デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

デンマークのキッチン

2007-06-26 23:03:25 | デンマークの家具・物・たべもの
 今回のデンマーク滞在で、何件かのデンマークの家を訪ねたのですが、毎度のことながらその機能や使い勝手のよさ、心地よさ、よく考えられた造り、素材のよさなどに私は感動しています。

 さて、あるデンマーク人の友人の家を訪ねて、いかにもデンマーク的、というのを発見しました。彼は彼のお母さんの家を購入し、長い時間をかけて少しずつ自分で改修しています。デンマークでは、一般の人がプロの大工さんのような改修をやってのけるのは珍しくありません。もちろん、個人差はあると思いますが、ペンキ塗りや壁紙の交換くらいは当たり前で、オリジナルの棚をこしらえたり、キッチンのカウンターを自分で作ってしまったり、果ては自分で家を建ててしまうような人までいるのです。電気工事などの専門的な部分はプロフェッショナルの人を入れつつ、かなりのレベルの仕事をこなしてしまいます。

 なぜそんなことができるのか、はっきりとした理由は不明ですが、夫と話したところ、小さいころから親にハンマーを渡されて、一緒にやり自然に身につけていたという人もけっこういるようであること、暇なこと、作業をやるスペースがどこの家にもわりとあること、DIYが古くから一般的であることなどが思いつくところです。

 話を元に戻して、友人宅の私の発見した素敵なキッチンをご紹介しましょう。まずは冷蔵庫を開けたところの写真です。

          

 そしてこの冷蔵庫のドアを閉めると、下のような写真になり、冷蔵庫は完全に隠され、ただのドアつきの棚となるのです。この「何もない」という状態がいかにもデンマーク的なキッチンだと感心してしまいました。

          

 キッチンはお国柄がなかなかどうして出るところだと思います。日本のわりと物の多いキッチンもそれはそれで味わい深かったりもしますが、デンマークの超シンプルなキッチンは何もかもしまいこむところから来ており、私はすっきりしていてとても好きです。その分、収納のスペースが多いのですが、まさか冷蔵庫まで収納してしまうとは、驚きでした。


 During my last staying in Denmark, I have visited some houses, then I was impressed by the functions, the usability, the well-considered structure, and the quality of the materials every time.

When I visited a friend's house, I found a very Danish thing there. He bought the house from his mother a few years ago and he has been trying to renovate it eventually. Danish people sometimes do a kind of professional work like a carpenter by themselves,of course it depends on the person,though. Most of people can paint and change wall papers, and some (or more than some) people can make a new original shelf, or a kitchen counter. And I have heard sometimes that someone built his house by himself! He hired the professionals only for electrical work, that's it.

I don't know the reason why they can do that. My husband and I talked about it, and we imagined some reason, which is some people were taught the skills by their parent when he was small and they learned it naturally, Danes have a lot of free time, they have large spaces to do such things, and they have a custom of DIY since a long time ago.

Let's get back to the topic of my friend's place. Fisrt picture shows when the door of the fridge was opened. Then next one is when I shut the door. The fridgh was completely hided, and becoming just a part of the cabinet. I thought this simplicity was very Danish.

Kitchens express the character of that country's people's life-style. Japanese kitchen often have too much stuffs and it may have a kind of cozy atomosphere. But Danish ones put everything into the shelves, I like that simple and nice impression so much. They have a lot of spaces in the kitchen, maybe that's why that make it possible. But even the fridge can be hidden inside the cabinet.... that's surprising!



ファクセとステブンズクリントへ

2007-06-25 22:17:08 | デンマークのあちこち

 デンマーク、特にシェランはあまり変化に富んだ自然が見られないのですが、たまに面白い光景があります。ファクセ Faxe はどこかの町の観光局でパンフレットを見て以来、ぜひ行きたいと思ったところで、ある日、チャンス到来、子ども達を義母に預けて夫と日帰り旅行に出かけました。

 シェランはコペンハーゲンのある島で、デンマークの中では最も東側に位置します。コペンハーゲンから50キロほど南下したところに、そのファクセがあります。上の写真だけを見ると一体どこの国かと思ってしまうのですが、これがファクセの写真です。ここは石灰岩の採石場で、現在も向こう岸では採掘しています。6300万年前は海底だったところで、そのころは鮫やワニ、イカなどがサンゴの間を泳いでいました。そうしてここの石灰岩にはサンゴや鮫の歯、カニやムール貝の殻、いろいろな海の生物や植物などが、化石としてこの石灰岩の中から発見された、なんともわくわくする場所です(近くには発見された化石の博物館があります)。

