デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

外国人の夫が日本で困っていること集

2006-07-19 23:19:10 | 国際結婚
 今度は夫が困っていることを挙げてみようと思います。夫はデンマーク人、在日歴15年(確か)、日本語力も普通は大丈夫といったところです。

1.夫がレストランで普通にオーダーをしているのに、注文の確認や質問がある
  ときは必ず私に話しかけられる。

これはけっこう同席している私も嫌なことなのですが、夫に対してさすがに失礼だなあと思ってしまいます。今は外国人でも日本語ぺらぺらの人もたくさんいるし、日本の文化や歴史に詳しい人もたくさんいるのに、どうしても外国人には日本語が通じないという意識があるのでしょうか・・・。

2.いつも同じ質問をされる。
  「日本語は大丈夫ですか?」・・・(今、日本語で話しているでしょっ!)
  「日本はどのくらいですか?」・・・何百回目の質問
 
これは外国人の場合は仕方がないのかな?やっぱり最初にこういう質問が出るのが世の常なのかもしれません。

3.満員電車

4.日本人の物事の理由のなさ

前例がないのでできない、というのは夫には理解不能です。何かをしてくださいと言われて、夫がどうしてですか?と質問すると「規則ですから」と言われてあとはもうその一点張りなのですが、このへんの理由のなさに夫はよく憤っているようです。
私も夫に会うまではあまり疑問に思ってなかったのですが、今は理由がないのにどうして?と思うこともたびたび出てきました。

5.ちゃんと歩けない日本人

道を歩くときに左側通行を守らない、平気で道の真ん中で立ち止まって通行人の邪魔になっても平気、追い抜かすときに人にぶつかっても平気などという日本人の歩き方を、夫はよく指摘しています。これもまた私も最近はすごく気になるようになってしまいました・・・。(ただし私は酔っ払っている人についてはOK。自分も千鳥足だったりするので。)

6.日本の高速料金

デンマークではもちろん高速は無料です。夫は高速が渋滞していても高い料金を取られることに怒っていて、料金を払うときに「まけてください」なんて言っています。恥ずかしいので、これは止めてほしいです。

7.日本の騒音

たけや~さおだけ~の人に「アンタ、うるさいですよ」と言ったときには私は死にそうになりました。ちゃんと営業許可を取っているのだからと説明して以来、さおだけやさんに直接文句を言うことはなくなり、ほっとしています。
そのほか、選挙の騒音、商店街などで聞こえてくる大きなBGMや放送などに我慢がならない様子です。
(そのくせ、ショウミーを怒る夫の声は大きく、私はそっちのほうの騒音に耐えられないのですが。)


国際結婚に対する困った誤解集

2006-07-15 22:21:04 | 日記
 かれこれ5年以上、夫と結婚しているのですが、結婚以来さまざまな困ってしまうリアクションがありました。実は本人はあまり「国際」結婚などという意識はないし、どうもこの「国際結婚」という言葉自体にしっくりこないものを感じるのですが・・・。今日はともかくも、これまでのリアクションをご紹介してみたいと思います。

(夫が外国人と聞いて)
「すごーい!」
「いいわねぇ。」

 3割くらいの人が返してくる言葉なのですが、一体どういう意味があるのか、いつも疑問に思ってしまいます。この言葉の裏には単一民族&島国というものがあるのでしょうか? 褒めているのかな? そんなに外国人がいいと思っているのかな? いつもまず困ってしまう言葉です。

(デンマーク人と聞いて)
「・・・・」

 どうも日本人にとってデンマークはイメージしにくい国のようです。それでどうリアクションしてよいのかわからず、無言になってしまう人がいます。「そうなんだ~」と単に返してくれればいいのですけれどね。もしほかの国だったらどうなんでしょうか。

(私に対して)
「英語話せるんでしょう?」

 外国人=英語、という図式があるのかもしれませんね。確かに夫は英語を話しますが、我が家は日本語が共通言語、私の英語はひどいものなのです。だって日本の英語教育を受けてますものね。

「お金持ちでしょう?」

 これは言われる率はかなり低いのだけど(さすがにあからさま過ぎるコメント)、たまに言われることがあります。日本に住む外国人には2通りあって、エクスパートとローカルでは全く違うのです。エクスパートは広尾に住んで、子どもはインターナショナルスクールで、という生活様式かもしれませんが、ローカルは完全に日本人と同じです。我が家も住宅ローンでぎりぎりなんです、というのが実情です。

