うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

宇部の空、今朝は...(168)

2007年09月20日 20時48分52秒 | うべプラネタリアン
雲ひとつない快晴だった。
夜半に少し雨が降ったので、空気が洗われて、浮き立つようないい天気だった。
いつもは6時に起床するのだが、今朝は5時半に起き出した。
東の空を見たら、黎明の中に金星とシリウスが輝いて、ため息の出るような美しさだ。
金星は、太陽が昇って、空全体が青く光る時刻になっても見えていた。
朝の散歩の途中に、何回かかみさんに「今の金星は-4.6等の最大光度だから昼間でも見えるんだ」と、
あれだ、あんな風に、と指さすのだが、「見えないわからない」の一点張り。
実際、昼でもこの時期の金星は見える。
どうでもいいけど、青空の中の星なんて、見つけるとちょっとうれしいよ。
太陽の西、腕いっぱいに延ばして手指を広げその幅の2倍の位置に、真っ昼間でも光って見える。
ちょっと眼をはずすともうわからなくなるから、建物の角か木の枝か何か、目星をつけておくとよい。
明日の朝もきっといい天気だと思うから、ちょっと早起きして、東の空の鳥肌の立つような美しさに出会ってごらん。
星好き病に罹るよ、てきめん。

これを見ても星好き病になる。アンドロメダ銀河。230万年前の光。

宇部の夜空、今宵も...(167)

2007年09月19日 21時18分49秒 | うべプラネタリアン
なかなかに美しい。
が、月のふくらみ具合や木星とアンタレスの位置関係を見たとき、その見事さは、昨夜に及ばない。
とおりいっぺんに夜空を見ていて、何とも思わなければただそれだけのことだが、
もう5分、つぶさに見る癖をつけると、昨日と今日の違いがわかって、ちょっとうれしくなる。
夜空は、毎夜違う。
子どもの成長は、母なら、わかる。絶対に昨日と今日は違う。
他人なら違いがわからなくとも、愛情の眼をもって「今」をしっかり見ているから、ちょっとした成長がわかる。
それと同じだ。しっかりと「今」を見つめる。そうすれば、昨日と今日と明日の違いがわかり、ちょっとうれしい。
ひそかに、ふっと心が熱くなる、それがすきで、今宵も夜空を仰いでいる。

画像は、はるか彼方の銀河(NGC2685) <NASA>
同じように見える銀河もひとつとして同じものはない。



今宵の宇部の空は...(166)

2007年09月18日 20時09分11秒 | うべプラネタリアン
久しぶりにクリアに晴れて美しい夜空だ。
南西に低く木星が夏の名残の光を放ち、真下にアンタレス、そのすぐ東に6日月。
月と木星とアンタレスのそろい踏み。
少し風があるので、アンタレスの瞬きが激しい。
木星は(もちろん月も)光の面積があるから瞬かない。
この瞬きが星の☆たる形を作った。
五本の角のある美しい姿は、語りかけるような星のきらめきを示して見事な造作である。
深いブルーに沈む空をしばしながめていて、「なぜ星は☆の形をしているのですか」という、子ども達の素朴な質問に、
「生の星を見てごらん、形の通りだろ」と答えたその答えが間違っていなかったことを実感するのである。

画像は、さそり座散開星団M7 (NASA)。

星の古記録  2 ...(165)

2007年09月17日 17時02分15秒 | うべプラネタリアン
9/14に同じタイトルでレポしたが、9/16にも同じ方(下関の歴史研究者)から電話あって、さらに調べて欲しいという。
①331年3月30日 日食
②350年6月1日  日食
③366年7月惑星(金星)食?
④373年6月30日 日食
おもしろそうなので、またシュミレーションを試みたが、全くどれもはずれ。
先の記録はドンピシャだったが、これは間違っていて欲しいと前提を入れていたので、どうやら、同じ記録の年代比定らしい。
「合わない」ことも検証しなければならぬ。
魏志倭人伝(女王卑弥呼)が、AD147ともAD239もいわれるが、そのころの記録である。弥生時代、古墳の埴輪や銅鐸と同じ資料だ。
それがかくも正確で、きちんと残されていることに目を見張る思いだ。
この歴史家は、神武天皇から数えて14代目の仲哀天皇に着目している。
その当時朝鮮半島と戦になり、仲哀天皇方(日本)が負け、朝鮮から「塵輪」なる将軍が攻めてきたというのである。
それが、瀬戸内各地に残る鬼伝説であり、牛伝説であるという。
そのころの記録が朝鮮側にあって、天体現象が同時に記録されていて、それが正しいとなると、
政治内容は為政者の勝手にゆがめられるとしても、年代比定は正確だということになり、
資料の信憑性が裏付けられ、画期的なことになるらしいのである。

