犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

読書感想文を書きます。

2007-04-01 19:12:00 | 読書感想文
犯罪被害者やその遺族が直面している悩みや苦しみは、哲学的な問題そのものである。しかし、現代の日本において、そのような視点から論じられたものは多くない。被害者保護の最前線で実際に活動している方々にとっては、形而上の抽象的な理屈をこね回している暇はない。他方、人間の悩みや苦しみを根底から考えている哲学者は、社会の動向や最新のデータを追うことは苦手である。

法律的な議論と哲学的な議論は、相互に矛盾しているわけではないが、接点がない。お互いにその専門分野を追うのに忙しく、他の分野の著作を読んでいる暇がないようである。これは非常にもったいない。犯罪被害者や遺族が直面している人生の難問については、人生全体をその対象とする哲学的な思考を抜きにして、技術的な法律学の思考のみで解決できるわけがない。他方で、現実に法治国家における刑事裁判の現状を正確に捉えるためには、浮世離れした哲学の理屈だけでは無力であり、法律学の知識と技術が必要である。

そこで、このブログにおいては、無理を承知で哲学的な著作を犯罪被害者保護の文脈で読み替えてみたい。また、犯罪被害者保護の著作を哲学の文脈で読み替えてみたい。これも1つの法哲学のあり方だと思う。

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