「いつも何を食べているの?」

 我が家は普通ですってば~、と言いたくなるようなコメントなのですが、外国人のいる家庭は洋食、お肉の塊を焼いたものを食べているようなイメージのようです。フルコースディナーとかを想像しているのかな? マクドナルドに行かないと思った、オーガニックじゃないものは食べないと思った、カレーライスなんて食べないと思った・・・などというコメントをいただいたこともありました。カレーライス、夫は大好きです。

「どこで出会ったんですか?」
 
 もちろんある程度親しくなれば、カップルの馴れ初めについて尋ねるということもあるかと思います。が、私の場合、初対面でこう聞かれることがけっこう多くあります。この質問は日本人がなかなか外国人と触れ合う機会がない、ということを表わしているのかと私は分析しているのですけど・・・。何かのきっかけで外国人と友達になったり、一緒に時間を過ごしたりする人も多いのでしょうが、全く接点がないという人もいまだに多いようですね。
 この質問の答えは・・・相手によって変えています(笑)。こちらもこういう質問を受けるとだんだん煙に巻きたい気分になってきています。でもあるとき、真剣に大学生の女の子からどこで出会えるか、どうやったら外国人とつきあえるか、と聞かれたことがありました。「それは外国に行くのが一番じゃない?そうしたら外国人だらけよ」と答えてしまいました。

「ご主人って優しいんでしょう?」

 さあ、どうでしょうか。でもこれも外国人=妻に優しいという間違った観念だと思います。日本人の夫も妻や家族を充分に思いやっている人もたくさんいるので、これは日本男児に対するちょっと差別かもしれません。だいたい、優しいというのは個人が感じる度合いにもよるし、優しい夫が欲しいのであれば、そういう人を選べばいいだけの話なのですが・・・。この質問をする人のご主人は優しくないのかなあ? なんかあいまいな質問でなんと答えていいのか、やっぱり毎回困ります。

 まだあるのですが、主だったものを挙げてみました。

【番外編】
 私の名前はデンマーク人の姓になっているのですが、「何人ですか?」と聞かれたときには面食らってしまいました。日本人に見えなかったのかしら?私の日本語の発音がまさか変だったというわけでしょうか? 今度はデンマーク人と日本人のハーフです、と答えてみようかなと思いますが、どう見てもハーフには見えない私の顔です。

ハーフの子の言語の引き出し

2006-07-14 00:47:14 | 思ったこと・気づいたこと
 先日聞いた話なのですが、なるほどと思ったことがありました。赤ちゃんの頭の中の言語の引き出しは最初は1つなのだそうです。ハーフの子どもの場合、生まれたときから2つの言語が耳に入ってきます。(子どもによっては3つ以上の言語の場合もあるけれど。)それが最初はすべて1つの引き出しの中に入れられるそうです。

 ジジは今2歳ですが、デンマーク語と日本語を混ぜて話しています。2歳になったころからお喋りを始めて、この3ヶ月足らずのうちにかなり簡単な会話のやりとりをこなせるようになったのですが、例えば「おしまい」「フェアデ」と同じ意味の言葉を一緒に言っています。他にも「ごはん」「来て」「もっと」というような単語は両方の言語で言います。単語によってはデンマーク語だけ、日本語だけということもありますが、2言語の区別はなく、ごちゃごちゃにして、とにかく自分の意思を表現しているのです。

 それがだんだんと1つの言語に1つの引き出しというように分かれていくそうです。4歳のショウミーは完全に分かれていて、私にデンマーク語で話すことは全くありません。

 よく言われているのは子どもは3つの言語までは、うまく使い分けられるという説です。ショウミーは今、日本語、デンマーク語、英語と3つの言語に触れていますが、それぞれに聞き取ることはできています。日本語とデンマーク語が混じることはないのですが、デンマーク語と英語が混じることがあるのはちょっと面白いところです。この前も英語の時間にアルファベットのIを「イ」と発音していました。同じアルファベットの言語であることと、発音の似ている単語がけっこうあることがミックスの原因なのでしょう。