なんだかわけのわからぬ話になってきた。空漠とした霧の彼方である。
画像は金環食。AD189.5.3にも朝鮮・日本で見られた。どんな思いだったか...

うみうし....(E16)

2007年09月16日 11時00分23秒 | 水の存在
☆SAE☆さんが「うみうし」について聞きたいという。
自然図鑑的な“海牛”の解説はさておくとして。

昔の話だ。私は、真夏に、全身総毛立つほどぞぉ~っとしたことがある。
長門二位の浜で「うみうし」を踏んづけた。意図したわけではない。
二位の浜は、砂と岩礁といっしょになった美しい海岸だ。
水深70㌢くらいの岩場を歩いていたとき、ぐにゃっとした物を踏んだと思ったら、
足回りがさっと紫色に変わった。くるぶしあたりがねっとりと紫になった。
何だろうと、水中眼鏡をかけて海中を見たら、そこいら中、濃い紫に白い斑点のある“うみうし”だらけ。
累々といる。るいるいと....
それが、いっせいに、ひらひらゆらゆら揺れながら、仲間を踏み殺された恨みにこちらに向かってくるようだった。
だいたい、うじゃうじゃいるというのはイヤだろう、なんでも。
大声を上げて浜に戻り、それ以来、40年来、二位の浜には行かない。

「うじゃうじゃいる、はびこっている」というのは、生物学的には、その生物は成功しているんだというが...。
どうだろう、この花は昨日に続いているが、山口市小鯖の八幡宮の参道に、それこそ、ぞっとするくらいはびこっている。
ここは、彼岸花の名所らしい。

太陰暦....(164)

2007年09月15日 21時38分23秒 | うべプラネタリアン
ここ数日、画像は、月齢を追いかけてきた。
月の満ち欠けは、見た目はっきりしているから、暦として使うのは便利だ。
しかし月の動きは不安定である。
お日様を「太陽」と呼び、お月様は「太陰」と呼ぶ。月を基準にした暦は、だから、太陰暦と呼ぶ。
現代、純粋な太陰暦を採用している国はないが、太陽暦と組み合わせて、
太陽太陰暦といわれる暦はいまだに活きている。
また、月齢と潮の満ち干は連動するから、職業(例えば漁業)によっては、
太陽太陰暦(いわゆる旧暦)は根強く支持されている。
旧暦は、30日の月が6ヶ月と、29日の月6ヶ月でできているが、その日数の総計は354日となり、
365日に11日足らない。3年経てば1ヶ月のズレが出る。
だから、うるう月が入ってきて、ある年は13ヶ月の年がある。
一年が13ヶ月なんて、月給のサラリーマンにとっては、これはいいことではないか。
今の太陽暦が採用され、世界レベルに合わせたのは、明治6年だが、要らぬことをしたもんだ...?。

この花も、正確にこの時期に咲く。

星の古記録....(163)

2007年09月14日 22時32分08秒 | うべプラネタリアン
まずは、『かぐや』の打ち上げ成功、めでたし、めでたし。

今日帰りがけにデスクに妙な電話がかかってきた。下関の歴史研究家とのことだが、
百済の古文書に天文に関する記述があるが、これらは正しいかというものだった。
具体的には(年は西暦換算)、
①170年3月30日 日食
②189年6月1日  日食
③205年7月惑星(金星)食?
④212年6月30日 日食
⑤186年10月 西北の空に彗星出現
これをステラナビゲーターで調べたら(場所は釜山として)、見事に一致した。
上記日付は旧暦だから現太陽暦とは1ヶ月くらいずれるが、
①は5月4日早朝部分食、②は5月3日夕刻金環食、④は8月14日夕刻部分食、
であった。
問題は、本人が一番重要と言っていた③だが、記述は「太白犯月」の4文字とのこと。
犯を食と見れば、太白は金星だから、金星が月を食うことになり、これはありえない。
調べると、同年9月4日に、月と金星が極めて近接していることがわかった。
さらに調べると、「犯」とは必ずしも「食」ではなく、0.7°以下に近接した場合も「犯」というらしい。
となれば、「太白犯月」は「金星と月が近接」と解釈できる。とすればこれも見事に一致する。
以上を電話でお知らせした。
このなかで、⑤はまるでわからなかった。ハレーの回帰は全く関係がないし、もう少し腰を据えて考えてみよう。

