うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

うべプラネタリウムが、郊外の... (39)

2007年02月15日 22時43分17秒 | うべプラネタリアン
小学校に出向いて、移動天文教室いわゆる「星の出前」をするときは、重い望遠鏡を3台も組み立てたり撤収したり、なかなか大仕事なのだが、多くの人が集まり、思いがけずいい出会いがあったりして、それなりにたのしい。
特に晴れていれば、すばらしい星空に会えるので、なおさらである。

船木という郊外の小学校で、2年前の部分月食の日だったか、満月の下で大声で説明をしていたとき、
小さな手が私の膝を引っ張った。
「あのね、どうしてお月様はあがってくるとき大きいの?」
「え、良く気がついたね、あなた何年生?」
「まだ...」
「ふうんまだ幼稚園か、よく観察してるね、自分で気がついたの?」
「うん、ママに聞いたらね、おじさんに聞いておいでって」
「そっかぁ..ほんとにねぇどうしてだろう、大きいよねぇ..実はおじさんも不思議なんだ」
実は、錯覚なのだ。
満月は昇るときも南中するときも、手をいっぱいに伸ばして5円玉を掲げ、その穴にすっぽり収まるのをみれば、すぐわかる。
ただ、どうしてその錯覚が生まれるかということは、いくつかの要因がからんでそれなりにおもしろいのだが、
そんな説明は子どもの前では屁の役にも立たない。
実際に、昇る満月、沈む夕日 はでっかい。
でっかく見える自分の目をまっすぐ信じること。
わぁ大きいお月さま!と感動したら、それはなにもいうことはない。
私はしゃがんで、その子と目線を一つにして中天にかかる(小さくなった)満月をしばらくいっしょに見つめていた。
「やっぱし、おおきい」ほっと女の子はつぶやいた。