月の光(ルナティック)文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
この満月さんの小説。宗教を持つ自由を確認できる痛快ハードボイルド。
改造2000CCバイクを操る主人公と、空手の名手律子との麻薬集団に拉致された友人救出劇。
「宗教的な心はわるくない。宗教的思索も素晴らしい。しかし、宗教団体は最悪だ。なにを信じるのも自由であるが、自らの信じるものを他人に押し付ける権利は誰にもない。」月の光P6.
「善意といものは立場の違う者にとっては常に悪意をはらみ得るものだし、真実は常に相対的なものであり、相対的なものである以上、真実という概念はすでに破綻している。あんたの真実・私の迷惑だ。」P6.
「宗教学は洗脳による人格変容のプロセスをイニシエーションと呼ぶ。ベトナムに捕虜となっていたアメリカ兵だけでない。シベリア抑留されていた三波春夫も日本に帰ってきてしばらくは社会主義講談なるものをやっていた。」P257.
「宗教は、体制にとって邪魔であるから弾圧されるのだ。真の宗教は革命的である。」P295.
最後には「宗教を信じない自由も人間にはあるはずだ!。」と教祖を追い詰めていくのだが、実際に、この小説が発表されてから、オウム真理教事件が勃発してしまう。満月さんには社会情勢を予見する能力があるんだろうか?