Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

チョウザメの解剖

2010-05-21 | 話題
県内で飼育されていた チョウザメを頂き,解剖した。驚いたことに脊椎骨がやわらかい。鎧のような外部形態からは想像できない。通常の硬骨魚類は、三枚におろして調理するが、チョウザメを三枚におろそうとすると、骨が柔らかくて背骨を中途で切断してしまう。それほど骨がやわらかいのだ。しかし、体表面はとても硬い。特に頭部は包丁の刃がではまったく歯が立たなかった。
硬骨魚類ではあるが、古代魚に近い。脊椎骨を硬くする方向よりも表皮を硬くする方向に進化したのだろうか。
チョウザメの鱗は背部腹部と両側部にしかついていない。しかし,硬い。最も大きな鱗は背部のもので蝶の形をしている。ここからチョウザメという名称になったという。

OCEAN LITERACY PARTNERSHIP(海洋リテラシー推進部門)

2010-05-20 | 水圏環境教育センター
There are many problems such as global warming, food distribution, ocean pollutants which can not be solved by technology alone.
To solve these problems and to establish a sustainable society, people's thinking and action are needed.
In this division, we help people understand aquatic and marine environmental literacy in order to establish sustainable society. For the purpose of these aims, we connect national and local government, NPO, schools, universities, and informal education facilities.

OCEAN LITERACY PARTNERSHIP(海洋リテラシー推進部門)の英文紹介です。

登録有形文化財 雲鷹丸

2010-05-18 | 水圏環境リテラシープログラム
大学の構内には,文化庁より,有形文化財として登録されている帆船が展示されている。
この船は1909年,水産講習所2代目の練習船だ。主に北洋のカニ工船事業の研究や捕鯨の研究に活用された。
ちょうど,ワカサギの放流が最初に行われた年である。
雲鷹丸の記念歌は作詞が北原白秋,作曲が山田耕作という著名な音楽家により作詞作曲されている。
(http://web.me.com/hypomesus/site2/HOME.html で配信しています)
雲鷹丸記念歌 北原白秋・作詞 山田耕作・作曲
その北洋の夏の航海(たび)
雪はかヽれりリスタノボイ
将や輝く海の幸
ききし勲功(いさお)は幾何(いくばく)ぞ
極光(オーロラ)のもとに何時か又
嗚呼燃えたヽん郷愁(ノスタルジア)
雲鷹丸 雲鷹丸

夕日輝く珊瑚礁
椰子の葉末の春の月
友よ民と団集(まど)いして
打ちし鼓は何処方ぞ
思いは遠し今更に
あヽ憧憬(あこがれ)の赤道下

雲と翼の名も白く
これや我らの母の船
夢は果てなきマドロスを
産みし歴史は幾年ぞ
戦い疲れ老い朽ちて
あヽ時過ぎぬ今むなし
雲鷹丸 雲鷹丸

ホワイトの人格形成理論に思うこと

2010-05-13 | 学校
 生徒指導論に関する話題
ホワイト(White,R.W)によれば,人間は,意識的かどうかに関わらず,生きていくために何かを成し遂げようとする(何かを成し遂げようとする気持ちのことをコンピテンスという)。そして、親が適切に子供のコンピテンスに適切に対応すると子供は効力感(達成感)を持ち、さらにコンピテンスを高めようとする。

 例えば,親であれば以下のような経験はないであろうか?

 赤ちゃんは生後1年ほどで立ち上がろうとする。立ち上がったときに,周りの大人が,喜んであげる。手を叩いて拍手をしたり,「すごいネ。すごいネ。」と反応する。するとさらに上手に歩くようになる。

 また,幼児の時に、絵を描く。最初は,ペンを紙になぞるだけであるが,少しづつ線が丸になる,四角を書く,そして顔のようなものを書く,そして他人が見てもわかるような絵を描いていく。それぞれのコンピテンスに適切に反応することで、子供のコンピテンスが発展していく。

 このようなことは,幼児に限ったことでない。

 おそらく,自分は個々の行動がコンピテンスであると自覚していない場合もあるだろう。周囲がコンピテンスであると気づいていくことが大切であり,気づいていことで子供の能力がさらに高めることができるだろう。

 科学的思考力の育成も同じことが言えるのではないだろうか?子どもたちの気づきに教師や教育者がどれだけ気づいてあげるのか?特に自然体験での,子どもたちの気付きは,突拍子も無いものと思うときがあるが、実は大切な子どもたちのコンピテンスがあるのである。そのコンピテンス(気付き)を疑問、仮説、仮説の検証へとどう高めていくのかが,フィールドワークにおける重要なテーマなのである。

 
 

サクラマスの遡上

2010-05-12 | 閉伊川調査
 閉伊川にはサクラマスの遡上が,毎年この時期観察される。なんと美しい魚なのであろうか?釣り師に聞くと,海の定置網でとれたサクラマスよりも,味はずっと良いという。年間100本は釣れるのだろうか?大変貴重な魚である。

 北海道では,河川に遡上したサクラマスは捕獲が禁止されていると聞く。北海道と同じような自然環境である岩手県は数多くの河川がありサケマスの産卵河川が豊富である。

 河川遡上のサクラマスを美味しくいただける場所というわけである。平泉にあるの柳之御所遺跡からサクラマスを食べた痕跡が見つかっているらしい。また,宮古市川井の小国川にもかつてはサクラマスが遡上したという。サクラマスとの付き合いは古いのである。

