デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

デンマーク【小学校訪問リポート vol.2】

2007-05-28 23:45:39 | デンマークについて
●ランチ●

 算数の授業が終わると、休み時間になりました。この休み時間は子ども達は家から持ってきたフルーツを食べたり、思い思いに校庭に出て遊んだりします。この日は雨が降っていましたが、雨用の上下のスーツを着て、長靴を履いて子ども達は元気に校庭に出て行きました。その後、大幅に時間割を変更して、まだ10時半だというのにいきなりランチタイムになったのでした。

          

 どうやらこの後の音楽の授業を、クラスを半分に分けて行うために、日本風に言うと早弁チームと普通のランチタイムのチームに分かれたようです。でもちょっと10時半というのは早すぎて、この後、子ども達のおなかが早くすいてしまわないかとちょっと心配になりました。

 ランチは先生と一緒に食べます。私たちが座って見ていると、先生の一人が「コーヒーはいかが?」と声をかけてくれ、わざわざ持ってきてくれました。このあたりは非常にカジュアルで、日本のような堅苦しさがなく、会社でも学校でもまるで自分の家のようにくつろいでよいという、デンマークの文化、なのかなと思ったのでした。


●音楽●

次は音楽の時間でした。校庭をぐるりと回って少々離れている建物の2階に音楽室があります。左側にグランドピアノが置いてあり、右側に広くスペースを取った部屋で、私の小学校のときの音楽室のだいたい2倍くらいはありそうな部屋です。担任の先生は音楽の先生に子ども達を引き継いで、退出しました。

そしてまず、先生が子ども達に今日のメニューの説明をしました。先生は私たち見学者を邪魔にするどころか、自己紹介をしてくれ、丁寧に英語で私たちにも説明してくれました。今日は新しい試みをすること、音楽に合わせて好きなように身体を動かし、音楽が止まったら子ども達も止まって2人組を作ったりすること(リトミックのような感じです)、それから4つの音楽を静かに1つずつ聴いて、聞き終わったら紙に聴いたイメージを描いてみることなどでした。ついでに「よかったら参加してもいいわよ」とまで言ってくれたのですが、これは私は辞退させていただきましたが、このあたりでやっと慣れてきたショウミーは参加させてもらいました。

子ども達は音楽に合わせて歩いたり、少々踊ってみたり、あるいは男の子たちはおふざけをしたりしているのですが、初めてということもあり、周りの様子を伺いつつ行っている様子です。もっと自由に踊るかなと思ったのですが、前の子の真似をしているような動きで、こういうところでは意外と日本人の女の子のほうが積極的かもしれないなと思いました。その後、感じたことを絵に描くのですが、これがちょっと面白いことに、やはり皆、同じような絵を描くのです。独創的な男の子もいましたが、女の子たちは皆、音楽を聴いたわりにはかわいい女の子のイラストを描いたりしていました。床に寝転がって、先生のピアノで4つのタイプの音楽を聴くのですが、聴いているときは子ども達はリラックスして音楽にひたっているようでしたが、それをアウトプットとなると、どうしたらいいかわからなくて、他の子どもの真似をしてしまうのかもしれませんね。

          

          

それでもとにかく音や歌の楽しさというのを、子ども達に充分感じてもらえるような授業だったと思いました。感じること、ひたること、身体を音に合わせて動かすこと、また絵でそれを表現すること、そういったことが子ども達にとってエキサイティングなことに違いありません。先生も丁寧に子ども達の絵にコメントをしたりして、音楽を教えるだけでなく、子どもの心を育てているように見受けられました。

そしてショウミーは言葉なくしても溶け込める、この音楽の授業を通して、デンマークの学校を本当に好きになってしまったようでした。算数の授業のときも先生に一緒に机に座っていいのよ、と言われていたのですが、恥ずかしがって入っていけなかったのに、この音楽の授業を境に顔が輝いて、すっかりこの学校の一員のような気持ちになってしまったようでした。

続く


デンマーク【小学校訪問リポート vol.1】

2007-05-23 23:05:10 | デンマークについて

 今回、かねてからの念願がかない、友人の計らいで小学校を訪問することができました。コペンハーゲンから車で20-30分ほどのところにある小学校で、今回はバーネヘーベクラス(幼稚園クラス)を訪ねました。このクラスは正式の小学校の始まる前の1年間のクラスで、いうなれば学習のための準備クラスというところです。6歳から入学することができます。

●朝●

8時からクラスが始まります。皆、登校してくると4つのグループに分かれて座ります。自分の席は決められており、だいたい1グループ4人くらいです。教室の中になぜか4-5人の大人がいて、互いに挨拶をしたり、子どもや大人同士でお喋りをしていたりするので、あら、先生方かしら?と思っていると、それは送り迎えをしてきた親達でした。公立の小学校で送り迎えがあること(低学年のうちでしょうが)、親達が教室の中まで入っていくことに少々驚きを感じました。デンマークでは子どもに「教育を受けさせること」は親の義務であること、しかしながらそれは「学校に行かせる義務」ではないこと、また親が学校の教育内容に関わっていることなどを考え合わせると、親が教室の中に入り込むのはむしろ子どもに積極的に教育を受けさせる姿勢なのかもしれないと思いました。
1クラスには2名の担任の先生がおり(担任と副担任)、両者で一緒に教えたり、2つのグループに分けて一人ずつ先生が付いたりします。でもまず朝は皆でアルファベットの歌を歌い、黒板に書かれた今日の一日の流れを確認します。

