環境浄化活動が行われているという。

ワカサギ博士、さかなクンと共演

2009-11-08 | 東京湾
東京海洋大学学園祭では、毎年恒例さかなクンによる講演会が開かれるが、教員も一緒に登壇することになっているようだ。
今年は、ワカサギ博士の出番となった。テーマは運河にすむ魚ボラである。

第1部「運河にはどんな魚がいるかな?」
ワカサギ博士「大学周辺の運河には全部で63種類、どんな魚いるでしょう?」
ワカサギ博士「ボラ、ハゼ、フグ、アユ、スズキ、サンマ、マイワシ、ウルメイワシ、ウナギ、タツノオトシゴの仲間(サンゴタツ)等」がいるんですよ。この中で一番多い魚は何かな?
会場より「ボラ」
ワカサギ博士「そうなんです。正解です。」「今日は、運河から特別ゲストが来ています。ボラ子ちゃんです。」

第2部「ボラ子ちゃん登場」
ボラ子ちゃん「さかなクン、どうして私たちボラは運河にたくさんいるのか理由を知っていますか?」
さかなクン「いい環境だから?」
ワカサギ博士「そうなんです。運河には下水の排水が流れていて、1年中20度以上の水が常時流れているのです。」
ボラ子ちゃん「でも、私たちの大好きな海藻が生えなくて排水から流れ出る有機物やヘドロばっかり食べています。」

第3部「運河のこれから」
ワカサギ博士「さかなクン、おいしいお魚が食べられるようになるにはどうしたらいいでしょうかね。」
さかなクン「これからもずっと、おいしい魚を食べていくためには、私たち消費者はしっかり残さず食べること。そして、排水に余計なものを流さないこと。これが大切。」
ワカサギ博士「東京湾には2900万人の排水が流れ込みます。一人一人ができるだけ東京湾を汚さないように気を配り、おいしいお魚が食べられるようにしていきたいですね。」
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 さかなクンとの出会いは、かれこれ10年前だ。水産生物という魚の授業の時だった。J.S君が「先生、最近先生と同じような魚好きのタレントが出ているよ。」と教えてくれた。「へー、私意外にも魚好きが、世の中にいるんだ」とうれしく思ったことを思い出す。当時は、「魚ってすばらしい生態編」という副教材を作成し、ワカサギの生態調査に精を出していた頃である。魚好きであるとともに、海洋の環境問題や食文化の啓発に力を注ごうとする、誠実な姿勢が印象的であった。

ボラはなぜ集まるのか?

2009-11-04 | 東京湾

 下水処理場の排水口から,大量の処理水が流れ出る。排水口周辺には,通年,ボラが生息し,競うように排水口に集まっている。トドと呼ばれる60cm超級の大型ボラから,小型のボラまで大挙として群れている。一体なぜ,ボラは集まるのか?
 
 ボラの好物は海藻である。しかし,海藻以外にも様々な食べ物を食べるようだ。ボラを水槽で観察していると面白い。底層を丸ごと口に加え,砂など口から不要になった物をはき出している。

 では,排水口付近では何をしているのか?品川では,体の大きい個体が排水口に近い場所に群れる。ここは排水からの流れが激しいところである。

 よくみていると,排水口から流れ出てくる白色の直径2-3mm程度の細かい粒子を食べている。時に,茶色のものも見られる。

 その正体は一体何であろうか?私たちは仮説を立てた。もしかしたら,それはボラの好きな藻類かもしれない。ボラの好きな藻が沈殿池に生えているかもしれない。

 早速,処理場の見学をすることになった。ここは東京ドーム4.5個分の広大な敷地に,沈殿池,微生物浄化槽が並んでいる。もうすでに,還暦を迎えた施設もある。

 よくみていると,沈殿池には茶色の浮遊物が浮かんでいる。まさしく,排水口から流れ出るものによく似ていた。「あれは,何でしょうか?」「排泄物などです」

 そして,その茶色の有機物は25mプールの端から端へとゆっくり流れに従って動いている。少しずつ移動させながら沈殿させるのだ。深海に降り注ぐマリンスノーのようにゆっくりと沈んでいく。

 しかし,沈まないものも当然ある。沈殿しないものは,上澄み液に一緒に取り込まれ,排水処理へと回される。その後,最終的に排水口へ流れ出るのであろう。

 さらに,雨水が大量に入り込むと,沈殿が大幅に間に合わない。凝集剤は,有機系凝集剤やポリ塩化アルミニウム(PAC)を使用する。

 実は,近年の沿岸のマンション大開発で大量の汚水が発生し,処理能力の限界を超えている。この処理場は3つの区を担当する。3区を合わせると150万人以上が住んでいる。さらに,昼間の出勤者を合わせるとそれ以上であろう。還暦を迎えた沈殿池には,物足りなさを感じた。後で聞いた話だが,昨年は東京ドーム12杯分の有機物が運河に流れ出たという。運河のヘドロの正体である。

 5年後には,ここに1000億円をかけて巨大な排水処理施設が出来るそうだ。そのお金はもちろん税金だ。

宇宙へのいざない5ー六本木ヒルズ星空観察会

2009-11-01 | 宇宙へのいざない
六本木ヒルズ屋上において、星座の観察会が開催された。この観察会では、天
文学研究者が望遠鏡や双眼鏡を持ち寄って、市民に開放するというもの。この日
は、あいにくの曇り空であったが、25倍の望遠鏡で木星を観察した。多くの参加
者は木星の衛星を観察するのは、はじめてのようであった。東京のど真ん中でも
星の観察はできるのだ。私も、木星と3つの衛星を見て「おっ、すごい!」と思
わず歓声を上げた。

 天文学者と話す機会があった。天文学はあくまでも科学的に探究することが中
心となる。純粋な科学の対象である。これに対し、海洋は幅が広いとらえ方があ
り、レアメタル鉱物資源や、水産資源、生活に必要な水資源と人間生活に大きく
関わっている。また科学的な探求の対象でもある。複雑な系をなしている。

 また、ある研究者は、木星の衛星に生命が存在している可能性があり、現在木
星の衛星にある物質を用いて人工的に生命を作る実験をしているという。地球の
生命誕生の実験は?と尋ねると、熱水鉱床あたりが生命誕生の可能性があるが、
全く生命がいない状況を再現できず、実験が難しいという。

 惑星を持つ恒星は300ぐらい発見されているが、地球の大きさ程度の惑星は1つ
しか発見されておらず、生命の可能性があるかどうかも明らかになっていない。

 水星、金星、地球、火星は太陽系惑星の中で鉄が多い。それは、鉄が一番安定
した元素の中で重いものであり、太陽に引き付けられたからだという。地球も中
心部は鉄でできている。火星はその中心部分と同じ大きさで鉄がむき出しになっ
ている状態であるという。