デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

デンマークで図書館三昧な日々

2011-08-24 23:09:32 | デンマークのあちこち
 滞在中、暇さえあると図書館に行っていました。今回、史料が集めておかないといけなかったので、日本でまずできるだけめぼしをつけ、デンマークではいくつかの図書館に行っていました。勉強熱心というよりも、行かないと気持ちが焦ってしまい、行っていると気持ちが落ち着くから・・・。

 今回、友人の計らいで初めてロスキレ大学の図書館へ。ロスキレ大学の周りはびっくりするほど何もなく、こういう静かな環境はやっぱりいいなと思いました。夏休みでカフェテリアが閉まり、お昼ご飯を食べるところさえ困る状態ではあるものの、私の通っている大学と違い、こういう環境は勉強するぞ、するしかないし・・・という気持ちにさせてくれます。

 ロスキレ大学の図書館は、安藤忠雄氏が設計したのかなと思わせるようなコンクリートの内装でした。1階は吹き抜けになっていて、2階と地下に本があります。大学の図書館という点では基本的に私の大学と変わらない気がしましたが、その建物に圧倒されました。あれこれ調べ、スーパーのようなかごに本を入れ、地下のコピー機で大量コピーをしたのですが、コピー代が安くて助かりました!バレラップ図書館では1枚2クローネ(30円くらい)もしますが、ロスキレ大学ではその4分の1くらいで、100枚もコピーをするとだいぶ差が出ます。ここでのコピーによって、だいぶ文献が揃いましたし、本当にありがたかったです。

 次に、コペンハーゲンの王立図書館では今回初めてマイクロフィルムを読む、という体験をしました。ここに来るだけで、まずはものすごく高尚な気分になれます。これぞ知の真髄のど真ん中にいるという気分にさせてくれる「西」の部屋のインテリア!部屋は円型で、緑のランプが配置された古くて重厚なデスクが並び、その周りに1冊千ページもあるような厚い本がずらりと収められた本棚があります。その厳かな感じがまるで映画のようで、本当に素敵でした。ここでは主に、国会答弁の一次史料を手に入れました。

 反対にある「東」の部屋、これが今回1970年代初めの新聞を探しに行った部屋なのですが、こちらは打って変わってモダンなガラス張りの部屋で、ずらりと並んだコンピュータに学生達がへばりついています。とはいっても、中には机の上に足を投げ出しているような人もいて、そのあたりは皆さんリラックスムードで調べ物をしているようです。(コーヒー持ち込みもOKです。)その奥に、もうひとつガラスで仕切られた部屋があり、ここでマイクロフィルムをコンピュータ上で読めるようになってました。

 ここには確か4日間通ったのですが、最初の日は機械の操作や記事のコピーのしかたなどでかなりおずおず・・・。しかも、記事の特定ができていなかったので、広範囲に渡ってみることになり、収穫はほぼゼロ・・・。しかし、2日目からは記事の特定もある程度リストを作ることができ、操作も覚え、なんだか調子が出てきたのでした。研究と関係ないけれど、マグレーテ女王の戴冠のころの新聞記事などをちらちらと見つつ、すっかり楽しくなってきてしまい、気づけばその日は、なんと飲まず食わずで7時間も記事を探してしまいました。ほんとわくわく、楽しかったです。

 ここで毎回会う、でっぷりと太った50代中ごろに見えるおじさんや、小柄の丸顔の同じく50代中ごろに見えるおじさん達は、多分研究者なんだろうな、古い新聞記事を探しているということはもしかして歴史家なのかな?それとも専門分野についての歴史的背景を見つけようとしているのかな、などとちょっと想像してみました。言葉を交わすわけではないけれど(私語厳禁な雰囲気)、なんとなく仲間意識を感じてみた私です。

 最後に、一番馴染みのバレラップ図書館ですが、ここはこまぎれの時間のあるとき、インターネットを使う必要があるとき(リポートを1通提出しなくてはならなかったので、ここから送りました)などにちょこちょこ利用させてもらいました。帰国の飛行機が1日延びて時間ができたときも、迷わずここへ・・・。本当に、本当に会員登録をしたかったのですが、外国人で無理なのは残念です。まあ、当たり前だけど・・・。

          

