幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 僕は確かにそこにいた

2014-02-05 02:47:15 | Weblog

 
 
  僕は確かにそこにいた
 
  がたがた座りの悪い丸テーブル
 
  汚れてベトベトしている
 
  大きな窓ガラスから外が見えるが
 
  暖かい雨がパラパラ降っている
 
  雨は強い風に吹かれてあっちへ行ったりこっちに行ったり
 
  街路樹の柳の枝もフサフサと揺れている
 
  大きな窓ガラスには真っ赤なカーテンが端っこによせてあって
 
  ちょうどビロードの光沢のように外の光を反射させて赤く光っている
 
  丸テーブルにパイプに布地が張っていある折りたたみ椅子
 
  まるでガーデンデッキに置くのにぴったりのテーブルと椅子だが
 
  こんなレストランの中に配置されている
 
  こんなに安っぽくて薄汚いレストラン
 
  僕は確かにそこにいた
 
  そこにわざわざ船に乗って渡って来た
  
  店員も誰もいないが、向こうに家族連れの客が見える
 
  まだ注文の品は運ばれていないようだ
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
  
 
 
 
 
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