●持物、服装●

                    

日本のように一律ではなく、皆が自分の好きなものを持ってきます。カバンはバッグパックですが、皆キャラクターの描かれた形の同じようなものを持っていました。厚みがあって、ナイロン素材のようなものでできており、いくつもの仕切りがあり、うまく収納できるようになっています。筆箱は20センチ×10センチくらいのファスナーがついたもので、これも中で鉛筆や消しゴム、細かいものやはさみなどをうまく収納できるように工夫されています。皆、自分のお気に入りのキャラクターのものを持っているようでした。
そしてかわいらしかったのが、子ども達の足元でした。日本の白い上履きではなく、スコーフス、イェムスコー、つまり普通の室内履きを履いています。デンマークでは暖かくするために家で柔らかい靴を履く習慣があるのですが、そういったものを上履きとして使っていました。女の子達はふわふわの赤いブーツ型のものであったり、スリッパ状のしゃれた室内履きであったりしてとてもかわいらしかったです。男の子ははだしの子もいたりして、皆、自由にしていました。

●算数●

1時間目は算数です。各自ワークブックを持っており、先生の説明を聞いたり、そのワークブックに書き込んだり、色を塗ったりしていきます。一緒にいた友人が解説してくれたのですが、デンマークでは算数の授業であっても、ひたすら算数をやるのではないそうです。デンマーク社会では「話をすること」が重要とされており、相互理解のために、あるいは自己表現としても、話すことが求められるようです。それが学校教育の中でも優先されており、例えばもう少し上の学年だと、英語の試験なども口答試験であったりします。そこで算数の授業の中でも、森の絵が描いてあり、まるで詩の説明でもするかのように、先生がその絵の説明をします。算数の授業とはいえ、デンマーク語の授業の要素も盛り込んでいるのです。
肝心の算数のほうですが、ワークブックの中でちょうど足し算をやっていました。日本ではおはじきなどで計算をしますが、デンマークはもっと効率的です。(ワークブックの中でできれば、わざわざおはじきを購入したりする必要がありませんものね。)
          

サイコロの数字の分だけ、マス目に色を塗っていきます。わからなくならないように、ちゃんと色分けをします。
算数の授業に欠かせないのが色鉛筆というくらい、このワークブックは本当によく色を塗るようになっていました。こうしてゆっくりと色を塗っていくことで、数字に親しみ、数字の感覚を身につけていくのかもしれません。

続く。

一日を二度楽しむ

2007-05-20 22:35:13 | デンマークについて
 デンマークの生活の中で私が羨ましいと思うことは、デンマーク人は一日を前半、後半と分けて使うことができることです。これがデンマークの中で私が最も「豊か」と感じることです。

 デンマークでは普通だいたい4時ごろが帰宅ラッシュです。人によって違うようですが、3時、4時、遅くて5時ごろに仕事が終わります。(ごくたまに2時に終わるという話も聞くことがあります!)春や夏は日が長いので、日本の感覚だと4時に終わるというのはだいたい2時くらいの感覚ではないでしょうか。

 さてその4時ごろに街をうろうろしていると、ものすごい自転車の数に遭遇することになります。あるいは車で走っていると、コペンハーゲン近郊ではしばしば渋滞に巻き込まれます。そうしてスーパーマーケットに行くと、会社帰りの買い物客の長蛇の列となりますので、私などは旅行者ですので、なるべくその時間帯のスーパーマーケットを避けるようにしています。

 デンマークでは4時ごろに仕事を終え、その後の時間をいろいろと楽しむことができます。例えば友人を招いて一緒に夕食を楽しんだり、近くの公園で仲間とピクニックをしたりすることもできます。義母の家の下の芝生では毎日夕方になるとピクニックが始まり、大人たちはゆったり座ってお喋り、子ども達はかなり遅い時間まで歓声を上げて遊んでいるという光景が見られました。またあるとき、友人の子どもの習っている音楽の発表会に招かれたのですが、それも平日の夜、夕食の済んだ時間に行われます。その日のスケジュールは、恐らくどの家庭も5時過ぎごろに食事をスタートし、発表会の始まる7時半には余裕を持って集まれたことと思います。

 仮に皆が4時に仕事を終えるとして、帰宅が4時半となると11時に寝るとしても6時間半あります。このくらいの時間があれば、一日の約3分の1に相当するのではないかと思います。3分の1を仕事、3分の1がプライベート、そして残りの3分の1が睡眠という割合になります。仕事が大切な人生の柱とも思いますが、私にはこのような「自分の、あるいは家族・友人との時間」を持てるデンマーク人のライフスタイルがどうしても羨ましく感じてしまいます。仕事を終えて、庭や周囲の美しい自然の中で、おいしいものを囲んでの家族や友人との楽しい語らいの時間、あるいは何かの活動を行ったり、趣味の時間をゆったり持てることは本当に豊かな、人間らしい人生だと思ってしまいます。

