神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

七里御浜

2018年06月21日 | 

三重県熊野市


飛鳥神社からは熊野市街方面に向かう。
天気は曇りのままで海の色は冴えないけれど、ついでだから鬼ヶ城に寄ることにする。
鬼ヶ城は海岸の景勝地で、浸食された岩が、独特の奇妙な景観を作り上げている。
まずは遅くなってしまった昼食を摂る。
観光客の多いところだから味は期待していなかったが、鯛と鮪の海鮮丼は悪くなかった。



よく整備された遊歩道を進めば、こんな風に頭上を覆う奇岩が次々に現れる。
面白いところだが、観光客が多くて人が写らないタイミングに苦労するし、何よりここは青空と青い海でないと映えない。


岩壁に見える手摺を目で追えば、なかなかスリリングなところで楽しそうだが、こんな天気だし、この後に寄りたいところもあるので先に進むのはやめておく。



天気や時間によっては、異世界風の写真が撮れそうなところではある。

国道42号線を南下。
左手には防風林がずっと続く。
暖地らしい濃密な緑の防風林で、海辺に多い松林ではなく、楠などの常緑広葉樹を主体とした森だ。
明るく開けた国道から見ると、鬱蒼とした密林に見える。
一時期、南紀に足繁く通ったことがあって、この道は50回以上は走っている。
その度、ちょっと車を止めてこの防風林の中を散策してみたいなぁ、と思ったのに一度も実行せず、七里御浜についても同じで一度も浜辺に立ったことがない。
というわけで、この機会にちょっと立ち寄ることにする。



防風林を抜け、まずは浜辺へ。
遠目から見ると砂浜に見えるけれど、近付いてみれば、砂礫、というか殆ど小石ばかりの浜だ。
泳いでいる人を見かけたことが無かったので、恐らく波が高く水深も深いのだろうと思っていたが案の定で、遊泳禁止と書かれているし、風もあまり吹いてないのに波は豪快に打ち寄せる。
波打ち際は急傾斜で、その右側は、やや平坦になっているが、時々来る大きな波が、その平坦なところまで舌を伸ばしてくる。
飛沫が霧状になって浜を白く霞ませている。



どんよりとした曇り空で海は鉛色だが、うねる波に、時おりドキッとするような青さが現れる。
そう言えば、ここからそう遠くない楯ヶ崎に行ったときも、同じように、波の中の青さにドキッとした記憶がある。



急傾斜の手前のところに座り、ずっと波を見続ける。
波が打ち寄せる時には豪快な水音だが、返す時には玉砂利がシャラシャラと独特の音を立てる。
何故かそれが心地よく聞こえる。
「なんぼでも見てられるな」
T君にそう言うと、彼は黙って頷く。
焚火の炎を見ているときと、どこか似ている感覚だ。
ひと時として同じ形を保たず動き続ける、というところが、共通しているのかも知れない。



空がやや明るくなって、雲に表情が出てきた。






いつしか青空も顔を出して、清々しい空気になる。
私としては珍しく爽やかな写真になったので、お気に入りの一枚。
右側の雲の表情は、不穏なものにも見えるけど…。



防風林が目当てだったのに海がメインになってしまったが、少しだけ林内も歩く。
外から見れば暗い密林のようであったのに、中を歩けばそうでもない。
ちょっと物足りない気もする。
ただ、この森は海沿いに何キロも続いているし、場所によってはもっと深い木々のところもあるだろう。
霧が出たりすれば別世界になりそうだし、朝の表情も見てみたい。
何より、家々のすぐ近くにあって、こんなところを毎日散歩出来たらいいなぁと思う。
南紀は海も山も豊かだが、平地や家並みのそばにも、心惹かれる豊かさがある。


先日、PCが壊れたことを書いたが、その日の昼前にネットで新たなPCを注文すると、翌日の昼過ぎには届いた。
別にお急ぎ便や日付指定などはしてないが、今回に限らずネットで買い物をすれば、大抵は翌日に届く。
便利で有難いとは思うものの、この便利さは、どこかに皺寄せというか、無理を強いている部分があるようで、ちょっと行き過ぎの感がある。
急ぎの場合は割高な配送料、そうでない場合は三四日後の配達くらいでいいのではなかろうか。


撮影日時 180529 15時30分~16時15分


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4 コメント

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Unknown (Jun)
2018-06-22 20:49:09
新しいPCでの初投稿ですね。
おめでとうございます、と言って良いものやら、地震でご愛用のものが壊れた後なので、何とも言えませんね。


鬼ヶ城、幼い頃に祖父母が旅行に行って写真を見せてくれました。奇岩が本当に鬼に見えた記憶があります。
母親の実家はみなべ町で、鬼ヶ城あたりはもう遠い旅行に行く目的地だったのですね。

