a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

おおかみこどもの雨と雪

2013年01月22日 | 映画
おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)
クリエーター情報なし
バップ


 私がこの場で紹介する映画(DVD)の多くは、自宅のDVDで見たものなのだが、これは珍しく映画館で見た。

 が、少し(2~3ヶ月)たっただけで早くもDVD化されるというのは、あまりにも早いと感じた。

 この映画、実はあまり期待していなかったのだが、思いの外おもしろかった。映画館で見たときも、席はいっぱいだった。

 この映画のストーリーは、こんな感じである。大学に通っていたヒロインは、教室である男に出会う。この男は、狼男だったのだが、この彼と恋に落ちたヒロインは、やがて子供を身ごもる。狼男という設定上、病院などの医療施設での出産はできず、自分で勉強しながら自宅で出産。その後、この狼男の彼は事故で死んでしまい、女で一人で二人の子供を育てていくこととなる。

 という、おとぎ話のような設定なのだが、その社会背景がしっかり描かれていて、素晴らしかった。狼男との子供を産むという唐突な物語が、パートナーに先立たれたシングルマザーが、世間に存在を知られないように子供を育てていく(いかざるを得ない)という現代社会の問題と重ねられ、その「非現実さ」が、逆に特別な意味を持ってくる。

 社会の中で孤立して生活していたこの母子は、映画の後半では、自然いっぱいの田舎へと引っ越することになる。そこでの生活は……。(これ以上は「ネタバレ」になるのでやめておく)

 この社会背景をしっかりと描くという方向性は、前半部で、街並みを詳細に描いていることからも伺える。ヒロインが通っていた大学の舞台は、国立にある某国立大学なのだが、ヒロインが恋人の狼男と待ち合わせをする喫茶店が、「白十字」だったので思いがけなかった。それから、都市で人知れず子供を育てていく中で、狼と人間のハーフである子供を遊ばせる公園は、小金井公園が舞台になっている。

 っと、地元ネタになってしまった(苦笑)。


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