 ちょうど私たちが駐車場を探していたときに、ハンマーを持った観光客の人たちを見かけたのですが、今でもこの白い石灰岩の中にごく小さな化石が残っていて、好きなように発掘することができます。私たちはハンマーは持っていきませんでしたが、それでももしかして、という子どものような気持ちになって、夫と2人、けっこう長いこと探してしまいました。実際、植物の種か実のようなものはけっこうたくさん石灰石の中に入っていましたが、子ども達のおみやげになるような鮫の歯や小魚のようなものは、残念ながら発見できませんでした。

 それでもとにかく石の白さと、ターコイズブルー、あるいはエメラルドグリーンに見える水が本当に美しい景色でした。ただ、水面を見下ろすとけっこうストーンと下に落ちるような岸壁で、けっこうこわかったです。子ども達がいなかったのはよかったかもしれません。もう少し大きくなれば、家族で化石の発掘だなんて、かなり楽しそうではありますが。

          

          
          ファクセにあるホステルのデンマークらしい、かわいらしい庭

 そして次に向かったのが、ステブンズクリントStevns Klintです。ファクセから車で30分くらいでしょうか。ここは何が有名かというとホイラップ・オールド・チャーチという名前の教会です。

          

 こちらから見ると何の変哲もないただの古い教会に見えますが、実はこの教会は海に面した高台に建てられていて、1928年、教会の下の岸壁部分が崩れ落ちたのです。それに伴って、教会の一部も見事に落ちてしまいました。

          

 反対側から見ると、その落ちてしまった部分の痕が、教会の壁に生々しく残っています。そして下を見下ろすと、先ほどのファクセ以上のまっさかさまに落ちるような切り立った岸壁です。高所恐怖症でなくても、充分に怖い景色でした。本当はもう少し南のムーンというところで、こうした切り立った白い崖と海という景色が見たかったのですが(とても美しいそう)、そこが崖崩れが懸念されるために立ち入り禁止となっていて、残念ながら行けなかったのです。切り立った岸辺に立ちつつ、こちらの教会のほうは、さて、崖崩れは大丈夫なのかしらと命の縮まる思いでした。でも観光客が絶え間なく訪れているところを見ると、このスリルがどうも人気の場所のようです。

          

勉強のない日

2007-06-16 06:43:47 | 通信制大学・大学院
 昨日、西洋経済史についてのリポートを2通作成し、ポストに入れてきました。たまたま空は東京とは思えないほどの快晴、白い雲が浮かび、私には本当に解放感あふれる気持ちのよい空に見えたのでした。そして、この後すぐにテストが控えてはいるものの、今日一日は「勉強のない日」です。

 大学が始まってそろそろ2月半となります。もちろん始める前からわかってはいましたが、母親業と学業の両立はなかなか難しいものがあり、実感する日々となりました。そして勉強って何だろう、どうやって学べばいいんだろう、どうやったら身になる勉強になるんだろう、ということもよく考えました。入学を決める前も私の道を見つけるためにいろいろと試行錯誤していましたが、大学が始まれば始まったで、今度は違う試行錯誤です。

 まず始めてみて一番感じたのが、学問の広さ、深さ、複雑さでした。一冊のテキストの中から無限に広がる疑問、ひとつの言葉を知るために本当は本を一冊読まなくてはならないほどの深さ、ひとつの事柄も学問の領域ごとに違う見方があるという複雑さ・・・。そういうこと自体に学生時代の私は気づいてなかったのです。まあ、気づいてはいたのですが、そんなことはどうでもいいことだったのですね。そうして現在、限られた時間の中で、どこまでその学問に身を浸せるかというところで、ジレンマを感じ、悩んできました。時間的な制約を優先し、テキストを斜め読みし、リポートに書くところだけを拾っていく、テストも山をかけてそこだけ覚えるという方式もあると思います。逆に1冊のテキストから参考文献まで読みあさって、研究していくというような勉強方法もあると思います。(ただしこの場合は1単位取るのに恐らく1年かかってしまうでしょう。)
 