 ここがバレラップ図書館でいつも座らせていただいた、私のお決まりの場所です。本棚を背に、窓に向かって座ると不思議と気持ちが落ち着き、集中ができました。こういう場所、なーんか日本にはないのです。日本だとレイアウトなのか狭さなのか、国民性が違うからか、なんだかここまで気持ちが入り込める場所があまりないのですよね。

          

 こちらはバレラップ図書館のカフェテリアで、ジジがキッズ・ミールを食べているところ。各テーブルにバラが飾られ、働いている人達はとてもおだやかで優しく(障害のある人も働いています)、ここもまた気持ちの落ち着くスペースでした。しかも普通のレストランよりも安く、1人でも入りやすく、こういうところも日本にあるといいなと思ったのでした。

 あーあ、本当にデンマークにしばらく住んで、CPRナンバーをもらって、もっと落ち着いてデンマークの図書館に通ってみたいです。日本ではほとんど手にはいらないデンマークの本がそこにはたくさんあって、もっとデンマーク語ができれば、本当にいろいろ読めるのに、と思いました。デンマークの図書館にデンマークの本があるのは当たり前で、おかしなことを言っているように聞こえるでしょうけど、本当にそう思い、後ろ髪を引かれつつ、日本に戻ってきたのでした。慌しかった帰国後、持って帰ってきた史料の整理が、やっと明日あたり終わりそうです。

 

カラフルなデンマークの病院

2010-09-27 22:35:36 | デンマークのあちこち
 夏の滞在中、夫のお母さんが4日ほど入院するというハプニングがありました。Herlevヘアレウという町にあり、珍しく30階近くある(ちょっと階数はうろ覚えですが)、のっぽのビルの病院です。お見舞いに行って、日本との違いにびっくりしましたので、それについて書いてみたいと思います。

 外側から見ると暗い、少し古い感じのするビルなのですが、中に入ると別世界。なんとまあ、カラフルな世界が広がっています。

          

 まずは上の写真がロビーです。多分日本だったら、ホテルのロビーを想像していただくとちょうどいいかと思います。日本にもある、病院にはお決まりの売店、花屋、そしてカフェ・レストランが1階にあるのですが、その広さに驚き、そしてライトなどのインテリアは知らなければ病院だとは気づかないかわいらしさです。ここのカフェ・レストランはなんとアルコールが飲めます。よく考えてみたら別に病院でアルコールを出していけないという理由も思いつかないのですが、日本では飲めない患者さんに気遣ってか、病院でのアルコールは考えられないですよね?(もしかしたら、他のヨーロッパの病院も飲めるかもしれませんね。)

 次にエレベーターホールです。カラフルでしょう?

          

 こちらはトイレです。エレベータもですが、トイレも美術館のようです。これが病院だなんてびっくり仰天だけれど、ちょっと張り切りすぎている気もしないでもないけれど、沈みがちな気持ちになることも多い病院です。このくらい、元気と明るさに溢れているくらいのほうがいいのかもしれません。

          

           

 各階ごとに専門が決まっており、義母の入院しているフロアは泌尿科です。エレベータの中はデジタルの文字で案内が出て、わかりやすくなっています。エレベータを降りると、また上の写真のように色・色・色です。

 そして廊下には共同の食べ物のコーナーがあります。ここにあるものは、飲み物はコーヒー、紅茶、そしてジュース、水などがあり、食べ物は果物やちょっとしたケーキなどです。これは入院している人がいつでも好きなように取って食べることができます。食事の時間は決められていますが、こうしてちょっとしたものを食べられること、特におやつの時間にはケーキなどが山盛りで出てくるところなど、非常に自由です。コーヒーは日本の病室ではあまりお目見えしないような気がしますが、デンマーク人にはたとえ入院中でも欠かせないもののようです。ここにはお皿や紙コップ、スプーンなどがそろっており、患者たちは自分のコップなどをわざわざ持ってこなくてもいいようになっています。
       
 
          

          
          お見舞いで来た人も食べていいのかな?まあ、コーヒーくらいはいいでしょうけどね。

 ここの隣には入院しているときに着る丈の短いドレス型のパジャマなども置いてあり、自由に着替えられるようになっています。このパジャマを着ても、自分で持ってきたパジャマを着てもどちらでもいいそうです。患者たちが清潔なものを着られること、それを自分で準備したり洗濯したりしなくてもいいことは、便利ですね。

