デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

個人主義?自分主義?

2006-07-04 00:40:53 | デンマーク人
 前のブログでキャンプの話を書きましたが、今回のキャンプで夫について改めて発見したことがありました。今までもそんな感じはしていたのですが、ささやかなことがきっかけで、私の中でとてもクリアになり、発見!という気持ちです。

 そのきっかけはリヤカーでした。キャンプ場内の荷物の移動にリヤカーが用意されていて、誰でも自由に使ってよいのですが、使い終わったら必ずすぐに元の位置に戻すことになっていました。夫は荷物を運んだあとは子どもを乗せてあげたりして子ども達は大喜びだったのですが、さて、使い終わった後もそのまま近くに置いておいたのでした。返さなくちゃいけないんだよ、と私は彼が知らないのかと思って一応伝えたのですが、リヤカーは結局一晩そのままになっていました。

 そこでふと思い出したのが、あるとき夫の会社でワークショップがあり、一人のスウェーデン人が来たときの話です。そのスウェーデン人がびっくりしたことに「はい、10分休憩にします。10分後にまた元の席についてくださいね」と言ったら、実際にすべての日本人が10分後には席に戻っていたそうです。夫は「日本人ってパンクチュアルなのはいいけれど、あまりにも融通が利かないんだよねー」というようなことを、このエピソードを私に話してくれたときに言っていました。

 さて、私から見るとこのリヤカーの一件は、夫がいかに日本人と違うかということを顕著に示しているわけです。決められたことを守る日本人に対して、個人が快適であることや個人の自由意志のもとに行動するデンマーク人。ちなみにキャンプに一緒に行っていた友人の元パートナーはブラジル人だったのですが、友人もリヤカーと夫を見ていて、やっぱりこのあたりが日本人とは違うんだよね、と言っていました。きっとブラジル人も然りなのでしょう。

 これが我が家庭内において、大小さまざまな対立を生むことになるのです。例を挙げると、
1.私の友人が家に遊びに来たときに、夫は一人でコンピュータをやっていたりする。私は輪に入って欲しいと思うけれど、彼は私の友人だから無理に入らなくてもいいでしょうと言う。
2.本当はNOだけど状況で仕方なく相手に合わせて行動する私を、馬鹿じゃないの、嫌ならやめればいい、それだけだ、と夫は割り切る。
3.どんなに悪趣味な服装をしていても、それを私が指摘してあげても一向に聞き入れない。私は夫にそれは似合わないと言われたら買う気を失くすのだけど、夫は私に100万回けなされているシャツを平気で着て、妙にぴったりした私以外の女性が見たら嫌な気になるに違いない水着もこれまた平然と着続ける。そのくせ私が黒い服を買おうとすると「えー、また黒?」と文句を言う。

 2に関しては私もなるべくNOと言いたいと思いつつ、いろいろな事情や前後を考え合わせると彼のように簡単にNOとは言えなかったりするのですが、確かになるべく夫を見習いたいとは思っています。
 でも自分の基準だけでなく、他人の基準に合わせることも私はやはり大切なことではないかと思うのです。
 3についてはもうあきらめていますが・・・。

 デンマーク全体として考えたときは、デンマーク人の夫のこういった個人主義、自分の意思を大切にするところはやはりいいことだと認めています。まず個人を大切にするところから発したさまざまな枠組みは、きちんと理由があり、しかも効率的で本質に基づいており、認めるというよりも羨ましく思うところです。日本人にはこのあたりのことが欠けていると常々気づかされます。

 でも、逆にこの日本人の全体主義、他人主義が何もかも滞りなく進む社会を作り上げていることも確かです。同時に日本的な優しさや配慮であったり、正直さでもあるわけですので、あながち、すべて悪いとは言えないのです。

 もちろん人によって違うことは大前提ですが、デンマーク人と日本人は、けっこうこういった考え方の出発点が対極です。自立を重んじ、自分の頭で考えて意見を言うことを重視しているデンマーク的な考え方。何もかも他人を基準とすることが多く、皆同様ということを重んじる日本的な考え方。両者の真ん中あたりが、もしかしたらもっともいいのかもしれません。

 私の子ども達は夫から、そして私から、いいところを学んでいって欲しいと思います。デンマークの長所と日本の長所、それをうまくミックスできたら、それこそがハーフの子どもゆえの2つの文化を持つ利点になると期待していますが、どうなりますか。ショウミーとジジ、2人いるのでどちらかがまるっきりデンマーク人、もう一方がまるっきり日本人になってしまったりして・・・。