 この2ヶ月半で私が見つけつつある私の勉強のしかたは、どうやら「テキスト1冊ずつをしっかり学ぶ」という方法のようです。時間の都合上、非常に残念ながら参考文献まではいけないし、自分で疑問を調べていくというような余裕もありません。かといって、学生時代のときのような「テストさえ受かればいい」、そして全く身にならなかったような学習方法ではちょっと情けなく思ってしまいます。ということで、1冊ずつノートを取りながら、自分の中で噛み砕いて読み進むことにしました。これでもけっこう時間がかかり、1冊読むのに1ヶ月はかかります。加えて私の右手にはとうとうペンだこまでできてしまいました!学生時代にはできたことがなかったペンだこ、です。

 とにかくこうして試行錯誤、悪戦苦闘して始まった私の勉強ですが、それでも新しく何かを知ることの喜びはやっぱり格別なものです。ダイビングをし、初めて海の中に潜って、新しい世界を発見したときの喜びと同じ気持ちです。そのわくわくする気持ちは、まあ、必ずしも勉強でなくていいわけですけど、いくつになってもいつも味わいたい、なくてはならない気持ちです。また「勉強しなくちゃ」という追い立てられるような気分はストレスにもなるのですが、このストレスが逆に生活によい緊張感を与えてくれたり、つまらないことで時間を取るようなことがなくなり、生活がより充実してきていると思います。(あまりにも切り捨てすぎちゃって、子どもの幼稚園の持ち物やお弁当が適当になるなどの弊害もありますが・・。)

 そして今日のように「勉強のない日」、今日は一日勉強のことは忘れて、違うことを考えたりやったりしようという日もまた何とも言えずいいものです。気持ちのいい天気や家族とのささやかなくつろぐ時間などが、妙にハッピーに感じてしまいます。今日はたまたま近所でフリーマーケットを見つけたので、それに出店することになっています。ショウミーとジジも「いらっしゃいませ~!」「しゃくえん(100円)です!」とはりきっているので、楽しいひとときとなることでしょう。終わったら、天気がいいのでビールがおいしそうです。いつもは勉強があるのであまり最近は飲めず、ビールを飲むのは私のこの夏の特別なお楽しみなのです。



 

ジジの3歳の誕生日

2007-06-13 06:12:04 | デンマークの行事

 デンマークに着いてすぐ、ジジの誕生日がありました。ショウミーは7月生まれで夏休みと誕生日が重なるので、今後もデンマークで誕生日を迎えるチャンスがあるかと思いますが、ジジは今回が恐らく最初で最後の、貴重なデンマークでの誕生日でした。

 お決まりの朝起きると山のようなプレゼント、そしてファーモアの作ってくれたケーキを食べました。このファーモアのケーキはスポンジを2個重ね、間にバニラのたっぷり入ったクリーム(バタークリーム?)をはさみ、まわりには生クリームを塗ってあります。日本のケーキのように何もデコレーションせず、ろうそくと旗を立てるだけです。しかし、この味が夫には子どものころから食べているとても特別な味のようです。

(余談ですが、このケーキはしばしば私たち夫婦の間の火種となっています。夫にはあまりにおいしいらしいのですが、結婚して初めての夫の誕生日にはりきって苦手なケーキに挑戦したのに、食べて一言、夫は「あー、でもお母さんのケーキのほうがおいしい」と口を滑らせたのでした。以来、夫のためにはケーキを焼く気になれず・・・。もう一度は今回滞在中、やはりあまりにもおいしいらしく、ランチのパーティー直前に、私がご馳走を朝から必死になって作っているにもかかわらず、このケーキの余りをばくばく食べたのでした。もちろん私は激怒してしまいました。)

 実はこの日は夫の誕生日でもあるのですが(つまり夫とジジは同じ誕生日なのです)、ジジが生まれてからというもの、夫はすっかり脇役になってしまっています。まあ、ジジの笑顔が最大のプレゼントということで、しばし我慢してもらいましょう。

 週末には親戚を呼んで、誕生会を開きました。子ども達はまたたくさんのプレゼントをもらい、遊び相手も来てくれて、本当に楽しかったようでした。

 
          

          

          

