デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

カラフルなデンマークの病院

2010-09-27 22:35:36 | デンマークのあちこち
 夏の滞在中、夫のお母さんが4日ほど入院するというハプニングがありました。Herlevヘアレウという町にあり、珍しく30階近くある(ちょっと階数はうろ覚えですが)、のっぽのビルの病院です。お見舞いに行って、日本との違いにびっくりしましたので、それについて書いてみたいと思います。

 外側から見ると暗い、少し古い感じのするビルなのですが、中に入ると別世界。なんとまあ、カラフルな世界が広がっています。

          

 まずは上の写真がロビーです。多分日本だったら、ホテルのロビーを想像していただくとちょうどいいかと思います。日本にもある、病院にはお決まりの売店、花屋、そしてカフェ・レストランが1階にあるのですが、その広さに驚き、そしてライトなどのインテリアは知らなければ病院だとは気づかないかわいらしさです。ここのカフェ・レストランはなんとアルコールが飲めます。よく考えてみたら別に病院でアルコールを出していけないという理由も思いつかないのですが、日本では飲めない患者さんに気遣ってか、病院でのアルコールは考えられないですよね?(もしかしたら、他のヨーロッパの病院も飲めるかもしれませんね。)

 次にエレベーターホールです。カラフルでしょう?

          

 こちらはトイレです。エレベータもですが、トイレも美術館のようです。これが病院だなんてびっくり仰天だけれど、ちょっと張り切りすぎている気もしないでもないけれど、沈みがちな気持ちになることも多い病院です。このくらい、元気と明るさに溢れているくらいのほうがいいのかもしれません。

          

           

 各階ごとに専門が決まっており、義母の入院しているフロアは泌尿科です。エレベータの中はデジタルの文字で案内が出て、わかりやすくなっています。エレベータを降りると、また上の写真のように色・色・色です。

 そして廊下には共同の食べ物のコーナーがあります。ここにあるものは、飲み物はコーヒー、紅茶、そしてジュース、水などがあり、食べ物は果物やちょっとしたケーキなどです。これは入院している人がいつでも好きなように取って食べることができます。食事の時間は決められていますが、こうしてちょっとしたものを食べられること、特におやつの時間にはケーキなどが山盛りで出てくるところなど、非常に自由です。コーヒーは日本の病室ではあまりお目見えしないような気がしますが、デンマーク人にはたとえ入院中でも欠かせないもののようです。ここにはお皿や紙コップ、スプーンなどがそろっており、患者たちは自分のコップなどをわざわざ持ってこなくてもいいようになっています。
       
 
          

          
          お見舞いで来た人も食べていいのかな?まあ、コーヒーくらいはいいでしょうけどね。

 ここの隣には入院しているときに着る丈の短いドレス型のパジャマなども置いてあり、自由に着替えられるようになっています。このパジャマを着ても、自分で持ってきたパジャマを着てもどちらでもいいそうです。患者たちが清潔なものを着られること、それを自分で準備したり洗濯したりしなくてもいいことは、便利ですね。

 そして、病室の中に入ると、まずはその明るさにびっくりしました。のっぽのビルだけあって、見晴らしが特別にいいだけでなく、窓が天井から床まであり、本当に病室であることを忘れるほど気持ちのいい部屋になっています。とはいうものの、病室に必要なあれこれはあり、ホテルのようにはいかないのですが、気持ちが和む明るさであることは確かです。そして、病室もたくさんの色で溢れています。色は人に元気を与えてくれるものなので、日本の病院のような殺風景なのはちょっとさみしいと私は思ってしまいます。

 もうひとつ、ちょっとさみしいことはデンマークの病室にはテレビがないことです。入院中、本や雑誌もいいけれど、テレビも見たいなどと思うのは日本人だけなのでしょうか?読んだり書いたりしない人は、テレビが救いになるのではと思うのですが。デンマークではテレビは廊下のコーナーにソファとテレビのあるスペースがあり、そこで共同で見ることができます。

          

 私たちがお見舞いに行っていたときに、ちょうど看護師さんが何かの検査に来たのですが、彼女がどっかりと義母のベッドに腰掛けて、話しかけたり注射をしたりしているのを見て、面白いなと思いました。彼女たちはとてもフレンドリーでリラックスしている感じで、かろうじて服装で看護師さんだとわかるけれど、立ち居振る舞いは私たち一般人と変わらない雰囲気です。(日本の看護師さんはもっときりっ!としていて、たとえ白衣がなくても雰囲気からして違う気がする・・・。)

