YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

寄生生物と虫こぶ

2015-05-19 07:54:40 | 身近な自然情報


本格的な雨の音で目覚めた朝です。
写真はバス待ちの停留所。某大型園芸店の前です。花があるっていいですね。

さて、今朝の記事はアキニレの木に付いた「虫こぶ」のお話。虫嫌いの方はうわぁっ…((((;゜Д゜)))))))
ってなるので、ご注意ください。

アキニレの木っていうのは、こんな感じの木です。



落葉高木で、育つと15mくらいに達するらしいのですが、移植や剪定に強く、成長も遅いことから公園木や街路樹として都心でもよく見かけます。

さて、児童公園の片隅にあったまだ小さなアキニレの木。その葉に何かが着いているのを見つけ近寄ってみました。



一見すると、ハナイカダのような可愛らしい花や実にも見えるのですが、この赤い膨らみの正体は「虫こぶ」。

虫こぶは、 さまざまな寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長をすることで形成されたものです。虫癭(ちゅうえい)ともいわれます。

昔は「虫こぶを作る寄生生物=虫」と考えられていたため「虫」の字が当てられましたが、その後菌類や最近によっても形成されることが分かり、英語カナ読みのゴールが使われることが多くなっていると図鑑に書いてありました。

虫こぶハンドブック↓



アキニレの葉についていた虫こぶは、アキニレハフクロフシというもののようです。



アキニレ+ハ(葉)+フクロ(袋)+フシ(節)

これは、生物の名ではなく、虫こぶにつけられた名前で、実際にこの虫こぶを作っているのはアブラムシの仲間。ひとくちにアブラムシといっても、国内だけで700種もいるそうです。

こちらのアブラムシはアキニレヨスジワタムシ と言います。舌噛みそう(^^;;

アキニレの葉にこの卵が産み付けられると、しだいに葉に変化がおき、アブラムシにとって快適なお家が出来上がっていきます。これ、中は空洞でお部屋になっているんです。

敵から身を守ってくれる外壁。そしてその床や内壁には絶えず樹液という餌が流れています。

そんな風に植物体を勝手に作り変えちゃうんって、驚くべき能力。



アキニレヨスジワタムシの場合は、一つの虫こぶに多数が住んでいるようですが、それでも小さなアブラムシのにとっては快適なマイホーム。

成虫になると脱出口を開け、外へ飛び出し、新たな伴侶を見つけて子孫を残すべく産卵するわけです。(アブラムシの場合は生活環がややこしいものが多いので、詳しいことは調べきれていません)

例えばどんぐりに産卵するチョッキリの仲間や、葉っぱをくるくる丸めて産卵するオトシブミ。彼らは植物体そのものを利用しているわけなんですが、虫こぶを作る寄生生物たちは植物体そのものを変化させちゃうって言うんですから、なんとも恐ろしい話だと思います。

ちなみに動物に寄生して、体をコントロールしちゃう寄生生物も存在します。例えば、フクロムシという寄生生物はカニに寄生し、繁殖能力を奪うべく、オスをメス化させてしまうという能力をもっているそうです((((;゜Д゜)))))))

私たち人間より、ずっとずっと小さな世界では、実はこんなすごいことが日常茶飯事に起きているんだという事実!!

小さな生き物たちがもつ驚異のパワー!!

世の中は不思議で溢れているなぁと思います。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
虫えい(虫こぶ) (koizumi)
2015-05-19 12:14:27
虫えい(虫こぶ)の世界は非常に興味を引かれますよね・・・そして今でも新種が発見できる世界でもあります。

残念ながら薄葉先生は今年お亡くなりになってしまいました。分類が分からない時に教えて戴いたり講演していただいたりしていたのですが・・・

虫えい(虫こぶ)に興味がおありでしたら「虫えい同好会の掲示板」というのもありますよ。

http://gallersclub.coo.net/
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koizumi 様 (うにまる)
2015-05-20 07:47:17
虫こぶやそれらを作る寄生生物の多様さ、そしてそれらを研究されている方の数の多さに驚かされます。薄葉先生の本はもう1冊「虫こぶ入門」というのをもっていて、それを読んで虫こぶの奥深さに興味をもちました。掲示板、早速覗いてみました。ありがとうございました。
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