          
          

デンマークで見つけたおいしいもの

2007-06-10 08:15:02 | デンマークの家具・物・たべもの

 これはbiksemadビクセメルといって、冷蔵庫の残り物を混ぜて塩、こしょう、イングリッシュソースで味付けをするというお料理です。材料はベーコンのような豚肉、玉ねぎ、じゃがいもで、どこの家にもあるもので作られます。最後に頭に卵を乗せて、ライ麦パンとビーツなどを添えればできあがりです。私がこれを気に入ったのを義母はびっくりしていましたが、なかなか日本人の口に合うお味です。

          

 デンマークでポピュラーなhyld(ニワトコ)のお花のジュースがありますが、これはそのアイスティーです。hyldはややクリームがかった白いレース状の花で、ジュースは私の中でデンマークの夏のイメージとなっています。味はカモミールの味に近いのではないでしょうか。少々くせはありますが、おなかにやさしくて味もマイルド、常飲するのにはいいのかもしれませんね。

             

 デンマークのパンは特筆するものがありますが、今回、友人がバーベキューのときにホイルで包んで焼いて食べさせてくれたのが、このパンでした。薄茶色の生地にほどよく種が練りこまれていて、とても香ばしかったです。生地があまり軽くなく、食べ応えがあります。ちょうどいい焼き具合だと、少しもっちりした感じがおいしいです。また何と食べても合うように思います。

                    

 今回朝食にしばしば食べたのがこれです。スーパーで夫が「これ、おいしいんだよね」と買って以来、私も大好きになってしまいました。ライ麦パンを粉状にしてあり、それに砂糖とヨーグルト状のymerをかけてスプーンで食べます。寝ぼけ眼の頭とお腹にぴったりで、その面白い食感と甘さ(私は大量に砂糖を入れるのですが)で目が覚めます。これは日本では売っていませんが、古く硬くなったパンをフードプロセッサーなどで細かく砕いて、バターと砂糖で炒めればできるそうです。またフランスパンでもできるそうです。http://plaza.rakuten.co.jp/takformad/diary/?ctgy=2

 デンマークには日本ではあまり馴染みのない、おいしいものがけっこうあるように思います。日本人の味覚にあったものがけっこう見つかります。もちろんおいしくないと思うものもありますが、だんだん、私のデンマークの食べ物に関しての勘ができて、おいしいものを見つけることが見つけられるようになったのかもしれませんが。ただ、おいしいのですが、食べ続けることができないのが困るところです。丸一日デンマーク料理漬けだと、翌日は今日は絶対違う国の物が食べたいと強く思ってしまうのでした。

MAMMA MIA!を見て

2007-06-08 06:20:10 | デンマークについて
           

 デンマークに到着直後の4月18日、夫と私はコペンハーゲンでずっと見たかったミュージカル、MAMMA MIA!を見てきました。このミュージカルが初演されたのは、90年代の終わりでしょうか? 2000年にNYに行ったときに、ダウンタウンの小さな劇場でやっていたこのミュージカルのチケットは人気がありすぎて、全く取れない状況でした。2001年にたまたまトロントに行ったとき、そこでも上演されていて喜んだのもつかの間、やはりチケットは取れませんでした。デンマークに出発前、何となくどんなイベントがあるかしら、と調べていると、なんとこのMAMMA MIA!があるではありませんか。しかもインターネットであっさりチケットも買えてしまいました。

 デンマークでチケットを買うのは、日本に比べるととても楽な気がします。日本では発売日にほぼ完売などということがありますが、デンマークではよほどのものではない限り、そんなことはないようです。チケットの売れ方は非常になだらかな右上がりの曲線を描き、最後の週あたりでぐっと上がる、のではないでしょうか?でも実際に行ってみるとけっこう満席だったりしていますし、今回のMAMMA MIA!はチケットが取れなかったという話も聞きましたが。でも、人口の少ないデンマーク、こういうところは東京とちょっと競争の激しさが違うのは確か、私は個人的にコペンハーゲンをヨーロッパの穴場と呼んでいます。MAMMA MIA!にはツアーでオランダなどから来ている人もいましたが、コペンハーゲンは地続きで来ようとすると、ヨーロッパから少し離れています。これがドイツとつながっているユラン半島にあったら、もっと観光客が増えてしまうかもしれません。

