以前にも、「雑多な写真」というタイトルで、何度か記事を書いた。
訪れてはみたものの、掲載できそうな写真の枚数が少なすぎる場所を寄せ集めて一つの記事にしたもので、基本的には数日分、複数の地域の写真を纏めて掲載していた。
今回は、此度の但馬行きで立ち寄った場所からのみで、 その点は過去とは少し違うが、主旨は同じである。
先日からの記事で、空気が濁っているということを書いていたが、実際のところはこんな感じ。
村岡地区の棚田に残っていた桜を撮ったもの。
これでもコントラストの設定は少し強めで撮っているので、実際は更にぼやーっとした風景だ。
その桜の根元、近景を撮るぶんには、空気の濁りはあまり問題にならないようだ。
オオイヌノフグリとハコベも少し見られるが、ほぼ、スギナ、ヒメオドリコソウ、フキの三つ巴状態になっている。
私のイメージでは、スギナが最も生命力が強いという印象だが、帰化植物であるヒメオドリコソウは脅威でもある。
フキはどこの山里でも見られるものだから、それなりに強靭なのだろうが、この二種に負けていないのは意外という気もする。
共存共栄を願うべきか、食材として好きなフキに頑張ってもらうべきか迷ったりするけれど、そんなことをT君に言っても怪訝な顔をされるだけだろうから黙っておく。
瀞川稲荷に寄った後、猿尾滝を訪ねる。
空気のせいか、やはりいい色が出てくれない。
まだ淡い新緑が美しくもあったのだが。
落差のある二段の滝で、下段はナメ状になっている。
上段は複雑な形状の岩で、地質の違いが面白い滝でもあるが、写真として面白いのは上段の滝だ。
前回訪れたときは、その表情を楽しんだのだが、今回、上段の滝への道は通行止めになっていた。
やや物足りない再訪ではあったけれど、谷間の新緑には惹かれるものがあった。
この時点で時刻は16時で、あと一箇所くらいしか撮影できないだろう。
猿尾の滝が中途半端な撮影で終わったので、どこかもう一箇所、滝を撮りたい。
再び地図と睨めっこをして、神鍋にある一ツ滝に向かうことにした。
長い蘇武トンネルを抜け、稲葉の集落から川沿いの道を遡ると、滝の案内板と駐車場がある。
駐車場からは遊歩道を辿ると、すぐに滝が見えてくる。
猿尾滝は南向きの谷間だったが、こちらは東向きの谷間に懸かる滝だ。
だから新緑は期待できないだろうと思っていたし、実際に緑は寂しい状態だった。
滝自体も、遠目で見たときは意外と大きく見えて、「おお!」と思ったものの、写真にしてみると、随分小さく見えてしまう。
しかも滝の上部にはコンクリートの堰堤が見えていて、がっかりする。
ただ、この黒く光る岩肌は、艶かしくもある。
時刻は17時前で、辺りはやや薄暗くなり始めているから、概ねスローシャッターで撮る。
岩の表情が複雑なので、もう少し多彩な姿が撮れそうにも思うのだがままならない。
前のカメラでは、まず使うことの無かったISO1600の高感度で撮ってみる。
水滴を写し止めるほどのシャッタースピードは無理だが、以前のカメラに比べて明らかにノイズは減っているし、これは今後も活用することになりそうだ。
駐車場所から見上げた、淡い新緑。
谷間には桂の大木もあって、日本海側の山らしい風情。
滝を後にして、稲葉の集落を少し過ぎた辺りで、薄暗い中でも明るさを纏うような新緑が目に飛び込んできた。
地図で調べると、水口八坂神社とある。
奥行きは無く、ここからでも本殿は見えているし、鎮守の杜と呼べるほどの規模も無いけれど、これぞ山里の神社と思える風景で、この日、一番惹かれる風景でもあった。
撮影日 180417