デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

個人主義?自分主義?の続き

2006-07-10 12:44:35 | デンマーク人
 先週「個人主義?自分主義?」のタイトルでブログを書きましたが、以来、それについて考えていました。結論的には変わらないのですが、今回、続きとしてもう少し考えたことを書いてみたいと思います。

 デンマーク人の個人主義。小さいころからきっと家庭でも学校でも叩き込まれたもので、一筋縄ではないのでしょう。自分の頭で考え、自分の意思を持って行動すること。厳しい目を自分に向けていく訓練を彼らはずっとしてきているに違いありません。

 日本では大人になってから「自分発見!」「自分を大切にしよう」なんて雑誌の特集に取り上げられているのを見たりするけれど、デンマークではきっとこういうフレーズは聞かれないでしょうね。そんなことは子どもの頃から当たり前のことで、何を今さらということでしょう。 自分のことをよく知っているからこそ、彼らはノーと言えるし、自分の意思に反することはしないと態度がはっきりしているのだと思います。

 非常に厳しい環境の中で、資源もあまりなく、荒れ果てたユランを開墾してきた彼らは、19世紀、グルントヴィの指導の下に農民のための学校を創立し、そこで農民が意思を持つことを奨励してきました。その中で世界的に広まる農業協同組合が生まれたわけです。そうやって人々が自分自身のことをよく考え、知っていくことが後世の教育の根幹になり、その後もデンマークの中で個人主義を育てていった経緯があります。
 同時に彼らは共同主義でもあって、独立した個人が他者を顧みるといったところがあります。それが現在の高福祉の理念につながっています。個人主義と共同主義を持って、デンマーク人の特徴なのだと私は理解しています。

 私もそういったデンマーク人を尊敬し、日本人に欠けているところとして見習いたいと個人的にも思っているのですが、これを日本で行うとなるとそれなりにアジャストすることが必要なんですね。このへんが私の夫はできないのですが・・・。でも私自身はもっとNOと言おう、自分の意見を言うべきときには言おうと最近は思っています。

 去年の夏、友人の娘さんが私達の家に1ヶ月滞在したときのこと。私達は家族の一員として受け入れたつもりだったのですが、彼女は19歳で微妙な年齢で、彼女は「自由に好きなようにできる」と思っていたようでした。私達の家のルールをいつも破り、私はかなりそれが嫌だったのですが、その場で言えなかったのです。いい人を演じてしまったのだと思います。その場できちんと私の意志を伝えればよかったのですが、積もり積もって最後には私も彼女自身を受け入れられなくなってしまいました。友人の娘さんだったので、その友人との仲にもひびが入ってしまい、取り返しのつかない大事になってしまった・・・。

 これはノーと言えなかった自分の反省のエピソードです。日本人らしく、相手を気遣うこととはまた別に、相手に自分の意思を毅然と伝える方法を身に着けるのも今後の私の課題です。
 ただし、個人主義も自分主義も行き過ぎると単なる思いやりのない行動になりますし、他人を傷つけ、他人を冒涜する行為になると思うので(最近そういったことがデンマークの新聞を発端に見受けられましたね)、デンマーク人も国内、あるいは自分の中ではいいのですが、外に対してはちょっとは気をつけて欲しいところですけどね。(私の夫もね。)