 今のところショウミーの頭の中は俄然日本語ですが、そのうちに3つの引き出しを持てたらいいなと思っています。ジジは今、引き出しを作っている途中のようで、以前より私に「メア」とデンマーク語で言う回数が減ってきている気がします。ネコには「カム!」というので、彼の頭の中ではネコはデンマーク語を話すように分類されているのかもしれません・・・。

 大人はどうなのでしょうね。夫も3つの言語を話しますが、3つともけっこうちゃんと話せるのでやはり引き出しにきれいに納まっているのだと思います。そこに行くと私の英語は日本語の引き出しに一緒に入ってしまってますねぇ。溜息・・・。

一人の時間

2006-07-14 00:19:32 | 日記
 子どもを育てていて何が一番辛いところか?と聞かれたら、一人の時間が持てないことだと思っています。もう少し言えば、家で一人になれる時間がないことです。

 私自身、子どもを持つまでは想像はしても実感はなかったのですが、子どもは本当にひたすら欲求し続ける存在です。注目されること、飲み物や食べ物、手伝ってほしいこと・・・一日中、要求し続けるのですね。あるいはものすごい大騒ぎをして、階下にうるさいというよりも、住んでいるアパートが揺れるくらいのドタバタをやってくれます。

 子育ては最高に楽しくもあるのですが、こうして一日中だと心が休まることもなく、物事を考えることもできないのです。それに子どもがそばにいるだけで、母親は絶えず子どものことを頭のどこかで気にかけていなくてはならないのです。(例えば妙に静かだったりすると、100%悪いことが起きています。乾電池をなめていたり、壁やカーペットに落書きをしていたり・・・。)

 以前も「一人の時間も大切」とは思っていましたが、子どもを持ってからは「一人の時間は人間にとって不可欠!!!!」と思うようになりました。一人の時間は自分を休めたり、本当にリラックスしたり、自分の気持ちに耳をかたむけたりする時間なのです。そういう時間がないと、人間はイライラしたり、自分をノーマルな状態に戻せずにだんだん変な方向に行ってしまったりするのでしょう。

 今日は夕方子ども達のシャワーを済ませ、夫が帰ってから家族で夕食を食べ、それから私は一人で出かけました。(たまに私は夜、友人と会ったりすることもあるのですが、それは一人ではないのでちょっと違う。)出掛けにショウミーに鶴を折ってと頼まれて文字通り出鼻をくじかれたけれど、とにかくとにかく、家を出て、まずは本屋さんに行きました。そして2時間近く過ごしたあと、カフェで買った本を読んできたのでした。

 久しぶりにリラックスできる時間でした。一人になって、好きなように本屋で時間を過ごすのはなんてすばらしいこと!と大げさでなくて、そう思ってしまいました。人によってはCDショップかもしれないし、カフェだけかもしれないし、いろいろでしょうけれど、こうして外に一人で出ることがどんなに心を軽くして、自分をリセットさせてくれることか。きっと子どものいる、特に専業主婦の人は同じように感じている人も多いことでしょう。

 こういう時間があってこそ、子どもにも優しい、大きな気持ちで寄り添えるのだと思います。お母さん、妻、そして自分というバランスを、夫に協力してもらいつつ、うまく取っていきたいものです。

ショウミーのお誕生会?

2006-07-11 23:21:28 | デンマークの行事
 今月の23日はショウミーの5歳のお誕生日。先日、彼に当日どう過ごしたいか聞いたところ「動物が見たいから動物園がいい!」と言っていたのでした。が、昨日の夕食のときに、急に、「お友達を呼んでお誕生会をやりたいんだよ・・・」と言い出しました。

 これまで彼はお誕生会なるものに呼ばれたこともなく、お誕生日は家族や親戚で祝ってきました。それに幼稚園のほかのお友達のお母さんたちに聞いてみたところ、「やったことない」「うちの子はお誕生会すら知らないんじゃないかしら」との答え・・・。一体、ショウミーはどこでこのネタを仕入れてきたのでしょうね。