 とにかく和やかで、明るい、よい印象のデンマークの病院訪問でしたが、ひとつだけ気になったのがナースコールでした。私たちのお見舞い中、しばしば耳障りなナースコールの音が鳴り続いていました。義母によると、それはトイレに入っている人からのナースコールだそうですが、とにかく鳴り止まないのです。ナースステーションには看護師さんが座っているけれど、立ち上がる様子がなくて、コーヒーを飲んでる・・・。鳴り止まないナースコールに私はだんだん落ち着かなくなってきましたが、鳴り止む様子はなく・・・。

 後日、友人に聞いたら、デンマークでは自分の担当患者がきっちり決まっていて、自分の患者でなければ、ナースコールがあっても駆けつけなくていいそうです。たとえ自分の患者であったとしても、休憩時間であれば、それもまた駆けつけなくていいそうです。えー、えー、そうなの?と思ってしまいましたが、確かにデンマーク人の論理には合っている気がして、合点がいかないわけではないのですが、それにしたって・・・。もしこれが義母が苦しんでいて鳴らしているナースコールだったら、と考えると悲しくなってしまいました。痛かったり苦しんでいる人、その人にできるだけ早く手を差し伸べるのが、看護師だからではなくて、人として自然な行為だと思うのですが・・・。もし本当にそうだとしたら、いくら個人主義の国とはいえ、どういうふうに解釈したらいいのかしら?とこちらもかなりびっくりなデンマークの病院体験でした。

          
           

日本人の季節感

2010-09-21 10:36:35 | 思ったこと・気づいたこと
 先日、おばと会ったときのこと。新宿高島屋に行くとちょうど生け花の展覧会をやっていたので、ランチの前にちょっと寄ってきました。おばはお茶やお花、着物などについて多少の知識のある人なので、花の名前や茶花についてなどちょこちょこレクチャーを受けながら見るのは、私にとっては楽しいことでした。

 生けられた花を見ながら、素人の私でもふと気づいたのが、今ちょうど盛りの花が生けられているとなんだか少し遅い感じがしたことです。ホウズキやヒマワリは確かに今咲いている花なのだけど、器に生けられているのを見ると、なんだかいまさらな感じがしてしまうのです。ところが東京ではまだ少し早いコスモスなどが生けられていると、すごく粋に見えます。

 着物の柄も同じですよね?桜の模様の着物は、いつも一歩先を行くように着るのが粋だと言われています。咲く前に咲いた柄を、満開の頃には散る桜を、あるいはもっと先に行って青葉の頃の柄を着るのが粋に見えます。日本人は洋服でも季節を前倒しして着るのが普通ですよね?今日などは最高気温が30度ですが、皆、薄い色の夏のドレスなどは着ていなくて、どことなく秋の始まりを感じさせる、シックな色合いが多いように見えます。

 そこに行くとデンマーク人のわが夫などは、寒いと言って(デンマーク人なのに)5月や6月にも平気でウールのセーターを着るし(さすがに着てみたら暑かった、間違えたなんてこともあるようですが)、11月になっても短パンを履いていたりします。一人浮いた夫を見ながら、私はしみじみ、日本人って本当に季節を大切にする国民なんだなと思うわけです。

 私は平均的日本人とうちの夫との真ん中くらいで、寒ければ4月にセーターを着たりはしますが、そんな私でも生け花を見れば、無意識のうちに季節と照らし合わせて、粋だ、粋じゃない、などと思うんだなぁと自分の中の日本人に改めて気づいたのでした。

 でもやっぱり日本の季節感は素敵だと思うし、四季こそが日本のいいところだと思います。少し話はそれますが、日本の学校も海外に合わせて8月や9月に始まったらいいのではとも思いますが、それでも3月の寒い時期の卒業や、桜の咲く何もかもが新しい気持ちになる4月の入学式はどうしても捨てがたい・・・。

 なかなか時間がないけれど、これからもっともっといろいろなことを学んで(日本の文化は深ーい!)、より季節感を楽しめる大人になりたいです。ほんと、時間が取れるようになったらお茶とかぜひ習いたいわー。

「タイは貧しいの?」

2010-09-12 06:25:21 | 思ったこと・気づいたこと
 この夏はデンマーク、タイ、そして日本と3つの国を体験して(日本は体験とは言わないけれど)、その違いを面白く思いました。町の様子の違いでは、デンマーク人は初めてタイに行ったらどう思うんだろうと想像してしまったし、人の違いは私にはデンマーク人とタイ人の違いは大きく、これもまたデンマーク人はタイ人をどう思うのかなと考えてみたり・・・。食事ではアジアの一員の私としては、タイには何でもある、いろんな材料を使ってる!と感動してみたりしました。デンマークは普通の家の食事や普通のレストランでは、どうしても私にはいつも単調な同じお料理のように感じてしまうのです。(もちろん、特にお肉などはおいしいのだけど、同じなのです・・・。)

