Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

AGU(アメリカ地球物理学会)でのGIFTワークショップ

2008-12-24 | シーグラントカレッジプログラム
AGU(アメリカ地球物理学会) GIFT ワークショップがサンフランシスコ市内のモスコーニセンターで開催された。
GIFT ワークショップは,学校教員のためのワークショップである。AGU自体は大規模な学会で,全世界60カ国から地球物理学者が集う。春と秋に開催される。日本からも多くの研究者が発表に訪れていた。
GIFT ワークショップは,おもに大学の研究者による専門的な研究の紹介だ。参加料は教育者であれば無料である。昼食付きであった。
内容は,
1世界極地年にあわせた極域研究の紹介
2氷河の研究者による極域の研究紹介
3岩石に含まれる元素の変化の研究紹介
4高校生を対象としたスバールバル諸島における研究を元にした学習教材の紹介
この事例発表では,高校の先生が研究成果を元にLinne Valley Date Analysisという学習教材を作成し,サンプリングデータを班ごとに考えさせるというワークショップを実施した。大変興味深いものであった。他に,北アメリカの氷河年代を考えさせる教材の紹介があった。この教材の面白ことは、実際の研究が用いられていることである。
6大深度掘削の研究者による教育者のためのウエブサイト
 NGTA、NESTA、DLESE、ACEXなどHPを立ち上げて教育普及に取り組んでいる研究者から話題提供があった。日本のCHIKYUの紹介があり,船の大きさに会場の先生たちは驚いていた。
 隣席した20代の中学校の女性教員に話を伺った。「今回のAGUには近隣の中学校の教員が5名参加している。」「あなたのクラスで何人ぐらい科学に興味を持っているか?」と尋ねると「全員」と答えた。また、「私の受け持っているクラスでは5人ぐらいは科学者になりたいと思っている。」とも話していた。
なぜ,「学会の参加に熱心か」と尋ねると,「もちろん科学が好きであるし,毎年指導力向上のための講習会へのが求められ、学会に参加するたびに認定証が発行される。給与にも反映する。但し,上限が5時間なので私はもっと参加しているのであまり意味を感じない。」と話した。
AGU GIFT workshop in San francisco
workshop for science teacher
Aspect:
Scientist and teacher collaborate to make educational materials using scientific data.
Many school teacher involved in Gift workshop.


ユースアンドオーシャンプログラム「タコ見るのはじめて!!」

2008-12-14 | シーグラントカレッジプログラム
 本日,ユースアンドオーシャンプログラムが開催され,LHSの大学職員が地元の中学生にタイドプールでの体験活動を実施した。日本でも同じような活動が全国各地で実施されている。違いは何であろうか?

 まず,一つは中学生を対象に大学のEducatorが主体となって海洋での体験活動を実施していることである。日本では,NPOなどが主体となっているが,このマリンサイエンスアカデミーでは,NSF(全米科学財団)の支援を受けて,現場に出向いて体験活動を指導している。その考え方には,研究者が教育に参加することによって,自分たちの研究の社会的評価が上がると言うこと,そして教育することによって将来の研究者と育てるという事につながるということが背景にある。
 二つ目はサンフランシスコ近郊のオークランド市にある学校に通う小学生たちは全く海で遊んだことがないことである。日本も,最近は少ないといわれているが,それ以上である。サンフランシスコ周辺は,カルフォルニア海流で冷たく,海水浴ができないと言うことも理由の一つである。
 三つ目として,科学の喜びを実感させることに大きなポイントを置いていることである。なぜ,このような海に行ったこともない子ども達がマリンサイエンスアカデミーに参加するのであろうか?その理由は,海はとても未知の世界であり,わくわく,どきどきという体験が,普段海とほとんど関わりのない生活をしている彼らにとって強烈なインパクトを与えるからである。マリンサイエンスアカデミーのねらいなのだ。発見する喜び,感動する喜び,それを自然を通して体で体験させる。日本でも五感を使ってといわれるが,ちょっとニュアンスが違う。日本は古来より,自然に親しむことで豊かな心をはぐくんできた,そのことが理科の目標として強調される。もちろん,発見する喜び,感動する喜びも同様に強調されるが,今回のアメリカでのイベントでは前者の部分はなく,発見する喜び,感動する喜びが強調される。
 この体験を通して,自分たちで新しい発見をする,すなわち科学をする喜びを実感するのである。この点が,重要である。こうした考え方は,既に50年前からR.カープラスによってラーニングサイクルとして提唱されている。それを長年にわたり実践している。実際に,本日参加協力した大学4年生のアレックスは,小学校の頃,海の体験プログラムを体験し,将来はマリンバイオロジストになりたいと強い希望を抱き,難関を突破してUCBに入学したという。すでにPHD進学を考えているようだ。
 四つ目は,海洋生物を食べないことである。食べると言うことは産業的に利用する,応用すると言うことに繋がる。今日の態度プーリングではタコをつかまえて喜々としていたが(写真),おいしそう,どうやって食べるという発言は全くなかった。日本では,科学的な発見の喜びと言うよりは,どうやって食べるか?つまりどうやって自然から恵みをいただくかという考えの方が先行する。たとえ,東京湾のある地域で採れた魚でも。
 これから大切になっていくことは,お互いのこうしたリテラシーの違いを理解し合うことであろう。まず,私たち日本人は,海の発見する喜び感動を通して科学の楽しさ喜びできるだけ多くの人々が体験すること,そして日本の独自の自然観をもっと海外の人々に紹介していくことであろう。このことが,持続可能な社会の実現に繋がっていくのではないだろうか?