 そして、病室の中に入ると、まずはその明るさにびっくりしました。のっぽのビルだけあって、見晴らしが特別にいいだけでなく、窓が天井から床まであり、本当に病室であることを忘れるほど気持ちのいい部屋になっています。とはいうものの、病室に必要なあれこれはあり、ホテルのようにはいかないのですが、気持ちが和む明るさであることは確かです。そして、病室もたくさんの色で溢れています。色は人に元気を与えてくれるものなので、日本の病院のような殺風景なのはちょっとさみしいと私は思ってしまいます。

 もうひとつ、ちょっとさみしいことはデンマークの病室にはテレビがないことです。入院中、本や雑誌もいいけれど、テレビも見たいなどと思うのは日本人だけなのでしょうか?読んだり書いたりしない人は、テレビが救いになるのではと思うのですが。デンマークではテレビは廊下のコーナーにソファとテレビのあるスペースがあり、そこで共同で見ることができます。

          

 私たちがお見舞いに行っていたときに、ちょうど看護師さんが何かの検査に来たのですが、彼女がどっかりと義母のベッドに腰掛けて、話しかけたり注射をしたりしているのを見て、面白いなと思いました。彼女たちはとてもフレンドリーでリラックスしている感じで、かろうじて服装で看護師さんだとわかるけれど、立ち居振る舞いは私たち一般人と変わらない雰囲気です。(日本の看護師さんはもっときりっ!としていて、たとえ白衣がなくても雰囲気からして違う気がする・・・。)

 とにかく和やかで、明るい、よい印象のデンマークの病院訪問でしたが、ひとつだけ気になったのがナースコールでした。私たちのお見舞い中、しばしば耳障りなナースコールの音が鳴り続いていました。義母によると、それはトイレに入っている人からのナースコールだそうですが、とにかく鳴り止まないのです。ナースステーションには看護師さんが座っているけれど、立ち上がる様子がなくて、コーヒーを飲んでる・・・。鳴り止まないナースコールに私はだんだん落ち着かなくなってきましたが、鳴り止む様子はなく・・・。

 後日、友人に聞いたら、デンマークでは自分の担当患者がきっちり決まっていて、自分の患者でなければ、ナースコールがあっても駆けつけなくていいそうです。たとえ自分の患者であったとしても、休憩時間であれば、それもまた駆けつけなくていいそうです。えー、えー、そうなの?と思ってしまいましたが、確かにデンマーク人の論理には合っている気がして、合点がいかないわけではないのですが、それにしたって・・・。もしこれが義母が苦しんでいて鳴らしているナースコールだったら、と考えると悲しくなってしまいました。痛かったり苦しんでいる人、その人にできるだけ早く手を差し伸べるのが、看護師だからではなくて、人として自然な行為だと思うのですが・・・。もし本当にそうだとしたら、いくら個人主義の国とはいえ、どういうふうに解釈したらいいのかしら?とこちらもかなりびっくりなデンマークの病院体験でした。

          
           

デンマークへの里帰り

2010-08-19 23:46:22 | デンマークのあちこち
 デンマークから戻り、やっと落ち着きを取り戻した今日このごろです。というよりも、朝から晩まで子ども達に怒りまくり、そのせいか昨日から偏頭痛が・・・。今日近所の鍼と整体のところに行って、すっきり治してもらってきました。(鍼ってすごい!)

 今回のデンマーク滞在は2週間ほどで、その後はタイ経由でタイに4泊して戻ってきました。デンマークでは夫の母が急に入院などということもあり、2週間は本当にあっという間。やり残したこと、行けなかったところ、会えなかった人など、ちょっぴり残念でした。

 行ってすぐにショウミーの9才の誕生日があり、その日はバッケンという遊園地へ。おばあちゃん、おじさんも一緒に遊園地に行き、半日過ごしました。その後は母の入院もありましたが、幸い薬が効いて痛みが少し引き、家に戻ってこられたのでよかったです。私たちはコペンハーゲンに行ったり、夫のいとこの40歳の誕生会に参加したり、夫の友人とバーベキューをしたり、恒例?のおすしパーティーを開いたりしました。おすしパーティーではなんと全部で16-7人になりましたが、各自で握ってもらうので、意外と楽・・・。これまでスイスに赴任していた家族が去年デンマークに戻り、久々に再開してお喋りに花が咲いたのも楽しかったです。