こういう話は大好き。星の古記録の正しさに瞠目するばかりだ。
この件後日またレポすることがあるだろう。どなたか詳しい方はご教示願いたい。

画像は27夜の月

かぐや....(162)

2007年09月13日 21時28分16秒 | うべプラネタリアン
最終的に、打ち上げは明日(9/14)10時となったようだ。
『かぐや』は、当初セレーネという月を表す名前で呼ばれていたが、愛称募集したところ、
圧倒的に「かぐや姫」にちなんだ名前が多く、『かぐや』となったようだ。
明日空にあがった家具屋は←ちがう!『かぐや』は、一旦地球周回軌道に乗った後、徐々に軌道をふくらませて、
約3ヶ月後くらいに月周回軌道にのり、月面上100㎞の宇宙空間に安定する。
そのころ、2台の子衛星を分離し、本体衛星と合わせ総勢3台がコンビとなって、
月の南北を舐めるように周回する計画だ。
すべてが安定したのち、月の解析にはいるが、南北の軌道をとることで、
すべての地域が調査できるはずで、実に興味深い。
ハイビジョンカメラも搭載しているということだから、鮮明な画像をたくさん送ってくれるだろう。
来年年始は、初日の出ならぬ、初地球出のハイビジョン映像が中継されるかもしれない。
わくわくするような楽しみだ。
来年1年は天文界の話題は月につきるか。

画像は下弦の月(22夜の月)

月の水....(E15)

2007年09月12日 20時48分33秒 | 水の存在
バリバリに干からびた月に、水が存在するといわれると“ほんまかいな”と思うが、
南北両極のクレーターの底にかなりの量の水(もちろんじゃぶじゃぶの水ではない)があるらしいのである。
地球は軸が23.44度傾いている(赤道傾斜角)が、月は6.7度と、地球に比べればずいぶんと“立って”いる。
そのため、両極には太陽光(熱)が当たらない深いクレーターがあり、その表土の下には3億トンともいわれる
巨大な量の水が凍りついているらしい。
その水は、なんと、45億年前ともいわれる月創世記に彗星がもたらしたというから、さらにおもしろい。
月の成因や、太陽系の成り立ちなど、こんな謎、あんな夢を、
明日(9/13)打ち上げられる日本の月周回衛星『かぐや』が解明してくれるはずだ。
そんな壮大な楽しさを考えていると、安倍総理の辞任劇など小せい、小せい。

画像は二十夜の月(ふけまちづき)

月のサイズは...(161)

2007年09月11日 20時21分52秒 | うべプラネタリアン
ある移動天文教室で、「月って実質どのくらいの大きさなんですか」と聞かれた。
その辺の数値はいつも頭に入れているから、「直径3500㎞くらい、地球が、12800㎞くらいだから、
まあ、1/4ですかね」と答えた。
すると、「ほほー、日本くらいですか...」との反応だった。
私には、実は、そんな比較の感覚がなかった。
3500㎞といえば、それはそうだが、地球のあの美しい衛星が、日本と同じサイズと言われると、
いやに月が矮小な感じがしたし、日本はそんなにデカいかなぁと首をかしげて、ちょっと複雑な思いがした。
サイズの比較の話は、時として思いがけない感覚を教えてくれる。
宇宙創生のインフレーションは、瞬きもない間に、ウイルスが銀河団のサイズになるほどのスケールだというから、
これ以上のサイズの比較はない。
卑近なところで言うと、宝くじの1等は250万本に1本として、地図の縮尺で考えると、
A3サイズに描かれた九州の地図くらいに当たる。そんな紙切れ1枚と九州全土と比較しても始まらないわけで...
天文野次馬はなんとも雑食だというとりとめもない話。

画像は、月齢十九夜の月(ねまちづき)