 前回のデンマーク・ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」はうとうとしかかってしまいましたが、今回は夫も一緒にいたので、大丈夫でした。セリフの細かいところの聞き取りができず、デンマーク人が笑っているのに私は笑えないということがよくありましたが、英語だったので比較的わかりました。そして、MAMMA MIA!は非常に楽しく、ユーモアたっぷりに仕上がっていて、特に3人の「おばさん」たちが歌にしても、その、年を重ねた分の深みと貫禄のあるおばさんぶりも素晴らしかったのでした。(最近、格好いいおばさんに憧れる私には、いいお手本(?)だったかもしれません。)

 休憩時間、飲み物を買いに行こうとして、ちょっと驚いてしまいました。バーカウンターだけにライトがあって、あとは真っ暗だったのです。その暗い中、みんなが話をしているのですが、まるでクラブのようでした。これはデンマークのヒュッゲを演出しようとしているのか、最近はこういうのが流行りなのか、この会場が仮仕立てだからなのか、理由はわかりませんでしたが、とにかくその暗さにびっくりしたのでした。

          

 この日は非常に寒い夜でしたが、帰りは頭の中にABBAの音楽がいっぱいで、寒さに負けない元気をもらって帰りました。MAMMA MIA!の観客も私たちが一番下の年代くらいで、それ以上の年齢の大人たちが楽しんでいる様子も、なんだか素敵ないいものでした。

          
          開演前の会場の様子。とても簡単に設営されていて、面白かったです。

デンマーク【小学校訪問リポート vol.3】

2007-06-02 01:26:03 | デンマークについて

 こうしてひと通り午前中の授業を見学し、校庭に出るとちょうどお昼休みで子ども達が楽しそうに遊んでいました。この学校は全国でも学力がトップクラスに入るような学校だそうで、私の全体的な印象は「上品な」感じがしました。

 デンマークの学校の建物は四角くて平べったい建物、外側はわりとそっけないかんじでオフィスの建物かと見まがうようなイメージだったのですが、この学校はたまたま撮影にも使われたような、特別にかわいらしい黄色の建物でした。ショウミーもあまりに「楽しいところ」と思ったらしく、嬉しくて門によじ登っていたのでした。

          

 さて、最後に私の感想を書きたいと思います。今回の訪問は、予めデンマークの小学校の内容や学校に関わる大人たちの姿勢なども知っていたつもりでしたが、そういったものを実感させてもらうとてもいい機会となりました。

 まずはクラスの少人数制です。このクラスはだいたい20人位(上限は28人、それでも多すぎるということで私立の学校に入れる人もいます)でしたが、担任と副担任がついて、いつも子ども達に気を配っています。算数のワークブックに取り組むときは、各グループを回り、一人一人に指導したり、褒めたりしていました。デンマークはテストのない学校(6年生まで)ですが、このくらいきめ細やかに一人ずつに向き合っていれば、どの子がどの程度理解しているのか、またそれぞれの弱点など手に取るようにわかるに違いありません。このクラスの様子を見ていると、「教える」というのはこういうことなのかと思いました。年長者である先生が知っていることを、子ども達に教える、あるいは知恵を伝えていく、それはまるでお母さんが子どもに言葉や物事を教えている雰囲気と全く変わらない印象でした。(お母さんと違うところは、子ども達が飲み込みが悪くても決して切れない点でしょうか?)

 次にデンマークの学校では非常に「自主的」であること、「自由」であることが大切にされているように思いました。たとえば午前中の「フルーツの休み時間(15分か20分ほどの休憩で-実際にはその日によるよう-)」では子ども達が座って食べるのではなく、好きなところで好きなように、あるいは食べても食べなくてもよくて、いっせいに食べるということはありません。同じく支給されるランチタイムの牛乳も、移動しながら飲んでいる子もいますし、飲まない子もいます。授業中も、はい、皆でこのページを開いてくださいというところもありますが、自分のペースで進めて行っているようです。先生はうまく子ども達がやりたくなるように仕向けているようですが、子ども達は「やりなさい」ではなく、「やりましょう」という状況です。その結果、あまり熱心でない子どももいて、ふざけ過ぎて怒られることもありますが、進むペースについては本当に自主性を大切にしているようでした。夫が以前、体育の授業はその日やりたいスポーツをそれぞれ選択する、歴史も自分の好きな時代を研究する形式で学ぶと言っていましたが、すでに幼稚園クラスでも、そういった片鱗が見えました。

