Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

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ダンジーブログ

スーパーおじいさん

2007-10-31 | 医療・病気・いのち
 「もう、いつどうなってもおかしくない年だよ。」

 先日外来を受診された90代前半の男性は、診察室に入ると開口一番おっしゃった。付き添ってきていた息子も苦笑い。その方は、一人で歩き、こちらの言うことをきちんと理解し、意志もしっかり伝えることが出来るスーパー90代である。それでも人間だれでもいつどうなるかわからないものだし、高齢になるとさらにその危険性が増すのは確か。

 しかし、体の症状を説明してくれる前に、「無茶なことはしてくれるなよ。」という意味の先制パンチをまずは繰り出した感じだ。

 その方の場合、本来なら、直腸切断術といって直腸と肛門を切除してしまい、人工肛門造設という術式を選択する状況であった。しかし、年齢、体力、人工肛門になったときのケアその他の条件と、ご本人の希望を考慮し、局所切除と術後放射線照射を選択することにした。

 手術というのはいろいろな危険と隣り合わせの治療であるから、手術をすることによって得られるであろう利益とリスクとをよくよく考え、術式を含む治療方針を決定する必要がある。当たり前だが、癌を完全にとりきるという意味で成功した手術でも、術後退院もかなわず命を落としたり、術後の生活に大きな苦労を伴うようであれば、治療として成功とは言い難いのである。

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