 今年こそバイキングの船に乗るぞ!とロスキレミュージアムにも行きましたが、強風で船は出ず、初めて観光用2階建てバスに乗るも、友達の子どもが途中で気分が悪くなり、一部残して途中下車(でもこのバスはすごく楽しいです)、コペンハーゲンの海のプールIslands Bryggeに行くも寒くて泳げず、などという残念シリーズもありましたが、でもおおむね楽しく過ごしてきました。

 そして、一方で今回のメインは図書館通い。大学院ではビリの私、文献を読むのにものすごく時間がかかりそうなので、1年生の今のうちから本を探しておかなくてはなりません。また必要な一次史料も見つけなくては、と右往左往してきました。結果としてどれほど有用な史料を見つけられたかは疑問ですが、図書館はなかなか印象的だったので、そのうちぜひその印象についてブログで書いてみたいと思います。

 この図書館通いでかなりの時間が取られ、なかなか本腰を入れてデンマークでは遊べなかったのが残念です。でもその分、タイではしっかり羽を伸ばしてきましたが・・・。それもまた今度書きたいと思います。

          
          夫の従妹の40歳の誕生会

          
          日本の5円玉を入れたら動いちゃったそうです。やけに嬉しそう・・・。
          お店の方、すみませんでした。

          
          バッケンはやっぱりこれでしょ!知らない人と水を掛け合います。

          
          終わったあとはこの通り。でも横に巨大ドライヤーがあって乾かせるので大丈夫です。

          
          ロスキレミュージアム

          
          バイキング式に武装するのは重い!

          
          ロスキレミュージアムの裏。ちょっとスペイン風?なゲート。

          
          デンマーク全国を回っているARLIのサーカス

          
          けっこうドキドキもして面白かったです。大人も楽しめました。

          
          ファーモアが買ってくれた、ヒュメルのユニフォーム。
          はりきってタイでもサッカーのとき着ていました。


Zoologisk Museum 動物学博物館

2010-03-06 07:40:43 | デンマークのあちこち
 冬のデンマークでは旅行者が楽しめることは限られてしまいますが、子ども達がとっても楽しめたところがここ、Zoologisk Museum(http://zoologi.snm.ku.dk/) 動物学博物館(と訳すのかな?)です。コペンハーゲン大学の中にあり、動物の生態についての博物館で、屋内で半日楽しく過ごすことができました。

          

 生きている動物はもちろんいいけれど、死んでいる動物たちは動かないので、じっくり見ることができます。はじめ、大学にちょこっとついている博物館かと思ったのですが、中に入ると本当に世界中の動物が見れるんじゃないかというほどの、たくさんの動物たちを見ることができ、とってもお勧めです。各コーナーごとにそれらしく演出されていて、まるで生きているかのように、上手に展示してあります。

 ショウミーと一緒に見ていて驚いたのは、ショウミーがたいていの動物の名前を知っていたことです。いちいち、私に名前や簡単な解説をしてくれ、ちょっとした先生のよう。親の知らないうちに、子どもって興味のあることはどんどん吸収しているのだなと思いました。子どもにあれこれ教えてもらいながら、いよいよ、これからショウミーはだんだん独自のショウミーになっていくのだなと、私は違うことにちょっと感動していましたが・・・。

          
          ワークショップやお絵かきなどができる部屋

 見終わってから中のレストランでランチ。子どものランチを頼んだら、なんだか動物の餌に見えてしまいました。でも、ジジはお気に入りのものばかりが乗っていたようで、喜んでぱくぱく食べていました。そういえば、上野動物園にも確かゴリラが食べるもののランチパックか何かがあって、そのときもショウミーは喜んで食べていたっけ・・・。

 隣の部屋はお弁当を持ってきた人が自由に食べられるようになっていたので、高いお金を払っていつもと同じオープンサンド Smoer broedだったので、こんなんだったらお弁当をもってくればよかったなぁとちょっと思ったのでした。(観光で滞在している方も、スーパーに寄って、パンとチーズやハムなど食べたいものを仕入れていくといいかもしれません。)

          

 