 とはいえ、子どもの願いはなるべく叶えてあげたいのが親心。昨日から夫と私は急遽、この新しい試みに取り組むこととなりました。

 まずは他のお母さんたちと少し話し合いました。まず、今回配慮しなくてはいけないのは誰を呼ぶかということがありました。ショウミーに好きなように呼ばせたら?という意見も出ましたが、やはり呼ばれない子の気持ちは切ないもの。ということで、クラスの半数、元同じクラスだった子のみ呼ぶことにしました。(今のクラスは去年は2つのクラスに分かれていました。)
 そして次にプレゼントの話。私は日本人の場合、まあ、これはデンマーク人も同じかもしれませんが、どうしてもエスカレートしてしまう傾向があるので、プレゼントはなしで行こうと思うことを説明しました。やはりショウミーを喜ばせてあげたいという気持ちが私にも他のお母さんにもあるのですが、きっとショウミーは着てもらえるだけでも嬉しいと思います。

 なぜ他のお母さんと話し合わなくてはならないかというと、今回の誕生会が前例となりそうなので、今後他の子ども達が誕生会をやる場合にみんなが負担にならないように、気楽にできるようにということがあるのでした。(うちはまだ関係ありませんが、バレンタインデーなどもこうした親同士の協定がある幼稚園もあるようです。)

 さて、なんとなく他のお母さんたちとの意見もまとまり、とにかくお誕生会をやってみようという方向性になりました。早速、夕食の後、夫といろいろと考えてみました。デンマーク流をベースに、日本にアジャストしたパーティーになりそうで、話しているうちに私はすっかり楽しみになってきたのですが。

 プランはお昼ぐらいにお母さんたちに連れてきてもらい、まずは軽いランチ。これはデンマークの白いパンを食べる習慣を取り入れてみたいと思います。そして食べ終わった後はしばし遊びタイム。ここでは思い思いに遊んでもらう時間のために、少しおもちゃや折り紙や紙やクレヨンなどを用意するつもりです。そして次にみんなでゲーム。ひとつは宝探しゲームを思いついたのですが、あとは何かいいゲームがないか考え中です。デンマークのゲームで、丸くなって誰かが何かを持っていて、誰が持っているのかを真ん中の子が当てるというのをやったことがあるのですが、うーん、どうなのでしょうか。
 そして2時過ぎごろにケーキを食べて、3時くらいにお母さんたちにまたお迎えに来てもらうというところでしょうか。だいたいそんなことを考えています。

 デンマークだったらこの季節はお庭でできるのでしょう。でも残念ながら我が家にはお庭はなく、家の中でできることをやるようになります。そして問題はケーキ。大きな、かわいい絵のついたケーキが欲しいのですが、日本はあまり大きなケーキはないのですね。これはこれから探さなくてはなりません。(作れそうもないので、買うしかない・・・。)

 それからデンマークのようにはいかないところはもうひとつ、ドレスアップでしょうか。私が小さかった頃はそれなりにみんなドレスアップ(といってもデンマークの比ではありませんが)したのですが、今の子ども達はどうなのでしょうね。だいたいショウミー本人がそんなにきれいな服も持っていません。

 ということで、ショウミーの初めてのお誕生会が開かれることになりました。明日からまずみんなを招待しなくてはなりません。私も楽しんで、このパーティーの準備をしていきたいと思っています。

デイジー

2006-07-11 17:26:23 | デンマークの四季
 6月のデンマークで印象的なのは、デイジーの花が無数に咲いている風景です。北欧特有のやさしい色合いの中に、白く点々と咲いているデイジー。心和む風景です。(カフェ・デイジーもそこから名前が来ているのかしら?)

 デンマークは非常に平らな国土で、多くの街は、一歩街の外に出れば田園風景が広がります。車で旅行をするとよくわかるのですが、街や村の間に広がるそういった風景は、わりと単調でどこでも同じような感じです。ある意味、一ヶ所見れば、それがだいたいどこでも同じ、切り張りできる景色と考えてもいいくらいです。ですからしばらくそういった中にいると、もっと変化のある自然が見たくなるのですが。

 余談ですが、この単調さは効率性のために、1つの農家がひとつの作物を作っているからということもあるようです。現代ではデンマーク農業はハイテクを駆使した、非常に管理された企業経営的な部分もあるそうです。(農業を行うにはかなりの学校での勉強が必要とのことです。)

 最近の私はやや疲れ気味で、今日はひたすらこのデンマークのデイジーのある風景を思い出していました。忙しいスケジュール、つきあい上の会話、夏を前にしてのいろいろなプランニング、何かをするときの家族分の準備、ジジの大変な育児、毎日のひたすら繰り返される家事・・・。まったく切れ間のない主婦業・母親業にこの不安定な天気が加わり、日本のせわしなさ、狭さなどに疲れているようです。(あー、家庭を運営することがこんなに大変なこととは思いませんでした・・・。世界中の親達は皆、よくやっているよね・・・。) 

