
この林の中に、木造の家屋がある。
丸太小屋のようだが、粗野な造りではない。手に触れる部分は柔らかくて、少しだけ品がいい感じだ。
中に入ると、壁も床も板張りで、天井の低い部分からは網のハンモックが吊り下がっている。ここにはいつも、コットンのブラウスが何枚か重なっている。襟のあたりがひらひらしたデザインで、色は生成だ。
これが誰のものなのか、いつも分からない。妹のものだと考えるのがぴったりくるのだが、妹はここに住んでいない。母も住んでいないし、別れた妻もいない。
もともと、この家には誰もいないのだ。生活臭というものがまるでない。それでいて、ベッドのカバーやシーツはいつも乾いていて清潔だ。
ここで得る睡眠は、他とは比べものにならないほど快適なものだ。