サマーハウス4日目 スナボーSoederborgへ

2009-12-18 03:01:04 | デンマークのあちこち
 7月28日火曜日、サマーハウス4日目は盛りだくさんでした。まずは、スナボーに行き(サマーハウスのある町から行くと都会に見える)、この地域の確か3大ミュージアムのひとつ、大きな煙突が目印の屋根の瓦工場見学に行きました。ここは景色はよかったけれど、現在は稼動していない工場で、かといってさまざまな展示があるわけでもなく、どうしてここがマストだという博物館なのか、不思議~な気持ちで早々に切り上げました。

          

          
          子ども達はお庭で虫やカニ取り。
          ショウミーが持っているのが小さなかわいい蛙

 次は子ども達が楽しみにしていたホステルへ。ここはダンホステルDanhostelといい、家族で泊まれるホステルなのですが(デンマークのあちこちにあります)、お庭を開放していて(有料)、宿泊以外の人でも遊べるようになっています。このスナボーのホステルは「鼻熊(デンマーク語では鼻熊というのですが、日本語では何でしょうね?)」と遊べるというのが売りで、子ども達はそれを楽しみにしていたのでした。

 さて、その鼻熊と遊ぶ時間が決まっているということで、私たちは持参のランチを食べ、そのあと、庭に置かれた卓球台でダブルスとシングルスで試合をして待っていました。盛り上がっている間に、ホステルの人が呼びに来てくれて、いざ鼻熊の柵の中に・・・。子ども達は最初こわごわと座っていましたが、でもだんだん鼻熊に背中に乗られたりして慣れてきたようでした。

          

 子どもたちが楽しんだ後は、次は大人の時間ということで、スナボー城の見学に行くために町に戻ります。スナボー城の前には港があるのですが、着くと、なんだか白と金がまぶしい、ちょっと見たことがないような船が停泊していました。水兵さんが重々しく船のタラップのところで、警護しています。「確か、王室が近くに滞在しているから、王室の船だと思う」と夫が言い出し、船首にデンマーク国旗がはためいているのを見て、納得。近くのグロステン城Graasten Slotに王室の一家が夏の間数週間滞在しているそうで、移動の際は必ずこの船を使うということです。思いがけず初めてこの船を見られてちょっと幸運でした。

          

 スナボー城は現在ミュージアムになっており、中でもクリスチャン2世が幽閉されていた城ですので、その展示の部屋があります。クリスチャン2世は本当にドラマティックな人生を送った王で、1520年、スウェーデンの有力貴族らが多数殺された「ストックホルムの虐殺」などで有名ですが、貴族を憎み、市民を中心とするオランダ流の国作りを目指していたクリスチャン2世は、最終的には1532年、おじのフレゼリク1世により、17年間もこのスナボー城に幽閉されてしまいます。

 幽閉されたクリスチャン2世は狭い部屋の中であまりにも退屈で、テーブルの周りをぐるぐる回っており、その際、テーブルに親指の爪で傷をつけ、それが長い年月に深い溝となったという伝説があり、そのテーブルが展示されていました。真偽のほどはわかりませんが、一度見てみたかったので、なるほど、これかと思いました。思っていたより小さなテーブルでしたが、溝は思っていたよりも深かったです。

          

 このミュージアムは他にもこのスナユランの歴史や、デンマークの参加した戦争の歴史の展示が行われています。私にとっては受験のために何度も勉強したあたりの展示、たとえば、スカムリングの丘の集会や自由憲法を求めて市民達が行進した1848年のカシーノ劇場への行進、1949年の憲法制定のための議会の絵などが展示してあり、なるほど、こういう感じだったのねと思いました。もっとその雰囲気に浸ってみたかったのですが、ちょうど閉館時間となり、最後の第二次世界大戦に至るまでの戦争の展示は駆け足で通り過ぎることになってしまい、本当に残念でした。

          
          スカムリングの丘集会

 そして、閉館時間と同時にその日始まったのが、Ringrindningリングレーニングというもので、中世の時代からの騎士達のスポーツというようなものでしょうか、走っている馬上から槍の先で、吊るされているリングを取るというものです。日本にも流鏑馬がありますが、それに共通しているものだと思います。

 けっこう間近でぎりぎりのところで見学するので、始まりを告げるラッパの音の後、馬の走る音と巻き起こる風とともに騎士(の格好をした人)達がするどい目つきでリングを見つめている様はどきどきします。そして、チャリンという金属音とともに騎士がリング取りに成功すると、観客達が拍手をするのでした。この騎士達はおじいちゃんからおじさん、若い娘さん達の4人で構成されており、彼らはこの伝統を引き継いでいるファミリーだそうです。ときどき練習して、この夏の数回のイベントに備えているのかな?

