喜多院法興寺

住職のひとりごと

イグ・ノーベル賞に日本の「わさび火災報知器」が

2011-10-01 06:32:55 | Weblog
10月1日付 編集手帳 読売新聞
 {冬の深夜、はいはいで寝床を抜け出た赤ちゃんが土間に落ちた。火のついたように泣くが、耳の不自由な両親は目を覚まさない。映画『名もなく貧しく美しく』(松山善三監督)につらい場面がある。
◆聴覚に障害をもつ人にとって、睡眠時の異変ほど怖いものはなかろう。ワサビのにおいで火災を知らせる装置を開発した会社シームス(本社・東京)に「イグ・ノーベル賞」(化学賞)がハーバード大学で授与された。
◆まじめでどこか楽しい研究に贈られる賞で、「カメではあくびがうつらない」研究(生理学賞)などが同時に受賞している。
◆研究の切実さではカメのあくびと一緒にして欲しくない気もするが、こうした商品を海外の聴覚障害者が広く知る契機になるならば、まあヤボは言うまい。
◆書棚のシナリオ集をひらく。愛児を死なせて我が身を責める妻(高峰秀子)を、夫(小林桂樹)が慰めて言う。「アナタヒトリノ、セキニンデハナイ、ボクタチ、フウフハ、フツウノヒトヨリモットモット、イッショウケンメイニイキナケレバナラナイトオモイマス…」。ワサビに負けず劣らず、鼻の奥にツーンとくる。}

 ユーモアある発明や研究に贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」に、わさびのにおいがする気体を噴射して、聴覚障害者に寝ているときでも火災を知らせてくれる装置の開発に携わった日本人7人が化学賞を受賞した。受賞理由は「火災などの緊急時に眠っている人を起こすための空気中のわさびの理想的な濃度の発見とこれを利用した警報装置の開発」。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は5年連続となると言う。まじめでどこか楽しい研究で賞を貰えることは、大変良いことだ。