 さて、タイに着いて、その人々の優しい笑顔(よく言われる微笑の国、ですものね)、優しい振る舞い、かゆいところに手が届くような親切さに触れ、食べ物も安くておいしくて、ついつい賞賛の声を上げていたと思います。子ども達にも「ジュースはタイは本当においしくて安いので、いっぱい飲んでいいよ」、夫とも何もかも高くて値段を気にしつつ過ごしていたデンマークと比べて、つい「安い!」と感嘆していました。そして背景には、ごちゃごちゃとした道や路地が、また整然としたデンマークと違って、いろいろと「構わない」雰囲気を醸し出してもいたこともあるかと思います。
 そして、タイに着いて2日目、ショウミーから「タイは貧しいの?」という質問が・・・。

 私の頭の中は一瞬にしてぐるぐる考えてしまいました。タイは貧しいのか?タイは貧しいのか??? 答えはGDP及び国民一人当たりのGDP的にはイエス、でも本当に貧しいかな、貧しいって何だろう?と考え込んでしまいました。

 タイの人達はこんなにおいしいものを食べている、日本よりも新鮮でプリプリした魚介類を食べていて、日本よりも甘くておいしい果物を食べている。タイのスーパーだってコンビニだって何でもある、日本は物がありすぎる国だから日本と比べると物の種類が少ないかもしれないけど、デンマークと比べればもしかしたら種類が多いかもしれない。虫除けスプレーなんて日本よりも種類があるし(まあ、それは必要に応じてだとしても)。レストランが高いからといってなるべく自宅で食べるデンマークの生活に比べて、タイでは気軽に皆が外食することができる。タイはむしろ、豊かだという印象です。

 もう少し言えば、バンコクも深刻だった確か世界でワースト2だった大気汚染もかなりよくなってきているような感じであったし、銀行、コンビニなどもたくさんあり、お店に関してはデンマークよりも便利だと思います。

 何より人々が余裕があるというのか、他人と気軽にコミュニケーションを取り、細かに気を使ってくれ、他人の子どももすごくかわいがるのは、日本人と比べてもデンマーク人と比べてもなんだか豊かな気がします。子ども達が駐車場でサッカーをやり、駐車しようとしている車の運転している人に、サッカーの邪魔になるからここから向こうに停めてよ、などと頼んでくるのは、人の取りかたによっては我儘な注文かもしれませんが、私にはむしろ寛容な社会の現れのように聞こえ、心が豊かなだなあと思いました。

 けれども、観光客が行かないような農村に行けば、きっと食べることに事欠くほど、教育に事欠くほど貧しいところもあることでしょう。タイ人が外国に行くことなども、一般的には経済的に簡単なことではないことでしょう。そういう意味ではデンマーク人と日本人は豊かで、タイ人は豊かではない、あるいは貧しいのかもしれません。

 でも待てよ、本当にそうかな?デンマーク人は休暇に外国に行く人も多いけど、日本人はいまやそんなに行ってないのではないか、現に私の周りの家族たちに限って言えば、10家族のうち1家族くらいしか海外旅行になんて行っていない感じです。それも我が家のように、国際結婚をしていて行かなくてはならない理由がある家族が大半で、日本人同士の家族はほとんど行ってないようです。日本人は相変わらず働く時間が長く、デンマーク人のような長期休暇も取れず、通勤時間も1時間以上はザラ、相変わらずの満員電車でこの暑さの中も必死に働いていて・・・。では日本も豊かではないのか?そう、私は日本人がとっても豊かだとは思えません。特に精神的にはむしろ貧しい部分も多いように思います。デンマーク人も冷たい対応がよく見られ、そういった部分では精神的に豊かな印象はないですし・・・。

 ということをぐるぐる考えて、さて、ショウミーにはとりあえず少し説明してから、「どの国も、デンマークもタイも日本も、それぞれ豊かな部分と貧しい部分があるんだよ。だから決してタイだけが貧しいわけじゃないの。ただタイ人が外国に行こうとすると、お金の価値が違っていて、ちょっと貧しくなっちゃうかもね」と締めくくったのですが、この質問が引き金になって、今も私の頭の中に残っていて、豊かさと貧しさについてときどき考えています。