 単調なデイジーの花咲く緑の風景を思い描くと、なんだかデンマークで感じた風まで感じられるような気がします。しばし癒されつつ、さてこれから絶え間なしにおなかがすいたという子ども達の夕食の準備です。

個人主義?自分主義?の続き

2006-07-10 12:44:35 | デンマーク人
 先週「個人主義?自分主義?」のタイトルでブログを書きましたが、以来、それについて考えていました。結論的には変わらないのですが、今回、続きとしてもう少し考えたことを書いてみたいと思います。

 デンマーク人の個人主義。小さいころからきっと家庭でも学校でも叩き込まれたもので、一筋縄ではないのでしょう。自分の頭で考え、自分の意思を持って行動すること。厳しい目を自分に向けていく訓練を彼らはずっとしてきているに違いありません。

 日本では大人になってから「自分発見!」「自分を大切にしよう」なんて雑誌の特集に取り上げられているのを見たりするけれど、デンマークではきっとこういうフレーズは聞かれないでしょうね。そんなことは子どもの頃から当たり前のことで、何を今さらということでしょう。 自分のことをよく知っているからこそ、彼らはノーと言えるし、自分の意思に反することはしないと態度がはっきりしているのだと思います。

 非常に厳しい環境の中で、資源もあまりなく、荒れ果てたユランを開墾してきた彼らは、19世紀、グルントヴィの指導の下に農民のための学校を創立し、そこで農民が意思を持つことを奨励してきました。その中で世界的に広まる農業協同組合が生まれたわけです。そうやって人々が自分自身のことをよく考え、知っていくことが後世の教育の根幹になり、その後もデンマークの中で個人主義を育てていった経緯があります。
 同時に彼らは共同主義でもあって、独立した個人が他者を顧みるといったところがあります。それが現在の高福祉の理念につながっています。個人主義と共同主義を持って、デンマーク人の特徴なのだと私は理解しています。

 私もそういったデンマーク人を尊敬し、日本人に欠けているところとして見習いたいと個人的にも思っているのですが、これを日本で行うとなるとそれなりにアジャストすることが必要なんですね。このへんが私の夫はできないのですが・・・。でも私自身はもっとNOと言おう、自分の意見を言うべきときには言おうと最近は思っています。

 去年の夏、友人の娘さんが私達の家に1ヶ月滞在したときのこと。私達は家族の一員として受け入れたつもりだったのですが、彼女は19歳で微妙な年齢で、彼女は「自由に好きなようにできる」と思っていたようでした。私達の家のルールをいつも破り、私はかなりそれが嫌だったのですが、その場で言えなかったのです。いい人を演じてしまったのだと思います。その場できちんと私の意志を伝えればよかったのですが、積もり積もって最後には私も彼女自身を受け入れられなくなってしまいました。友人の娘さんだったので、その友人との仲にもひびが入ってしまい、取り返しのつかない大事になってしまった・・・。

 これはノーと言えなかった自分の反省のエピソードです。日本人らしく、相手を気遣うこととはまた別に、相手に自分の意思を毅然と伝える方法を身に着けるのも今後の私の課題です。
 ただし、個人主義も自分主義も行き過ぎると単なる思いやりのない行動になりますし、他人を傷つけ、他人を冒涜する行為になると思うので(最近そういったことがデンマークの新聞を発端に見受けられましたね)、デンマーク人も国内、あるいは自分の中ではいいのですが、外に対してはちょっとは気をつけて欲しいところですけどね。(私の夫もね。)


産みたて卵

2006-07-07 15:15:32 | デンマークについて
 デンマークで宿泊する場合、ファームステイというのがあります。私達も以前、アンデルセンの出身地、オーデンセに行ったときに一度ファームステイをしてみたくて、近郊に泊まったことがあります。

 大きな一軒の古い農家で、裏庭がとても広い芝生になっており、片隅にニワトリ小屋でニワトリが飼われていました。建物は古くて、部屋がいくつもあり、もともとはここで働いていた人の部屋だったのかもしれません。今になって思うともっといろいろと聞いておけばよかったなあと思います。おじさんとおばさんが切り盛りしていて、家の前の駐車場兼お庭にはトラクターなどが置いてありました。オーデンセの街で観光をして、そこに戻ってくるとなんだかホームに帰るようなほっとした気持ちになりました。

