ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ハネビロエゾトンボ(ホバリング)

2024-07-29 13:15:15 | トンボ/エゾトンボ科

 ハネビロエゾトンボは、2012年に千葉県、2020年と2022年に栃木県で撮影し当ブログにも掲載しているが、産卵の様子は未撮影で、飛翔に関しては、真横からのカットはピントが甘く、ジャスピンのものは斜め後ろからで複眼と胸部の色彩が分からないものばかりであった。これは、生息地がかなり暗い場所であったり、小川に近づけなかったり、個体数が少ないなどの理由による。今年は、何とかして複眼の先の触角から尾部付属器までピントが合っていて他種との区別ができ、エゾトンボ科らしい金属光沢の色彩を写して残したい。
 しかしながら、ハネビロエゾトンボは、北海道から九州まで分布しているが、環境省版レッドリスト(2020)では絶滅危惧Ⅱ類として記載され、都道府県版レッドリストでは、何と40の都道府県で絶滅、絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種として記載されているほどの希少種であり、どこでも撮影できるトンボではない。そこで、トンボの羽化撮影ではスペシャリストである知人S氏に相談し、S氏がいつも撮影されている場所をご教示いただき、向かうことにした。

 ハネビロエゾトンボの生息地は、私が過去に他のトンボの撮影も含めて何回も訪れている場所から、ほんの数百メートルしか離れていない所で、小川沿いに歩くことができ、撮影がし易い環境であった。まずはロケハンと思い小川に近づくと、すでに10頭を超えるハネビロエゾトンボのオスたちが、流れのあちこちで縄張り飛翔を行っていた。早速、準備を整え撮影開始である。
 今回の目標は、先に記したように複眼の先の触角から尾部付属器までピントが合っていて他種との区別ができ、エゾトンボ科らしい金属光沢の色彩を写すことである。前記事のマルタンヤンマやネアカヨシヤンマのように木の枝に止まっていれば容易だが、ハネビロエゾトンボの場合はそうはいかない。ただし、個体数が多く、それぞれが狭い範囲でホバリング(静止飛翔)しており、その長さがエゾトンボ科の中でもトップクラスで、最長で10秒くらいある。
 飛翔撮影は、いつものようにAPS-CのCanon EOS 7D に21,000円で購入した中古の Tokina AT-X 304AF 300mm F4 レンズを付けて勝負である。撮影方法は人それぞれで、広角レンズで絞り込み、被写界深度を深めにして「置きピン」で撮る方法もあるが、今回の目標を達成するには、トンボを画面一杯にアップで撮りたい。勿論、プロキャプチャーモードやトンボを認識して追尾するオートフォーカス機能などないから、「置きピン」もせずマニュアルフォーカスで撮るスタイルである。近くの大木で樹液をなめている翅がボロボロのオオムラサキに誘惑されながら、更には同じく樹液をなめているオオスズメバチの大群に耐えながら、撮り続けること1時間。何とかそれらしい写真を撮ることができた。S氏に対し、心より御礼申し上げたい。
 オスの撮影に疲れてきた頃、小川沿いを歩いてみると、木の枝にハネビロエゾトンボのメスが止まっていた。メスは、初撮影である。産卵も撮りたいのだが、昼からはゲリラ雷雨の予報で、昼前に訪問したい場所があったため、午前9時でこの場を引き上げた。産卵は昼近くに行われることが多いため、次回は、遅めの時間に訪れて交尾態と産卵の様子を収めたいと思う。
 ちなみに、7月26日にホソミモリトンボの生息地に今期2回目の訪問をしたが、飛んで来るものの雌雄共に1枚も撮ることができなかった。(昼近くになって、そろそろ帰ろうとしたところ、30m先に熊がいて目が合ったので、すぐに退散)こちらも再度訪れ、交尾態と産卵の様子をしっかりと撮って残したいと思う。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/250秒 ISO 400 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 8:00)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/250秒 ISO 400 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 7:58)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/250秒 ISO 400 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 7:36)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 400 -1/3EV E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 7:10)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 400 -1/3EV E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 7:10)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 3200(撮影日:2024.07.24 6:43)
ハネビロエゾトンボ(メス)の写真
ハネビロエゾトンボ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/250秒 ISO 400 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 8:32)
ハネビロエゾトンボ(メス)の写真
ハネビロエゾトンボ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/250秒 ISO 400 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 8:33)
ハネビロエゾトンボ(メス)の写真
ハネビロエゾトンボ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッター速度優先AE F4.0 1/320秒 ISO 3200 E-TTL評価調光(撮影日:2024.07.24 8:33)
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