くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

I slow you

2004-11-04 20:59:42 | エッセイ
mushroom300


『I slow you』 
 イタリア・スローフード協会に参加している、コーヒーメーカーラヴァッツァのコピーです。実にいいですね。
 スロー・ライフという言葉が、我が国にもだいぶ浸透してきました。言葉から想像すれば、煩雑な日常ではなく、のんびりとした休日を過ごしているような時間がスローなのかな、と思えます。確かにウィークデイよりは休日のほうが心身共にリラックス出来るのだし、食事を作るにも時間を掛けることが出来ます。
 しかし時間のあるときがスローなのかと言えば、きっとそうではないんじゃないか、という気がしています。イタリア人だって毎日忙しいはずです。それは貨幣経済が支配する国の人々であればどこでも同じなのでしょう。すると何をもってスローと言うのか。

 最近、僕は春菊やマッシュルームを生で食べるのが好きになりました。味は勿論のこと、香りが素晴らしいのです。その香りを消さないために、ドレッシングは酢とオリーブオイル、胡椒のみです。料理をしているといろいろと加味したくなるものですが、そこをぐっと我慢する。シンプルに帰する。すると思いがけず“いいこと”を発見するのです。
 単純な料理であれば、当然作るのも片付けるのも簡単。思い立ったとき(腹が減ったとき)に面倒と思わず作れます。簡単だから毎日でも作って食べる。すると毎日食べても飽きないことを発見する。ああそうか、シンプルなものは飽きないのだな、とまた発見がある。そこでもっともっとシンプルな食事を追求してみる。だし巻きはいろいろ入れずに出汁と薄口醤油だけ。切り干し大根とひじきできんぴら。味噌汁は凍み豆腐と玉ねぎが美味い。休日には牛スジを大量に煮ておいて保存したり、出汁をとって小分けにして冷凍したり。
 シンプルなものを追い求めていくと、食材も調理器具も実に少なくて済むのです。質素だけれど滋味豊かで、味わってみても美味い。そして調理は短時間。いいことずくめです。

 どこかがシンプルになると、その分ココロに余裕が出来る。いつもの日常が違って感じられてくるのが嬉しい。そしてその先にはきっと“スロー”があるのだろうな、と思います。

追:この記事はいつも食材の愉しさを提供してくれる粋人soroさんの『No Blog,No Life!』「ゆで落花生」~にトラックバック