 私が日本人だというと、オーナーのおばさんが「日本人はこのあたりにもときどき来て、泊まって行ったりすることもあるのよ。フィッシャー緑さんって知ってる?彼女がそういう旅行をアレンジしていてね。」などと話してくれたことを覚えています。フィッシャー緑さんはデンマークの日本関係の人で彼女を知らない人はいないというような方で、日本の何かについてのコメントを求められてテレビに出たこともあるそうです。実は日本に来る前、ほんの少し夫が日本語を習ったことがあって、そのときの先生が緑さんだったそうです。夫は彼女のデンマーク語の発音は完璧だったと言っていました。

 さて、その農家で最も印象的だったのが「産みたての卵」です。朝食は毎朝、パンやチーズ、ハムなどが揃えられているのですが、実は私はそれまでゆでた卵は苦手でした。ところがエッグホルダーとともに籠の中に温かい卵が用意されていて、ちょこっと食べてみるとあまりにおいしくてびっくりしたのです。卵ってこういう味だったんだ、なんて濃くて深い味なんだろう、と大げさにも感動してしまったのです。それからは毎朝、その中が少し半熟の卵を2個も3個も食べていたのでした。あー、本当においしいものはこういうところにあるのね、と思いつつ・・・。

 その農家でショウミーがたまたま1歳のお誕生日を迎えたこともあり、卵とともに思い出深い滞在でした。

義母のワイングラス

2006-07-05 22:05:18 | デンマークの家具・物・たべもの

 義母はもうすぐ70歳なのですが、義母の家はデンマークの片田舎から出てきて結婚し、60年代に少しずつ家庭を作ってきた人たちのわりと典型的なインテリア、という感じがします。全体にダークな色合いの家具を使い、壁を絵で埋め尽くし・・・。おかしなことですが、私の母も60年代に家作りを始めたせいか、なんとなく義母の家と共通する趣味の家でした。デンマークと日本なのにこういうのはどこかでつながるのでしょうか。

 この義母の家でなんといっても私が強烈な印象を持っているのが、この写真のワイングラス!初めて義母の家に行って食事をしたときに、これが出てきて、こんなワイングラスがあるんだ・・・と衝撃を受けたのでした。趣味の問題という一言なのではありますが、うーん、これは何なのだろうか、とちょっと思考が止まってしまいました・・・。

 でも義母はこのワイングラスを多分心底気に入っているのだと思います。なぜなら義母はワイングラスだけでなく、リキュールグラス、それからもう1-2種類のグラスとシリーズで持っているからです。

 そしてクリスマスのランチに呼ばれて義母の友人宅に行ったとき、これと同じワイングラスを使っているのを見て、私は完全にノックアウトされるほどの衝撃をまたまた受けたのです。思うに、このワイングラスは当時、けっこう出回っていて「素敵」だったのではないでしょうか。デンマークでフリーマーケットに行ったら、このグラスがセットで出ているのを2-3度見かけたことがあり、私は過去に人気があったと想像しているのですが。
 ちなみに義母の友人宅の息子はこのワイングラスがあまりに気に入らず、あるとき両親に他のワイングラス一式をプレゼントしたそうです。(でもその人たちはしつこくこのワイングラスを使っているけれど。)

 さて、実は今日、このワイングラスのメーカー名が判明して、変なことですがとても嬉しくなってしまいました。夫からドイツのだと思うと以前聞いていましたが、そう、ドイツのルーマ社のワイングラスだそうです。この非常に印象的なワイングラスの謎が少し解けて、ある意味、興奮してしまったのでした。

 このワイングラスは今でも売られているようです。(ちょっと不確かですが。)グラスとグラスを合わせるとチーンといい音がしますので、素材はクリスタルが入っている、あるいはクリスタル製なのかなと思います。
 これからも少しずつ、このグリーンの足のついた、ブドウの模様の入ったワイングラスの謎解き(?)をするのが何だか趣味になりそうです・・・(!?)。

個人主義?自分主義?

