a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

映画『オーシャンズ8』を見る

2021年04月04日 | 映画
  本当は、前回のエントリーで、この映画について感想を書こうと思ったのだけれど、なんかこの映画を見た際にモヤモヤ感があって、映画『フォックスファイア』と比較して(というか、そもそも「比較」には適した作品ではないのだが)、モヤモヤ感の原因がわかったのでした。

 で、この『オーシャンズ8』ですが、それ以前のブラッド・ピットとジョージ・クルーニーのオーシャンズシリーズの女性版ということになる。暴力など一を傷つけることなく、金持ちから詐欺をしたり、悪徳業者などの所有する美術品を盗むという痛快な犯罪物語、ということになるのだけれど……。

 まあ、第一に「敵がわかりにくい」というのが、あったと思う。というのも、この映画では、有名女優が身につける宝石をデザイナーなどとグルになりながら、厳重な警備をくぐり抜けて盗むという話なのだけれど……。

 敵になるはずの対象に(高級ファッションブランドや装飾品産業など)、女性の側の憧れが醸し出されてしまって、「相手を手玉に取る」という感じになっていないのが、私個人としてはモヤモヤした原因の一つなんだと思う。

 それから、女性たちがついている職種についても同様で、女性たちが犯罪をしつつも、軽やかに世の中を渡り歩いていく、というのであれば、服飾産業で最低賃金以下で働かせられている女性を仲間に入れて、彼女たちに高級ブランド商品に細工をしてもらってトップモデルを称賛する世の中にリベンジするとか、ホテルで働いている従業員に、ペントハウスで豪勢な生活をするセレブに細工をしてもらうとか、そんな風なトリックを入れた方が、痛快さが出やすいと思うのだけれど……。

 そうした「気概」が感じられないことも、私のモヤモヤ感の原因なのかもしれない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。