 3つめは学習の進むペースです。が、その前に学校に入学する年齢の話をしたいと思います。資料によると入学は満5歳の夏からとあります。つまり入学が8月ですのでその時点で5歳になっていればいいようですが、実際には10月、あるいは年末くらいまでに5歳になっていなければ、入学を翌年にすることが多いようで、つまりは6歳で入学という子が多いようです。(現在はわかりませんが、夫の時代には夏に5歳になっておらず、翌年3月に5歳になる子どもでも、親がOKと思えば入学していたようです。)けれども、もし子どもが体力的に、発達的にもう一年ゆっくりしたほうがよいと親が思ったり、あるいはカウンセラーと相談したりした結果、1年見送って入学することもあります。また入学後、1年生になる前に幼稚園クラスをもう一度繰り返す子もいました。これは子どもに無理なく学習できるようなシステムになっていると言えるでしょう。日本のように6歳でいっせいに入学といっても、子どもによって開きがあることは確かで、初期の段階でつまずいてしまったり、座っていることに疲れてしまったりするよりも、ゆとりを持ってスタートできることはいいのではないかと思いました。デンマークは個人を本当の意味で大切にする国という言い方もできると思います。

 そして本題の学習のペースの話ですが、日本では毎日あいうえおを1つずつ習うというペースだそうですが、デンマークでは1週間かけて1文字、またはもっとゆっくりのペースで進みます。算数も計算というよりも、数に親しむためのぬり絵の時間と一見、見えてしまいます(いえ、実際そうだったと思います)。さてこれで教育水準は大丈夫なのだろうか、と心配してしまうほどのゆっくりさです。先生が一人一人に対応している姿を見て、私は日本の教育がなんて効率的なのかと改めて思ってしまいました。板書式のあの授業が、1対大勢という形式のクラスの中でなんと効率のよい進め方かと思ったのでした。

 勉強の楽しさを子どもに伝えたいという意味では、デンマークの学校は勝っているように見えます。身体を動かし絵を描く音楽の時間、カラフルなワークブックにはイラストがたくさん載っており、好きな色に塗りながら数を身につけていく、毎朝面白いアルファベットの歌を歌うなど、子ども達はいつも楽しみ、よく笑顔がこぼれていました。日本はやや味気ないテキストで、暗記中心の授業で、子ども達にいつも選択肢がなく、先生の指揮にきちんと従って学んでいかなくてはなりません。今、私が大人になって学んでいて思うことは、学問は本当に探求なのだということです。書物の中で、あるいは自分の頭の中で果てしなく探求すること、それは冒険のようなものなのです。こういうことは日本の学校では教えてくれなかったように思いますが、デンマークでは「選択する」「自主性」「調べること」などというところから、勉強の楽しさ、勉強の深さ、勉強の広さなどを子ども達は知ることができるのだと思います。

 一方で、小さい、頭の柔らかいうちに、とりあえず暗記してしまうことが大切とも思います。難なく覚えられるうちに暗記してしまったことは、一生の財産となります。日本人でしたら、漢字がその最たるものかもしれません。1週間に5~10個くらいでしょうか?ドリルで詰め込まれましたが、これもまた今勉強をする身となりますと、辞書を引かずにほぼ必要な漢字が書けることはすごいことだと思ってしまいます。傍らで外国人の夫が大人になってから漢字を学び、遅々として進まないところを見ると、同情すら覚えてしまいます。同時にここまで漢字を仕込んで下さった、小中学校の先生方に改めて感謝してしまいます。

 デンマークの教室でのゆっくり授業へのある種の違和感、同時に日本での小さな子供に対する講義式の授業に対する違和感、改めて考え続けていたのですが、どちらもやはり違和感であることは確かです。両者のいいところを組み合わせた授業というのが、最もよいのでしょうか? またデンマークの学校で自由を尊重するのはよいのですが、規律というものも教えるべきではという感想も抱きました。いつもなぜか対極にあるデンマークと日本、この学校についても両方の真ん中あたりがやはりいいのかもしれません・・・。