          

 デンマークの夏の楽しいところは、こうしたイベントが町々で開催されることです。そんなに大規模ではないけれど、観光客を十分に楽しませてくれるイベントがあちこちで開催され、ごく気軽に、ふらりと参加することができます。こういうところは、人口が多すぎる日本では難しいでしょうね。その代わり、もっと大々的なイベントができるのかもしれませんが・・・。

 帰りはアイスクリームを食べて、一日を満喫した気持ちでサマーハウスに戻った4日目でした。

          
          スナボーの町並み。翌日行くドイツのフレンズボーと似ています。

 

 

サマーハウス3日目 Nordborgへ

2009-12-18 01:57:07 | デンマークのあちこち
 朝、テンションの低いジジの写真です。

 サマーハウス3日目の月曜日、朝食の後、サマーハウスのあるEgensundから40キロくらいのNordborgノーボーに行きました。陸続きのアルス島の一番北のほうにある町です。

          

 ちょうどそこでフリーマーケットをやっていたので、まずはお買い物。お買い物大好きなジジはさっさと欲しいもの、大きなトラのフィギュアを見つけ、購入。(値段は10クローネくらいだったかな?)ジジは本当に買い物が好きなようで、すぐ、これ買わない?これいいんじゃない?とあれこれ私にも持ってきます。でも残念ながら、ジジ以外の3人は欲しいものは見つからず、戦利品はなしでした。

          
          かわいいクリスマスの袋に入れてもらって嬉しいジジ

          
          大のお気に入りのトラ。食事のときもしばらく一緒でした。

 すっかり買い物づいたジジと何か買いたいショウミーは、次に町の本屋さんに行き、『世界の怪物』という本を発見。ドラキュラやゴジラや伝説のなんとかウルフなどが登場、そして日本からはモスラーが参加しています。その本を「どうしても欲しい。これでデンマーク語の勉強するから(もちろん嘘)」と言い、二人でお金を出し合って買っていました・・・。

 次に町にあるお城、ノーボー城Nordborg Slotへ。お城というよりはマナーハウスといったほうが、しっくりくるかもしれませんが、池や林、なだらかな散歩道などを携えた広い土地にお城があり、私たちはそこのお庭で持参したランチを食べました。このように、どういうところでもお弁当を広げられて、しかも人が少ないのでのんびりできるのは、本当にデンマークの素敵なところだと思います。このお城は今は夜の学校efterskoleとして、地元の人達の学ぶ場として使われています。

          
          Nordborg Slot

 のんびりした半日を過ごした後は、スーパーに寄ってからサマーハウスへ。すぐ近くにプライベートビーチのような、素敵な入り江を見つけて、子どもたちはしばし海で遊びました。サマーハウスらしい、ゆっくりした一日です。

          
          帰って自分の水着を洗うジジ

          


 

スナボー観光 デュボル歴史センター

2009-10-30 07:18:58 | デンマークのあちこち

 スナボーに到着して、まず最初に観光したのがこのデュボル歴史センター Historiecenter Dybboel Bankeです。ここは1864年の第二次スレースヴィ・ホルシュタイン戦争の戦場となった場所で、2ヶ月半あまり防衛線としてここでデンマーク軍はがんばったのですが、プロイセン・オーストリアの総攻撃を受け、陥落して降伏せざるを得なかったのでした。その後、ロンドン会議が行われ、一時は休戦となるも、プロイセン、デンマーク両国は国境をめぐって互いに合意できず、再びプロイセン軍の攻撃を受けることになります。アルス島に上陸したプロイセン軍に対し、デンマーク軍は敗退、プロイセン軍は北上を図り、7月20日、デンマーク軍は降伏、10月30日にウィーン条約を締結しました。

 これによりデンマークは三公爵領(プロイセン、ホルシュタイン、ラウエンブルグ)を失い、国内の充実を目指しての大きな転換期となります。思うに、一般的にどこの国でも、戦争に負けると国内にあったおごり高ぶった考え方が払拭され、国として自己を見つめ直し、より平和的な国力(経済力、人材力、生産力など)を目指すようになるのでしょう。

