カワニナ Semisulcospira libertina (Gould, 1859)は、カワニナ科(Family Pleuroceridae)カワニナ属(Genus Semisulcospira)に分類される巻貝である。ゲンジボタルの幼虫の餌となることで有名である。
ゲンジボタルの幼虫は、自然界においては、これまでカワニナしか食べないということが定説であったが、富山県在住の中氏によって、自然界においてミミズを食べていることが観察され、その後、ミミズだけで人工飼育した結果、成虫にまでなっており、カワニナしか食べない、カワニナでしか成長しないということは間違いであったことが証明されている。経験からも、他にも様々なものを食べていると思われるが、それらは副食であり、やはりカワニナが多数生息する場所には、ゲンジボタルの発生数も多く、比例関係にあると言える。
ゲンジボタルの復活を試みる地域は、全国的に多い。まず、生息条件となる物理的環境の整備が必要だが、要はカワニナの繁殖であろう。簡単な方法として、他地域から採取したカワニナを
大量に放流することが行われているが、カワニナは放流する場所と同じような環境で育ったものでなければ、なかなか定着はしない。半年間において親貝1個が生む平均稚貝産出数は一ヵ月あたりおよそ30個で、その稚貝は一年余りで第2世代の稚貝を産出するまでに成長するが、それまでに約90%は死んでしまう。
「新日本製鐵株式会社 環境報告書 平成11年度」のP19によれば、大分製鉄所でスラグに含まれる酸化カルシウムとケイ酸がカワニナの生育に有効であることを利用して、カワニナの増殖に成功しており、それらの性質を利用してカワニナやそのエサのケイソウが増殖するコンクリート擁壁の特許も公開されている(特開平11-247207、特願平10-48001)が、カワニナ増殖のためには、餌や水質も大切な要素であるが、それ以上に生態系のバランスが重要だ。
写真は、里山の水田脇を流れる小さな小川で繁殖しているカワニナである。カワニナは、底が礫の渓流にも生息しているが、里山では、こうした底質が泥の細流に生息し、条件が良ければ
大繁殖するのである。この場所はゲンジボタルの生息地でもあり、ゲンジボタルの生態系が整っているが、鑑賞者のマナーが悪く、光害のために発生数は少ない。
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カワニナ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 3200(2016.10.22)
カワニナ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/125秒 ISO 1000(2016.10.22)
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