将棋竜王戦「挑戦者決定戦」3番勝負が進行しています。
なにしろ竜王戦〔1987- 〕、またはその前身である十段戦〔1950-1986〕を含めても、歴史の浅い棋戦。
江戸時代にさかのぼる名人戦(毎日・朝日の共催)には遥かに見劣りがするものの、そこは巧みな読売の工作により「棋界最高」と持ち上げることに成功、今では何も知らない記者たちも手伝って、何か分らないけれども「棋界最高」だけが一人歩きし始めた「竜王戦」です。
歴史が分っている一人の人間として、正確には、「竜王戦は、賞金金額が棋界最高の棋戦である」と、申し上げたいと思います。
こう言ったからと言って、読売新聞が嫌いで毎日・朝日新聞が好き、なのでは断じてなく、ただ実際の姿を伝えているだけです。報道にごまかされないこと、これが私の身上でした。
毎年行なわれる竜王戦をざっとふり返っておくと
- 2013年末に、9連覇中の渡辺明竜王による10連覇を阻んで、新しく竜王位を得たのが当時の名人森内俊之
- 2014年末には、その森内俊之竜王から、糸谷哲郎が竜王位を奪い、今年2015年10月から糸谷竜王が挑戦者を迎えます。
- その挑戦者を決める戦いが1年に渡って繰り広げられ、いよいよ挑戦者決定3番勝負が、8月から渡辺明と永瀬拓矢の間で始まりました。
- 挑戦者決定3番勝負の1局目は後手の渡辺明が勝ち
- 挑戦者決定3番勝負の2局目は後手の永瀬拓矢が勝ち
- 来来週9月14日に最後の3局目が予定されていて、竜王位挑戦者が決ります。
- 私個人としては、糸谷哲郎(1988- )という若い竜王位に、もっと若い永瀬拓矢(1992- )が挑戦するとおもしろくなると考えていますが、渡辺明(1984- )も当代一流棋士であり決定戦に勝って挑戦するの可能性は大きいでしょう。
先日(2015/08/31)行なわれた竜王位挑戦者決定3番勝負の2局目(先手)渡辺-(後手)永瀬は、見応えのある好勝負でした。
先手渡辺が
自陣の▲46歩で角を使いにくくしたのに対して、後手永瀬が飛角銀を8~9筋に集中させ、先手渡辺を▲88王から▲79王と待避させ、後手も代償として△22王を△31王と待避させられました。
双方とも入城した王を、▲88から▲79へ、△22から△31へ、引くという異例の進行でした。
結局、後手がつくった成金「△48と」が生きて、永瀬が渡辺の王を挟撃する形と成、勝ちきりました。
別の作業をしながらとはいえ、時折進行する棋譜を見ながら、見事な勝負だったことに、久しぶりですが、感動しました。
棋譜を見たい人は、こちらをどうぞ。
このリンクは、しばらくは、少なくとも現在(2015/09/02)は、大丈夫ですが、やがて切れてしまうのでは、と恐れています(笑)。
なお、名人戦が5階級を順に上がって最高階級のA級で優勝して初めて挑戦できるのに対して、竜王戦はもっと公平に誰でも参加できるとあって、「初タイトルが竜王位」という人が多く見られます。
- 1988年の島朗 (1963- )
- 1989年の羽生善治(1970- )
- 1993年の佐藤康光(1969- )
- 2005年の渡辺明 (1984- )
- 2014年の糸谷哲郎(1988- )
- 1983年の谷川浩司(1962- )
- 2000年の丸山忠久(1970- )
- 2002年の森内俊之(1970- )
U-18野球、FIVB女子バレーとスポーツ中継で忙しい昨今ですが、10月からは竜王戦、11月には世界野球、それなりに忙しい日々でしょうか(笑)。