 デンマークにとってはこの1864年がそういう意味での転換期で大きく取り扱われていますが、この戦争が世界史的にはあまり大きなものではなく、この後に続く、普墺戦争のほうがビスマルクがドイツ統一への道筋を作ったということで、重視されています。

 さて、実際にその戦場だった場所に立ってみると、800人がここで戦死しているものの、やはり当時の戦争が素朴だったことを感じざるを得ませんでした。逆に、20世紀の二つの世界大戦がどんなに悲惨だったか、特に第二次世界大戦がこうした戦場で行われただけでなく、都市などへの攻撃により、多くの一般市民が犠牲者となったことのひどさを、実感しました。昔はこういう切り離された場所で行われていたことに、まだ素朴なものだったと感じたのでした。

          
          掘られた塹壕

          
          スズを使って、当時のやり方で手作りで弾を作れます。

          
          棺も置いてありました。

                  
          当時のパンケーキ作りも体験できます。フライパンが重い!

           
          できあがるとシュガーをたっぷりかけてくれて、あつあつを食べます。
          これが今まで食べたパンケーキの中でもっともおいしかった、という絶品でした。
          今度キャンプでぜひやってみたいです。 

 資料館では映像で当時の説明があったり、写真や軍服などの展示があります。また、すぐ近くにはデュボル・ムレ Dybboel Moelleというこのあたりのシンボルとなっている、大きなミルがあります。今では使われておらず、博物館として19世紀からの戦争の写真が展示してあります。中でも1920年再びこの地域がデンマークに返還され、クリスチャン10世のセレモニーに参加したときの写真や絵が多く展示されていました。

デンジャラス・ツアー

2009-10-14 10:36:47 | デンマークのあちこち
 今年のデンマークのサマーハウスは、ユラン島の最南部に位置するスナボーというところの近くに借りました。去年は最北部のスケーエンだったので、今度は反対です。
 
 今回の1週間は題して「デンジャラス・ツアー」!ちょうどマイケル・ジャクソンが亡くなった直後で、日本では毎日マイケルの画像が流れ、うちの子ども達もすっかりマイケルファンに・・・。やはりマイケルは時代を超えて、世代を超えて、スーパースターなのだと子ども達の興奮する姿を見つつ、ひしひしと感じました。そして、ショウミーのデンマークで迎えた8回目のバースディ、デンマークのスーパーで見つけたソロになってからの5枚組のCDをプレゼントのひとつに贈り、サマーハウスへのドライブではそのCDを聞きまくり、題して「デンジャラス・ツアー」となったわけでした。

 フレデリシアを南下して、約1時間半ほどでスナボーSoenerborgの町に着きます。サマーハウスはスナボーの隣の隣の町、イェーンスンEgernsundにあり、家は60㎡くらいですが、お庭が800㎡くらいあり、遊びきれないほどの広さです。隣の町のブローガーBroager(ちょっとこのカタカナ表記は怪しいです)はスーパーや郵便局などがあり、一番近くの買い物エリアになります。この町の教会は双子の尖塔を持っていて、遠くからでもよく見えて、これがこの町の目印になっていました。

          

          
          今回デンマークに野球セットを持っていって、お庭で存分遊びました。

 いつも通り海の近くに借りたので、ちょこちょこ時間があるときは海へ。とっても静かなプライベートビーチのような海があり、クラゲをよけながら、子ども達は入って遊んでいました。

          
          海へ降りる道

          
          向こう側に見えているのがドイツです。5㎞もなさそうです。

          
          水はいつものように水道水のように透き通っていました。

          
          多分近所のサマーハウスに滞在している、ドイツ人観光客だと思います。

 すっかり遠のいた夏の記憶ですが、これからがんばって、一気にアップしていきたいと思います。

コペンハーゲン市立博物館

2009-09-27 05:52:48 | デンマークのあちこち
 コペンハーゲンにはたくさんの美術館があるのですが、実はあまり訪ねてなかったことに気づき、去年からあれこれ行ってみることにしています。今年の夏、まず訪れたのがコペンハーゲン市立博物館 Koebenhavns Bymuseum です。博物館の建物の前に、コペンハーゲンの昔の町を模型で再現している写真をガイドブックなどで見かけた人も多いと思います。夫と、それから去年デンマークの国会議事堂見学に一緒に行ったトーマスと一緒に行きました。

