風をあつめて-ぷらり日記-

すっかり山にハマッテマス。でも山ガールではありません。
三線、お遍路、ネパールのこと等も綴ってます。

反省しきりの歩きだった。

2006年08月31日 07時53分12秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)
だいぶ肉体的にも精神的にも疲れてきていたらしく,足に力が入らない。
昨日京屋旅館のご主人とのお話で,反省しながら歩いていたのもあるんだけど。

 夕暮れて家路に帰る小学生達と一緒になりながらとぼとぼと歩く。
 疲れていたので道の端に座って靴下も脱いで休憩。
 なんとなくもの悲しい気分になりつつ休んでいたら,さっき抜いた小学生の女
の子二人が近寄ってきて,
「何してるの?」「どこから来たの?

 と不思議そうに話しかけてきた。

 これにはなんとも癒された。
 しばらく話した後,二人が喜びそうだったので納め札を渡してお別れした。

                  

 またテクテク歩いていくと川があるので橋を渡って住宅地を抜けていく。
四国のみちの道しるべが地図とまったく違う方向を指しているのに気付かずに右に
曲がろうとしたら近所のおばあちゃんが正しい道を教えてくれた。

 「電話して直してくれって言っても,へんろ道とは違うからって直して
  くれないんよ。

 おばあちゃん,その気持ちだけで十分ですよ。ありがとう。

 さらに進んでいくと,道ばたでおしゃべりしていた近所のおばちゃん達が私を
見るなりりんごとお金をお接待してくれた。
 私はそんなお接待してもらう価値ないんです。
 いつもならうれしくなるところを疲れもあったのだろう,ただ申し訳ない申し訳
ないって気持ちばかり,,,。 
 いったいこの地域はなんてお遍路さんにやさしいんだろう。
 東予はそういうところなんだろうか?

                 

 疲れているので地図を何度も見てはまだここか,とため息をつきながら歩いて
いく。 
 途中で分岐があるので見落とさないようにと目印の小学校を求めて歩くものの
なかなか出てこない。
 「○○小学校まだか~!」と心の中で叫びつつ,よろよろと緩い坂道を上って
いくと下校途中の学生達がチラホラ見えてきた。
 ホッとするものの,まだあと3キロ。

 そう思って歩いていたら,道の端に停めてあったワゴン車からおばちゃんが私に
手招きするので近づいていくと、にこにこ顔で,

 「お接待。

 と500円もお接待してくれた。手のひらに乗る5枚の100円に

 「角を曲がったところでお茶出してるから寄っていってね!

  とも。

 状況がよく分からないままそちらの方向へ行くとそこはお接待所ではなくお弁当
やさんだった。

 入り口でおろおろしていたら,おばちゃんはお店の店長さんだったらしい。

 「好きなお弁当頼んで。お接待するから。

 えっ!?でも,さっき500円もお接待してくれてるのに,これ以上
お弁当もなんて,,,。

 おばちゃんは私がビジネスホテルMISORAに泊まることを知って,夕飯用に
お弁当とお茶もお接待してくれた。お手洗いも私から聞いた訳じゃないのに貸して
くれて,,,。
 お店で食べていってもいいよと言ってくれたのだけど,もう外は暮れきっていて,
このままここで食べて行くと歩く気力も無くなりそうだ。

 それに,やはり申し訳なくて申し訳なくて,
 「本当にありがとうございました。」とお礼を言ってネオンの光る車道を宿まで
歩いて行ったのだった。
 どうしてみんなこんなにやさしいのだろう。
 どうして私にお接待してくれるんだろう。

                    

 もう真っ暗だったが,ホテル手前のローソンで携行食等を買ってホテルへ。
 ツインの広いお部屋だった。洗濯機もあるか心配だったけど,ちゃんと1台
あったので良かった。

 しかし今日の歩きでとうとうお杖の帽子が破けてしまったのでダメもとでフロン
トの方に「針と糸があれば貸してもらえませんか?」と聞いてみたら快く貸してく
れた。ビジネスホテルだけど,フロントの方はすごくやさしかった。

 部屋でおばちゃんからいただいたお弁当を食べ,帽子をチクチク縫い合わせて
いく。

 私はお遍路に来て思った。
 「人にやさしくされたことがないと、誰かにやさしくはできないかも。」

 損得関係のないやさしさが与えられて、初めて自分もそういうふうに他人に
 やさしくできるんじゃないかなあ。 

 明日の朝はお弁当の残りとりんごを食べよう。