Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

魚価の低迷は誰のせいか?

2009-12-25 | シーグラントカレッジプログラム
民宿の若旦那であり社長であり漁師であるとしさんは、ゴム長をはいて、強風の真っ暗な外で私たちを待ってくれていた。

お部屋に案内されて夕食をいただく。実に美味しい。このような味のいいカニをいただいたのは初めてである。脚を真ん中から半分にしているところもいい。今朝とれたカニであると言う。鮮度もいいが、蒸し加減もいいのであろう。心配りを感じる。

としさんの定置網の水揚げはこの地域では一番である。
「いろいろな職業があるが、漁師という仕事は、誰かがやって,自分がとったものを美味しいと言ってくださることが一番の幸せ。たまたまその仕事を私がやっているだけだ。」

「しかし、資材の値段は上がっているのに、魚の値段は40年前と一緒。やっていけない。なんとかしてほしい。」それが親子2代の漁師の共通の思いである。

 このような現場の課題に、どのような解決策を講じればいいのであろうか?
水圏環境リテラシー教育の立場で考えることも新しい試みとして必要ではないか?

フロリダ大学教授マイク・スプランガー博士とカレン・ブライラー女史による東京講演

2009-12-24 | Weblog
 フロリダ大学教授マイク・スプランガー博士とカレン・ブライラー女史によるシンポジウムが小浜に引き続き東京海洋大学で行われた。
 スプランガー博士からは、シーグラントカレッジによる地域との連携について、ブライラー女史からは、4-Hセンターにおける体験型海洋教育、並びにCOSEEフロリダにおける学者と教師恊働によるマリンサイエンスワークショップについて話をいただいた。

 シーグラントカレッジについては、1966年に設置され年間予算として約60億円が連邦政府から、そしてほぼ同額が州政府自治体、企業から出資されている。合計120億円で全米の400人のスタッフが33の大学に所属していること、シーグラントのエージェントの役割は、「ゴム長をはいた地方役人」として地元重視の取り組みをおこなうことであり、地域住民や企業などとの合意形成を図ること、新しいプログラムを開発し、地域の実情に会わせた海洋教育を実施することなどである。また、海洋教育は海洋リテラシーが基本となっている。このような地域密着型の教育が認められ,政府予算が毎年増加している。

 一方、カレン女史からは4-Hセンターは体験型教育を重視しており、カウンティー(自治体)ごとに一人のエージェントを配置する。このエージェントは体験型教育活動を実施するための人材である。ライフスキル(生きる力)は,その20%が体験型教育によって身に付くものであり、体験型教育の重要性は認識されている。ちょうど、ジョンデューイが唱えていることを100年間にわたり、取り組んでいる。日本で言えば、青年の家にあたる。4-Hセンターはランドグラントカレッジの中に配置されているものである。すなわち、大学機関として、機能している。日本の独立行政法人の所属とは異なる。

 COSEEフロリダとは、フロリダ海洋教育センターである。こちらは全米科学財団が年間1億円の予算を出して、11大学に設置されているCOSEEに配分されている。おもに、海洋教育を推進するための機関である。2002年に設置された。この大きな目的が、研究者と教育者を結びつけ,より良い学校教育や社会教育を実施するためのもうけられたものである。海洋リテラシーもこのCOSEEによって作成された。さらに、マリンキャンプでは研究者は自分の研究をどのように教育に結びつけるのか、またどのようにわかりやすく伝えていくのかといった教育学的な知見を高めるとともに、教育者は科学やその方法について理解することを目的として実施されている。

 このような講義のあと、参加者からは、シーグラントカレッジのような役割を持った機関が日本にも必要では?、海洋大学に期待したいとの意見をいただいた。

福井県立大学-東京海洋大学合同セミナーが開催されました

2009-12-17 | 水圏環境リテラシープログラム
 水圏リテラシーと地域振興 in 小浜 と題し、福井県立大学生物資源科学部でフロリダ大学マイクスプランガー教授とカレンブリラー教育コーディーネーターのお二人によりシーグラントカレッジに関する取り組みを紹介していただいた。会場には、県立大学の先生方の他、水圏環境教育に熱心に関わる方々や小浜水産高校の先生方が見えた。

 フロリダ大学のマイクスプランガー教授は、アメリカで200年以上歴史のある、ランドグラントカレッジと40年の歴史のあるシーグラントカレッジの詳細を講義し、「小浜地域は、人的、自然的資源に恵まれている。シーグラントカレッジのように県立大学が中心となることによってより飛躍的な活動に発展するであろう」と期待を寄せた。

水圏環境リテラシーは、水族館とどう繋がるのか?

2009-12-09 | 水圏環境リテラシープログラム
「水族館における水生生物研究と教育。現状と課題。」東京中野区にある東京大学海洋研究所でシンポジウムが開催された。
水圏環境リテラシープログラムの取り組み、海外視察から見える海洋大学と水族館のあり方について提案した。その中で、水圏リテラシー基本原則は、他の学問や学習指導要領、諸外国をつなぐ「基準」のようなものであり、同時に、水圏環境リテラシーを元にした主体的な学びを促進する具体的な実践プログラムを作成することが求められる。水圏環境リテラシー推進リーダーは大学と水族館等の教育施設をつなぐパイプ役であると同時に、水圏環境リテラシーを普及するための実践的プログラムを開発運用することで、従来型の教育から脱却した多元的参加型の教育システムにより水圏環境リテラシーを備えた市民の育成が可能となるのである。そして、水圏環境リテラシー教育が進むことで、学校教育と水族館をはじめとした社会教育が有機的に連携し「よりよい日本の教育」が醸成されるのである。