幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 ぼくは夢見る間に

2013-05-06 03:05:39 | Weblog

 
 
  夢を見ていた
 
  不思議な音楽がうるさく流れていて
 
  ぼくが考えている言葉が聞き取れない
 
  誰かと話していているように
 
  自分の深い所にいる自分と会話するように考えているのに
 
  それもとっても大事な話しのように
 
  ひとつひとつ言葉を選びながら
 
  運命について会話するように
 
  耳を澄ませているのに
 
  ぼくには、自分の言葉が聞き取れないから
 
  同時に、違うことを映像として想像している
 
  屋上に出る階段のドアの取っ手のこと
 
  吹きっ晒しの風に冷たく凍っていて開かない
 
  静かに目を閉じると
 
  頭の大きな宇宙人か胎児に似ている自分が夜空の下にいて
 
  屋上に出るドアがカチャンと開いたら
 
  そこから街の灯りを見下ろして
 
  星の数と比較して
 
  星間長距離運転のオペレーター事務所に報告しようと
 
  考えているのに
 
  不思議な音楽の歌う唄の聞いたこともない言葉にひきずられて
 
  移民が国境を越える船に乗り合わせた雑踏で
 
  異国の言語を聞きながら
 
  明日の運命を何かに託している場面が
 
  今の自分の心情だと思えてきて
 
  自分でもそれが何かわからない何かに
 
  ぼくは祈るのだろうか?
 
  でも、祈ったりしないと
 
  思っている
 
  そこには、特定の宗教の神などいないし
 
  やがて音楽がロックンロールに変ると
 
  次にはすぐにクラッシックに変るようなもんだから
 
  ベートーヴェンのピアノソナタだ!
 
  それが真実だとは思わないし
 
  数学の証明のようには美しいとは思わないが
 
  夢見ている僕が
 
  夢の中でさらにうっとりと
 
  まどろむには役に立つかもしれないと思い
 
  ピアノの鍵盤が弦を弾く音に耳を澄ます
 
  ひとつひとつの音の連なりが
 
  自分の未来の運命を奏でるメロディーのように
  
  髪の長い女神が、やさしく秘かに秘密を洩らすように
 
  国境の海域を越える大きな船が
 
  音もなく海の上を滑っていく
 
  でもぼくは
 
  本当のことをそっときみだけに教えよう
 
  嵐になればいいと思っている
 
  暴風雨になって
 
  ぼくの乗っている船が沈没すればいいと思っている
 
  その訳は、きみだけが知っている
 
  目を開ければ、そこにきみがいるのに
 
  ぼくは永遠に目を瞑ったまま
 
  君の瞳を見つめることもできないとしたら
 
  ぼくの聞いている音楽は
 
  永遠の眠りでしかないから
 
  でも、それでもいいときみが言うなら
 
  ぼくはこのままずっと
 
  夢見ていようと
 
  ぼくは会話している
 
  ぼくの中にいるもう一人のぼくと
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

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