神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

日置川周辺の滝巡り 2

2010年11月02日 | 滝・渓谷
和歌山県西牟婁郡白浜町城


ドン谷、八草の滝を見た後は、日置川を少し上流に進み、支流の城川沿いの道に入る。
城という集落の手前、道の広くなっているところで車中泊をする。
時刻は18時くらいだったが、通る車も無く夜更けのような雰囲気だ。
そんな中、たった1台だけ、城に向かってバスが通っていった。
城が終点なのだろう、暫くで折り返してきて、今度は日置川方面に走っていく。
真っ暗な谷間の細い道に、バスの車内だけが煌々とした明かりに浮かび上がり、何だかちょっと「となりのトトロ」に登場する猫バスを連想してしまった。
何となくいい夢が見られそうな気がして、そのまま眠りに落ちる。

翌朝は、というか3時過ぎには目が覚める。
時間を潰してから薄暗い中を城の神社に参拝した後、地図にも名称が載っている滝ノ谷に入る。



入り口は谷沿いに林道が伸びているように思ったがすぐに行き止まり。
探せば踏み跡くらいはありそうだけど、面倒なので足を濡らしながら河原を歩く。



地形図からも想像出来るように穏やかな谷だ。
ただ、滝の谷という名称からすると、どこかに滝がある筈という予想も立つ。
尤も、ちゃんと滝があることは事前に確認済みなのだけど。



左岸が大きく伐採されている場所に出る。
比較的明るい場所にはアケボノソウがたくさん咲いていた。
花弁にある緑色の斑点がなんとも爽やかな印象を与える花だが、例によって私の持っているレンズではアップで撮れない。






伐採地の先からは谷間が狭まり、少し岩も目立ってくる。
振り返れば水面が綺麗だ。



概ねこういった風景が続くので、単調といえば単調だけど、心地よいといえば心地よくもある。



また岩が目立つようになってきた。



昨日のドン谷や八草の滝とは岩の表情も違うようで、水の色も少し違って感じられる。



やがて低い壁が立って、ちょっと廊下状になる。
雰囲気的に滝が出てきそうな感じだ。



予想通り、この谷初めての滝が現れる。
この滝が谷名の由来なのかも知れないが、落差は4メートルほどで、あまり立派なものでもない。
さて、周りを見回すが道らしい道は無い。
少し引き返せば簡単に斜面を登って滝の上へ巻くことが出来るだろうけど面倒だ。
滝の右側から岩に取り付き、水飛沫を浴びて登る。
傾斜も緩く、手がかりの多い岩なので簡単だったが、水飛沫を浴びてダイレクトに滝登りをするのは十数年ぶりのことで、妙に清々しい気分。



滝上は再び穏やかになる。
倒木が多く、流れを跨ぐように横たわる木には、苔だけでなく、いろんな植物が芽吹く。
左にあるマツカゼソウは問題ないが、右に密集している杉の苗は、大きく育つことは出来ないだろう。






穏やかな流れが続く。
ここは増水すればもっと美しい風景になりそうな気もする。
こんな風に、静かに森を行く気分も捨て難いけれど。



また少し岩が出てきたなと感じる頃、不意に前方の両岸が高みを増して廊下を形成する。






足許の水の色も、美しさを増したように感じる。






廊下の奥には小さいながらも滝が懸かっている。
手前にある倒木が邪魔なので除けようとしたのだが、力が足りず断念。
写真を撮る際、無いものを加える───例えば花を持ってきて置くだとか、水面に葉っぱを浮かべるとかいう行為は、私の中では禁止事項である。
逆に、取り除くという行為の場合、ゴミは当然OKで、枯葉や落ちている枝、倒木までは構わない、ということにしている。



閉鎖的な空間ではあるが、危険箇所も無く、ワクワクするような気分で滝へ向かう。



滝の前へ。
落差2メートルほどで、滝というには小さいが、岩の表情は特徴的だし、周囲の雰囲気もなかなかのものだ。
浅いながらも滝壺もあるし、その水色が美しいのもいい。















この上にもまだ小さな滝はあるらしいのだが、この滝を登るのも面倒だし、この後、他にまだ行きたい場所もある。
ここを堪能し、引き返すことにする。

さて帰り道、険しい谷ではなかったけれど、最初に登った滝はちょっと問題になる。
登りはいいけど下りは危ないかも知れない。
というわけで、滝上で周囲を見渡すと、左岸の山腹へと伸びていく踏み跡を見つけた。
あまり人は歩いていない様子で、恐らくは動物達が歩く機会の方が多いだろう。
こういう道で気になるのはダニである。
なるべく木の葉や羊歯に触れないように歩いていたのだが、ふと気づけば左手の袖口にダニが4匹。
今まで見たことのあるダニより大きめのヤツで、そんなのが4匹も固まって付いているのを見ると、鳥肌が立ちそうになる。
慌てて指で弾き、やはり水際を歩いた方がいいということで、急斜面を下って流れの傍へ。
全身を点検し、他にダニがいないのを確認。ドッと疲れが出る。
自然が好きなのに、ダニがこんなに苦手ではイカンなぁ、と思いつつ、重くなった足で駐車場所へと戻った。


2万5千分1地形図 市鹿野
撮影日時 101022 6時20分~8時50分

駐車場 滝ノ谷入り口から北側へ少し行ったところで道がやや広くなっている。
地図