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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

演歌とチャルダッシュ

2017年03月05日 | etc.
 なんのことか? と思うエントリーのタイトルだが、まあこれは、私個人の音楽話である。ということで、素人の個人的な考えなので、そのつもりで読んでほしい。

 チャルダッシュというのは、ハンガリー民謡の様式で、ロマの音楽としてヨーロッパに広まった音楽である。おそらくクラシック音楽として有名なのは、イタリアの作曲家ヴィットーリオ・モンティの曲だろう。


KATICA ILLÉNYI - Monti Czardas


 この曲、私は日本人の奏者が弾くのを聴くと、どうしても演歌調に聴こえてしまうのが嫌だった。今では違うが。これは、私が、日本のクラシック音楽がヨーロッパのそれと根本的に異質であることに、コンプレックスを感じていたからかもしれない。つまり、コンプレックスに起因する思い込みだと。今ではそうしたコンプレックスもないが。これについては、あとで説明したい。

 他方で、以前、ラジオで山下達郎が、日本のロックやフォークについて、日本の歌手は音符に歌詞を乗せてしまうので(言語学的に言えば、音符に歌詞の音節を合わせてしまうので)、コブシが回ってしまうという趣旨のことを言っていたことがあった。つまり長音符のところで、そこに歌詞の音節を合わせてしまうので、長い音のところでコブシが回ってしまうというのである。

 で、日本人の演奏者のモンティのチャルダッシュに置いても、そうした音楽のバックグラウンドがにじみ出て、演歌調になってしまう理由になっているのだと思われる。

 以前は、こうした点をコンプレックスに感じていたのだが、現在は少し異なった考え方をしている。というのは、ラカトシュの音楽を聞いて感じたことなのだが……。

Pt2 Gypsy violinist Roby Lakatos 'Hungarian Dance No5' Music Show, ABC Radio National


 ラカトシュによると、チャルダッシュというのは、ロマの音楽では様々なチャルダッシュがあり、それが組み合わされてひとつの曲になるという。で、チャルダッシュがロマの音楽であることを彼の演奏を聴いて痛感したのだった。特に、上のブラームスのハンガリー舞曲を聴いて(かなりアレンジされているが)、それが初めてハンガリーの音楽をベースにしていることを実感できたのだった(ただし、ラカトシュの音楽自体は、西欧の聴衆向けにアレンジされているのだが)。

 でこの話、続きがあるのだが、それはまた次回。


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