Mare staff conducted Youth and the Ocean for Middle school ( Lionel Wilson College Preparatory School) in Half moon bay near San Francisco.
aspects: University staff conduct hands-on activities in ocean,
Students don't so much familiar with ocean less than Japan.
The academy aim to enhance the enhance awareness of ocean especially scientific thinking.
On the contrary, Japanese apt to think about the ocean as the place to get food.
When they catch the octopus, they may apt to think whether it is possible to eat or not.
I think we need both thinking to sustainable development for future.






MBL : 女性海洋研究者・教育者を生み出す

2008-12-11 | シーグラントカレッジプログラム
UCBのLHSには,海洋教育に従事する女性が多い。その一人に,研究内容を伺ったところ,ウッズホール海洋生物学研究所で,ジョージスバンクに生息する鱈個体群の研究をしたという。ウッズホール海洋生物学研究所(Marine biological Laboratory in Woods Hole)は1888年に設立された。設立当初の東海岸は水質汚染が甚だしかったようである。日本では明治の中頃である。このような状況を改善するために,水質の調査研究を進め水質改善を科学的に進めると共に,家庭教育の重要性を説きHome Ecology (Home Economics)を提唱したのは,Ellen Swallow 女史である。このMBLを創設するきっかけを作った方でもある。創設する際に,女性のための夏期海洋生物学講座を開設するよう提案したといわれている。この講座で学んだ一人がレーチェルカーソンである。また,50人以上のノーベル賞受賞者が出ているが,数多くの女性研究者や教育者が海洋分野に進出しているのは,こうした先達の影響なのであろう。

魚もしゃべる?

2008-12-11 | 話題
fishbase というウエブサイトがある。こちらに,fish sound という項目があり,様々な魚の発する音が登録されている。残念ながらワカサギはないが,様々な魚が発する音を聞くことができる。
http://www.fishbase.org/physiology/FishSoundsSummary.cfm?autoctr=140
魚たちもコニュニケーションを取っているのだろうか?


海洋科学教育普及講座

2008-12-05 | 学校
12月1日に海洋科学教育普及講座が,全国の中高支援学校教員を対象に実施された。これは,科学技術振興機構の支援で本研究室が主催し,昨年度から実施しているものである。講座の内容は海洋科学を中心に据え,これらを教材化し小学生や一般人にも分かりやすく海洋科学の内容を伝える能力を高めることを主眼としている。一口にわかりやすく伝える,といっても様々な方法があり,この講座でのコンセプトは「一人一人には科学的な素養が備わっておりそれを海洋科学教材によって引き出す」ものである。この教材プログラムの理論背景はラーニングサイクルである。ラーニングサイクルは導入,探究活動,概念確信,応用,振り返りからなっている。最近,日本でも新学習指導要領で生きる力の育成,そして探究学習の重要性が叫ばれている。海洋科学教育普及講座では,この探究学習を重視している。カルフォルニア大学のグレッグ氏によれば海洋科学ほど,探究学習に適したものはないという。小学校でのホールカリキュラムとして実施されているのは海洋科学プログラムだけである。

第2回水圏環境リテラシー教育推進プログラムシンポジウム

2008-12-03 | シーグラントカレッジプログラム
「第2回水圏環境リテラシー教育推進プログラムシンポジウム」サブテーマーリテラシー教育における人材育成の将来像ーが東京海洋大学で開催された。http://www.kaiyodai.ac.jp/event/1101/11856.html
本シンポジウムでは今年度の成果概要として「水圏環環境リテラシー学」「水圏環環境リテラシー学実習」「水圏環境コニュニケーション学」「水圏環境コニュニケーション学実習」が報告された。また,各地域で活躍する,教育者,漁業者(岩手県指導漁業士),NPOから活動の報告と大学のリテラシー教育について期待を寄せていただいた。本プログラムでの大きなテーマは水圏環境教育ということであるが,最も重要視しているところは「つながり」「恊働」ということであろう。例えば,環境と人間生活は対立するものでない,人間と人間の関わりもつながりを持っている,合意形成という言葉もキーワードであろう。また,それらはおのおの地域だけの問題ではなく,水圏環境を媒体として地球全体にまでつながるということでもあろう。社会と科学とのリンク,トランスサイエンスということにも関わって行くであろう。細分化された学問をリンクさせるという意味もある。こうした理想にどれだけ近づけるか,水圏環境リテラシー教育に期待するところは大きい。