 あと1ヶ月ほどで夏至になり、デンマークの夜はますます長くなります。始めはいつまでたっても暗くならず、明るいうちに眠るのがとても変な感じがしますが、いつしか慣れてしまいます。それよりも日差しの下での夕食やどこかに遊びに出かけられるなど、デンマーク的な「1日を二度楽しむ」幸せなライフスタイルは日の長さが大きく貢献していると思います。この季節、デンマーク人達はひたすら天気のよいことを願いつつ、早く仕事を終えたいに違いないことでしょう。

ルバーブ rabarber

2007-05-19 23:11:06 | デンマークの家具・物・たべもの

 ルバーブはデンマークではポピュラーですが、日本にあまり馴染みのない野菜です。デンマーク語ではrabarber、発音はラバーバとなります。以前、ルバーブはおいしいのよと聞いたのですが、お店で売っているのは赤紫色の太い茎で、一体同調理するのだろう?と不思議でした。茎を食べるので、蕗のようにゆでて、皮をむいてお料理に使うのかしら?などと想像していました。

 デンマーク人の友人にたずねると、茎をスライスして、ジャムにして食べるのよ、甘酸っぱくておいしいわよ、と説明してくれました。そして、ある日、他の友人の家に集まったときに、それを作ってくれたのでした。

 その家の主に、さあ、じゃあ、まずはルバーブを一緒に採ろうと言われて庭に誘われました。なんと彼の家の庭にはルバーブが!知らなければただの葉っぱだと思ってしまったと思います。(それからの私は似たような葉を見ると、ルバーブか?とめくってみるようになりました。)そしてはさみで茎を根元のほうから何本かカットし、収穫しました。

          

 そしてそれを適当にスライスし、ごく少量のお水とたくさんの砂糖で煮込みます。硬いかと思った茎がとろとろのジャムになり、形がなくなったのはびっくりでした。

 デザートとして、ホイップした生クリームとカットした苺を混ぜて食べました(苺はたまたまあったので入れましたが、普通は入れないそうです)。本当に甘くて酸っぱくて、その酸味がこの季節に欠かせない味だなと思いました。暑いくらいの春の夜ごはん時にぴったりの味のデザートでした。デンマークはこのようにしばしば果物をジャム状、コンポート状にして、生クリームやミルクと一緒に食べます。他のお家にお呼ばれしたときには苺のコンポート状のものにミルクをかけて食べるデザートを出していただいたのですが、やさしい味でおいしかったです。

 

デンマークの空

2007-05-19 01:03:59 | デンマークについて

 デンマークから戻り、やっと少し気分的に落ち着いてきました。今回は1ヶ月程の滞在でかれこれ9回目くらいのデンマークでしたが、初めての春の滞在であり、新しい体験もしたことから、また少し新しいデンマークを垣間見れたように思います。これから少しずつ発見や気づいたこと、感じたことなどを書いていきたいと思っています。

 デンマークに着いていつも最初に感じること、それは空気のきれいさかもしれません。冬よりも春や夏のほうがより空気のきれいさを感じるように思います。冬は日本も空気がぴんとしていて、透明感があるからかもしれません。

 ずっと東京に暮らしているので余り気づかなかったのですが、デンマークに行くようになってから、東京の空がくすんでいること、空気には清涼感がないことに気づくようになりました。デンマークの空は青く澄んでいます。雲もしばしばくっきり、浮かぶのです。

 それからデンマークは、飛行機雲がとてもたくさん見られることを今回発見しました。というより、デンマークの飛行機は必ず飛行機雲を作ります。東京の空でも飛行機雲を見られますが、必ずではないように思います。空気中の大気の割合などによるのか、汚染によるのか、調べてみないとわからないのですが、どうもきれいな空気と関連しているように思います。

 デンマークは70年代くらいから環境に力を注ぐようになったようです。そしてそのころから風力発電が始まったのですが、初めてデンマークに私が行った2000年と比べても、かなりくるくる回る風力発電が増えたような気がしました。はじめのころは景観を気にする人たちからの批判もかなり出たようですが、今ではデンマークの象徴的な風景のひとつといえると思います。中には自家用風力発電を持っている人もいるのが、ちょっと驚きです。(ちょうど滞在中ニュースでもやっていたのですが、さすがに自家用となると、周囲の住民の大反対にあったりして白い高い塔のような風力発電を認めてもらえない場合もあるそうです。)

 ショウミーは軽い喘息があるのですが、デンマーク滞在中は全く薬のいらない良好な状態で、こういうこともやはり空気のきれいさに関係しているのだと思います。けれどもなぜかアトピーは非常に悪くなって、慌てて現地のドクターに診てもらったのですが・・・。この通院もちょっと面白い体験だったので、また今度書いてみたいと思います。