海岸の写真は、みなべの海岸にそっくりで懐かしい感じがしました。祖父母の家から国道を横断するともう堤防で、堤防の下が2、3メートル以上あったでしょうか。そこから波打ち際まで20メートル近くあって、砂と砂利が交互にありました。波打ち際から水中へはいきなり落ち込んでいるので、遊泳禁止。泳ぎたい時は川か千里浜へ行かなければなりませんでした。
綺麗な貝殻や小魚を拾って歩いた事を思い出します。

波で砂利が鳴るでしょう。夜になってあの音が聞こえたら、海が荒れるなぁと。
台風が来ると波が砂利を巻き上げて堤防を超えて来るので、国道は砂利運搬トラックがぶちまけたのかと思うほど、砂利だらけになります。だから波に当たるのはとても危険です。
でも和歌山の人にとって、それは台風の度に起こる普通の現象なのですね。

波の中にチラリと見える青さ、わかります!
すごく透明で明るい、でも一瞬ですよね。


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Unknown (hiro1jz)
2018-06-23 11:16:09
>Junさん
壊れたPCはかなり古かったので、そろそろ買い替えないとなぁ、
と思っていたところでしたし、重要なデータを失ったわけでもないので、
まあ割とサバサバしています。

みなべから熊野は遠いですよね。
熊野が世界遺産に登録されてから、鬼ヶ城も観光客が増えて、
以前ほどゆっくり回れそうに無いです。

みなべの海岸といえば、岩代には二回行きました。
岩代は砂浜でしたが、やはり波は豪快で、太平洋の雄大さが味わえました。
河口で砂遊びするのが楽しかったです。
いえ、子供の頃の話では無く大人になってからのことですが(笑
磯の潮溜まりで遊ぶのも好きですが、浜も楽しいですね。
私は泳ぎが得意ではないので、小魚を捕ったり貝殻を拾ったりする方が好きです。

私が聞いた砂利の音は耳に心地いいくらいでしたが、
嵐の前はそんなものじゃないんでしょうね。
ただ、鬼ヶ城も七里御浜も、海が荒れているわけでもないのに怖さを感じました。
T君は自分のことを、「河童と呼ばれた男ですよ」と言うくらい泳ぎが得意なようですが、
鬼ヶ城の海を見て、「ああ、これは無理っす。死にますね」
と言っていました。

あの青さ、日本海では見たことが無いんですよね。
黒潮、太陽の向き、何が作用しているのか判りませんが、
あの青さが見たくて、いつまでも波を注視してしまいます。
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Unknown (Jun)
2018-06-24 19:43:36
こんばんは

蒸し暑くなって来ましたね。

昨年パソコンが壊れて、家人のパソコンで注文して、本当に指定した日(翌日)にはセッティングも終わって普通に使っていました。私の場合はアップルなので、アップル日本から直接中古が届いたのですが、本当に最近のは対応が早いですね。
クロネコがアマゾンで注文した書籍を持って来た時は、配達のお兄ちゃんが誇らしげに「早いやろ!」とおどけて言っていたのですが、他の人は疲労困憊と言った感じの人もいて、やはり歪みが出るでしょうね。

昨日は舞鶴で紫陽花の撮影をしました。
職場のパソコンにマイクロソフトが勝手に画像を送ってくるのですけど、その中に「梅雨に見たい絶景」シリーズがあって、舞鶴の自然文化公園だったら行けるなぁと。
雨の中、傘を差しての撮影なので、一眼ではしんどくて、結局コンデジでの撮影になりましたが。
雨でも観光客が多く、幻想的画像は無理でしたが、雨が木の葉を打つ音が滝の水音に似て、楽しめました。
平日だったらもっとゆっくりできるでしょうね。

北吸桟橋では海自と海保の船が入っていて、写真を撮りました。
艦船は大きくてうんと引かないと全体が撮れません。部分を面白く撮ることも大事だなぁと思いました。
船は好きですが、一番好きなのは海自カレーかな(笑

撮影を終えて車に乗って走り出してから日が差して来て雨が止み、悔しかったですけどね。

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Unknown (hiro1jz)
2018-06-27 01:51:54
>Junさん
こんばんは。

年を取るほど、暑いのも寒いのも苦手になってきました(笑

これだけ極端に早いのは日本だけですかね。
整備された流通網、過剰な顧客サービス、それに慣れて我儘になった客…。

紫陽花は雨が似合います。
アップで水滴と一緒に撮ったりしたいものですが、
やっぱり雨の日に一眼で撮るのはしんどいですよねぇ。
山に咲く、コアジサイやヤマアジサイが見たくなってきました。

先月、天保山に海自最大の艦船「かが」が入港して見学会も催されたのですが、
あれはちょっと行ってみたかったです。
舞鶴ではいつも国道からチラッと見るだけなので、
一度、立ち寄ってみるのもいいかも知れません。

梅雨の一瞬の晴れ間、とかに出逢えたらいいんですけど、なかなか難しいです…。
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