2006-07-04 00:40:53 | デンマーク人
 前のブログでキャンプの話を書きましたが、今回のキャンプで夫について改めて発見したことがありました。今までもそんな感じはしていたのですが、ささやかなことがきっかけで、私の中でとてもクリアになり、発見!という気持ちです。

 そのきっかけはリヤカーでした。キャンプ場内の荷物の移動にリヤカーが用意されていて、誰でも自由に使ってよいのですが、使い終わったら必ずすぐに元の位置に戻すことになっていました。夫は荷物を運んだあとは子どもを乗せてあげたりして子ども達は大喜びだったのですが、さて、使い終わった後もそのまま近くに置いておいたのでした。返さなくちゃいけないんだよ、と私は彼が知らないのかと思って一応伝えたのですが、リヤカーは結局一晩そのままになっていました。

 そこでふと思い出したのが、あるとき夫の会社でワークショップがあり、一人のスウェーデン人が来たときの話です。そのスウェーデン人がびっくりしたことに「はい、10分休憩にします。10分後にまた元の席についてくださいね」と言ったら、実際にすべての日本人が10分後には席に戻っていたそうです。夫は「日本人ってパンクチュアルなのはいいけれど、あまりにも融通が利かないんだよねー」というようなことを、このエピソードを私に話してくれたときに言っていました。

 さて、私から見るとこのリヤカーの一件は、夫がいかに日本人と違うかということを顕著に示しているわけです。決められたことを守る日本人に対して、個人が快適であることや個人の自由意志のもとに行動するデンマーク人。ちなみにキャンプに一緒に行っていた友人の元パートナーはブラジル人だったのですが、友人もリヤカーと夫を見ていて、やっぱりこのあたりが日本人とは違うんだよね、と言っていました。きっとブラジル人も然りなのでしょう。

 これが我が家庭内において、大小さまざまな対立を生むことになるのです。例を挙げると、
1.私の友人が家に遊びに来たときに、夫は一人でコンピュータをやっていたりする。私は輪に入って欲しいと思うけれど、彼は私の友人だから無理に入らなくてもいいでしょうと言う。
2.本当はNOだけど状況で仕方なく相手に合わせて行動する私を、馬鹿じゃないの、嫌ならやめればいい、それだけだ、と夫は割り切る。
3.どんなに悪趣味な服装をしていても、それを私が指摘してあげても一向に聞き入れない。私は夫にそれは似合わないと言われたら買う気を失くすのだけど、夫は私に100万回けなされているシャツを平気で着て、妙にぴったりした私以外の女性が見たら嫌な気になるに違いない水着もこれまた平然と着続ける。そのくせ私が黒い服を買おうとすると「えー、また黒?」と文句を言う。

 2に関しては私もなるべくNOと言いたいと思いつつ、いろいろな事情や前後を考え合わせると彼のように簡単にNOとは言えなかったりするのですが、確かになるべく夫を見習いたいとは思っています。
 でも自分の基準だけでなく、他人の基準に合わせることも私はやはり大切なことではないかと思うのです。
 3についてはもうあきらめていますが・・・。

 デンマーク全体として考えたときは、デンマーク人の夫のこういった個人主義、自分の意思を大切にするところはやはりいいことだと認めています。まず個人を大切にするところから発したさまざまな枠組みは、きちんと理由があり、しかも効率的で本質に基づいており、認めるというよりも羨ましく思うところです。日本人にはこのあたりのことが欠けていると常々気づかされます。

 でも、逆にこの日本人の全体主義、他人主義が何もかも滞りなく進む社会を作り上げていることも確かです。同時に日本的な優しさや配慮であったり、正直さでもあるわけですので、あながち、すべて悪いとは言えないのです。

 もちろん人によって違うことは大前提ですが、デンマーク人と日本人は、けっこうこういった考え方の出発点が対極です。自立を重んじ、自分の頭で考えて意見を言うことを重視しているデンマーク的な考え方。何もかも他人を基準とすることが多く、皆同様ということを重んじる日本的な考え方。両者の真ん中あたりが、もしかしたらもっともいいのかもしれません。

 私の子ども達は夫から、そして私から、いいところを学んでいって欲しいと思います。デンマークの長所と日本の長所、それをうまくミックスできたら、それこそがハーフの子どもゆえの2つの文化を持つ利点になると期待していますが、どうなりますか。ショウミーとジジ、2人いるのでどちらかがまるっきりデンマーク人、もう一方がまるっきり日本人になってしまったりして・・・。