 この博物館はキルケゴールの著作などが展示されていることでも有名ですが、私が今回一番興味を持ったのは、1807年のコペンハーゲン爆撃の展示でした。当時、ナポレオン戦争で慟哭のときにあったヨーロッパですが、デンマークはできるだけ中立を保とうとしていました。けれども、デンマークの強い海軍が災いし、イギリスがデンマーク艦隊をフランス側に渡さぬよう、デンマークへの無理な要求を行います。イギリス側に入って、海軍をすべてイギリスの指揮下に置くか、あるいは中立を保ち、その代わり艦隊をすべてイギリスに渡すか、という無理な選択を迫るのです。

 そしてこの無理な要求を飲めなかったデンマークは、すでに首都に上陸して備えていたイギリス軍に、1807年9月2日、3日間にもわたる大攻撃を受けたのでした。そのときのコペンハーゲン市民のショックは相当なものだったと想像します。それまで戦争とはどこか離れた場所で行われるものだったのに、いきなり首都を、その当時の最新の武器で攻撃されたのです。よく書店でも1807年についての本を見かけますし、そのときの絵画もたくさん残っています。

          
          瓦礫と化したコペンハーゲンの一部

 この爆撃で完全にイギリスに屈したデンマークは、すべての艦隊とできる限りの商船をイギリスに持っていかれてしまいます(正確には確か戦艦2隻だけ他の場所にあったりして免れました)。また、ドッグ入りしていた戦艦はすべて破壊されました。

 これによってデンマークはフランスと手を結ぶこととなり、本来はナポレオン戦争において中立を望んでいたにもかかわらず、図らずもフランスとともに敗者側になってしまったという、大ターニングポイントになった爆撃でした。(これによって、デンマークはノルウェーを失うことになり、海軍と海上交通も失い、国家は破産し、小国に転落!)

          
          これが当時の最新兵器コングリーヴ火炎砲
          こんなのが燃えて落ちてきたら、怖いです。

          
          わかりにくいのですが、コペンハーゲンが攻撃されているところ

 他の常設展やセクシュアリティについての企画展も楽しみ、博物館を出ると、さっきまでは晴れていたのに、いきなりの雨。隣の広場に並ぶカフェのひとつに入りました。そこで、トーマスの「マリッジカウンセリングのおすすめ」を聞いたので、次はその話を書きますね。




楽しみな夏のデンマーク

2009-03-31 07:02:02 | デンマークのあちこち
 今年の夏のデンマーク滞在がフィックスできました! 

 航空券はブリティッシュ航空のキャンペーンで2月に押さえ、今月はサマーハウスも確定して、これで無事に行けそうです。7月17日から8月10日まで滞在し、サマーハウスはスナボーSoenderborgに借りました。

 スナボーは南ユランのドイツとの国境近くに位置します。去年はユラン半島の最北端の町スケーエンのほうに滞在したので、今度はまるっきり反対のほうになります。

 スナボーには一週間ほど滞在するのですが、今年のテーマは「スレースヴィ・ホルシュタイン巡り」。19世紀中ごろ以降のスレースヴィ・ホルシュタイン問題を今、勉強しているので、今年はそれにゆかりのある町を訪ねてみたいと思っています。スレースヴィ・ホルシュタイン戦争にまつわる博物館なども見つけたので、ぜひそこも行ってみたい!と思っています。ホルシュタインについてはドイツ国境を越えてどこまで行けるかわかりませんが、できれば少しドイツの町も訪ねてみたいです。夫も歴史が好きなので、一緒に今回は19世紀から20世紀前半を見て回るのはとても楽しみです。

 そして子どもたちにはやっぱり海にできれば毎日連れて行ってあげたい。(そう思って、海の近くのサマーハウスを毎年借りています。)それから、友人の勧めてくれたミュージアムDanfoss Universeもよさそうなので、そこにも連れて行ってあげれたらと思っています。

 キラキラと輝く、美しい夏のコペンハーゲンも本当に楽しみです。デンマークの夏の空気そのものが、まず楽しみだし・・・。そして、デンマークの友達の皆さんにも会えることを本当に楽しみにしています。

 どうか、天気のよい夏らしい夏となりますように・・・!