 サンフランシスコ周辺の河川でもさけの遡上が古くからあり,先住民の貴重な食料であった。しかし,飲料水,工業用水,農業用水を大量に組み上げ今や見る姿もない。

 同じ轍を踏まないよう,みなさんといっしょにしっかり自然を観察し見守っていきたいものである。

閉伊川水温12度水位3

2010-05-10 | 閉伊川調査
 閉伊川の水温12度水位は3(堰堤上部の水位約30cm)であった。金曜日の雨で水が出たという。今年は水温の上昇が緩やかで,ワカサギの遡上が見えないという。連休を過ぎてワカサギが遡上しないというのはこれまで16年調査を続けて初めてである。遡上していないのが,水温の影響なのかあるいは,個体数が減少しているのかどうかは明らかではないが,継続的な調査が必要である。写真:閉伊川大一堰堤を上流側から望む

海洋リテラシー推進部門主催「環境白書を読む会」が開催されます

2010-05-09 | 水圏環境教育センター
平成22年版環境白書を読む会(東京会場)
「環境白書を読み解き活用する~身近な環境問題を伝えよう~」
共催 環境省 国立大学法人東京海洋大学産学・地域連携推進機構海洋リテラシー推進部門

開催日時 平成22年6月30日(水) 16時15分開会 20時15分終了(予定)

開催場所
国立大学法人東京海洋大学品川キャンパス「白鷹館(はくようかん)」

参加方法
 下記宛に住所氏名,電話番号,会社名を記載し申込むこと

開催内容  16:10~16:25  開会・挨拶 
      16:30~18:30  第1部

      「 環境白書を読む会」

平成22年度6月に閣議決定される「環境白書」について、
“環境”“循環型社会”“生物多様性”など多様なトピックか
ら、白書の編集者が最新の環境行政をわかりやすく解説する。

      18:30~18:40  休憩
      18:40~20:10  第2部

      「環境白書、活用法のヒント」

白書の内容をふまえ、白書を読み解きどのように活用するのか
東京海洋大学での取り組みを紹介し,総合討論を行う。

      20:30      閉会
 
申し込み締め切り 6月18日(金)

申し込み先
 東京海洋大学産学・地域連携推進機構海洋リテラシー推進部門
  hypom@goo.jp 担当:海洋リテラシー推進部門事務局 佐々木

※本講習会は,海洋リテラシー推進部門より受講証が発行されます。

季刊エコツーリズムで記事が紹介されています

2010-05-07 | 水圏環境リテラシープログラム
「探究学習法を活かした水族館とエコツアー」と題し,モンテレー湾水族館とシーカヤック体験乗船が紹介されています。

「このエリアにはね,2種類の人手が生息していてね,それぞれとても興味深い生態的な特徴を備えているんだ.」と目を輝かせ若いエコツアーガイドのスコットは語った。

 シーカヤックで砂浜からエントリーし,モンテレー港にはいる。アザラシのいる桟橋を横切り,防波堤前で一度停止する.スコットは防波堤に付着した2種類のヒトデを指差し,「こんなすてきな生き物はいないよ.」と観察を促した.

そして,私たちが向かったのは防波堤の先に見えるモンテレー湾水族館前のジャイアントケルプ群である.気候といい風景といい風光明媚な三陸海岸の初夏を彷彿とさせた。潮風と海藻の匂いがたまらない.モンテレー湾水族館は,私が訪れた海外の社会教育施設の中でとびきり印象深い施設である。

 しかし,日本の水族館と似ているようで似ていない。それは何だろうか?実は,そこにはある種の仕掛けのようなものがある。まず一つは,モンテレー湾という美しい景観の中に,水族館が溶け込んでいることである。水族館の荘厳な白亜の建物を海上から眺めつつ海上の散歩ができるのは何ともいえず心地よい。時にはラッコがジャイアントケルプに巻き付いてぐるぐると滑稽に回ったり,貝を拾って食事をしている様子も観察できたりする。モンテレー湾を一望できる水族館野外観察デッキから子どもたちの歓声が聞こえる。洋上を散歩している私たちは観察の対象である。彼らの瞳には,人と自然が一体となっている様子が映し出されているのだろう。

 実は,モンテレー湾シーカヤックは自然体験を満喫できると同時に,達成感のようなものもある。私もエコツアーを体験する前に,水族館を訪問し観察デッキの観察者であった。「あ~,いいな~。私もあのように大自然の中でラッコとたわむれ,ジャイアントケルプに触れてみたい。」と願っていたのであった。3度目の水族館訪問でようやく願いが叶った。

 もう一つの仕掛けがある。自然の中にいると錯覚を起こすようなジャイアントケルプの水槽がある。いつも私は,この水槽に釘付けになる。ジャイアントケルプが人工波でゆったりと揺れ,まるで本物のジャイアントケルプの群落に入りこんだような気分になる。水槽をくいるように見つめる私のそばで,ボランティアスタッフが私の様子をじっーと伺っている。余計な説明や質問はしない。私が質問をするのを待っているのである。そういえば,スコットのガイドもそうであった。彼らは,こちら側が質問をすることを促しているのである。

 質問をもとに学習を構成する方法をInquiry based learningという。日本語では,探究(求)学習と訳されている。この探究学習はアメリカ合衆国が本場である。ヨーロッパ,アメリカで野外体験活動を重視しているが,この探究学習がライフスキル(学力の向上や人間形成等,生きる力)を高める上で重要であるという認識があるのだ。

 このエリアの特徴は,水族館とエコツアーが景観の中で溶け込むだけでなく,自然をよく観察し,質問をすることによって,大いなる自然への興味をわかせ,学習の意欲を次なるステップへと導いていく。水族館での学びが,スパイラル的にエコツアーの充実感につながっていくのである。

 シーカヤックによるエコツアー体験のあと,私はもう一度水族館に足を運んだ。ジャイアントケルプ水槽前に立った。日本でもこのようなコラボレーションができないか期待を持ちながら。