人生、思いどおりにはいかないものだ。
でも、僕にとって欠落しているものは、
必ずしも、僕に原因があった訳ではなかった。
僕が生まれる前からそのようになっていた。
つまり、僕はその環境に生まれ、
欠落したまま育った。
したがって、僕が欠落していたのではなく、
初めからそうだったのだ。
そのことに、初めて気づいた。
そして、しかし、僕は、欠落したものを
今から補おうとは思わない。
それは、僕にとっては傷だ。
未だに痛みを感じ、口を開き、血が流れている。
それを癒すことはできない。
この痛みを受け入れるしかないのだ。
日陰で育った植物は成長しない。
手折られた枝からは新しい芽は出ない。
そして、それを手折った者がいて、
その枝を売りさばいて、
のうのうと暮らしている者がいる。
それは、許されない行為だが、
それを裁く手段はない。
復讐したとしても、
失われた枝は戻ってはこないし、
出るはずだった芽が、
再び芽吹くことはないのだ。