Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

マルセイユの海洋教育ー7 オフィスデラメール

2009-10-15 | フランスの海洋教育
 ダウンタウンにある海洋教育施設「オフィスデラメール」を訪問。ちょうど,マルセイユ港を囲み市役所の対岸に位置する。日本語に訳すと海洋事務所である。施設といっても,海洋教育を直接行う機関ではない。マルセイユ市の海洋教育を統括する役割を果たす。ここは,20年前はNPOであったが,現在は国,州,マルセイユ市が支援する公的な機関となっている。
 
 主に海洋を守るための教育普及活動を行う。200あまりの海洋に関する諸団体をつなげており,8つのテーマに取り組んでいる。そのテーマは,主に海洋保護に関するものである。

 ミッションとしては海を通したマルセイユ市のイメージアップ,海洋環境に関する仕事を広める,一般人への海の環境保護を訴えることだ。この点は,水圏環境リテラシー教育に通じるものがある。
 
 4年前より進めているキャンペーン「オーシャンリスペクト」をNPOと共に実施している。このキャンペーンの目的は,ゴミ問題,海洋汚染が深刻化している中,この解決の第一歩として,観光客,一般人,児童生徒の意識を高めることである。

  また,セプテンバーアクションという取り組みをNPOと共に実施している。このイベントではNPOと共に9月の1ヶ月間を通して海洋保護に関するイベントを実施している。毎日各地で海洋教育に関するワークショップを開催している(写真:Miss FONTAINEへのインタビュー)。
 

マルセイユの海洋教育ー6 マルセイユ市立海洋教育学センター

2009-10-15 | フランスの海洋教育
 ニースから2時間半でマルセイユに戻る。セカルディー博士の出迎えを受ける。市立海洋教育学センターを訪問する。

 ここでは,教育者が3名と事務職員が1名配置されている。50坪程の2階建ての建物は,1階に事務室と4つの教室,2階に大教室1つと準備室が2つある。主に小学校からの体験学習の受け入れを行っている。20年の歴史があるという。
 
 所長のレニー博士によるとフランスの小学校は,月に2回ほど学外に出て,体験的な探究的な学習を実施することになっており,キャンプや山登り科学実験などを体験する義務が課せられている。この制度は1970年代から実施されている。

 ワカサギ博士「なぜ,フランスでは体験活動を重視しているのですか?」
 レニー博士「確かに,時間がかかり,大変であるが,その分だけ知識を理解する時に早く理解できる。座学と体験はとても重要なのよ。」と語った。高校生は哲学が必修であるフランスは,知識もさることながら,体験の重要性を認識しているということだろう。

 このような体験学習を重視しているのはフランスだけではない。アメリカや,フィンランドも同様に体験学習に力を入れている。アメリカのカルフォルニア大学バークレー校が実施しているMAREプログラム,シーグラントカレッジのエデュケーターによる教育活動,フィンランドの学校と地域が一体となって実施しているナショナルフィッシングデーなどだ。

 体験活動の推進方法としては,国により違いがある。アメリカは32の州立大学に存在するシーグラントカレッジが中心となっている。フィンランドは,学校と地域社会だ。フランスでは,オフィルデラメールも海洋体験活動の中心な役割を果たす。
 
 いずれにしても,海洋教育を推進するために大学や公的な機関が関わり,国を挙げて体験活動に取り組んでいるようだ。日本は,それぞれの活動団体が個々に活動しているが,体験活動の社会的認識を高めるためには中心となる機関が必要になって行くであろう。(写真は海洋教育学センター,chaine alimentaire<食物連鎖>を学ぶための展示コーナー)