デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

デンマークの子育てと反抗期

2008-11-26 15:13:50 | ハーフの子どもの教育
 幼稚園で私たち役員企画の最期のレクチャーが「子どもの性格」についてでした。その中で反抗期が実は3回あるとのことで、1回目は2―4歳、2回目は7-9歳、そして3回目が通常第二反抗期といわれる14-16歳だそうです。

 反抗期は小さいうちは手に負えるとして、やはり14歳ごろの反抗期は親にとって恐怖。多少の反抗はあるにせよ、無視、家庭内暴力、家庭崩壊、部屋への引きこもり、非行、ドラッグや喧嘩などなど、想像するだけで途方に暮れてしまいます。

 でも子どもによって、この反抗期がある子とない子がいるのも確か。昔から何が違うのかなと不思議に思っていました。きっとそれまでの育て方がそこでひどい反抗をする子になるか、しない子になるかが決まるのかなと考えていました。親がきちんと躾けていれば、常識を超えるような反抗はしないんじゃないかな、と。

 夫は反抗期がなかったといいます。夫の周りでも、ひどい反抗をしているような子はいなかったようです。私と夫は同世代なので、どうしてデンマークの子どもは反抗する子が少なくて、日本の子は多いんだろうかということも、もうひとつ不思議に思っていました(現在のデンマークの子どもはどうかは分かりませんが)。

 さて、このレクチャーの中で、講師の方が言っていたのが、反抗は成長の表れ、その子が自分というものを持ち、意見を持ったときに、「親のその考えはおかしいんじゃないか」と思い反抗するということでした。それを聞いて、まさにぴんと来たのが、デンマーク流の子育てでは反抗のしようがないのではないか、ということです。

 以前も書きましたが、デンマークではごく小さいときから、親は子どもを一人の人格として扱い、頭ごなしではなくきちんと説明して何かを教えていきます。なぜそれがいけないのか、なぜ今そうしなくてはならないのか、そうしたことを言葉で懇々と説明していきます。そして子どもに「どう思うか」「どうしたいのか」というようなことも、きちんと言葉で説明させます。こうしたことの積み重ねで子どもが大きくなれば、反抗期などあるわけがないと思いました。

 友人のデンマーク人も、ティーンエイジャーの自分の子どもと向き合うときには、一人の大人として扱っています。頭ごなしではなく、きちんと話し合い、ときには親のほうが譲歩する、子どものプライバシーには踏みこまないというような態度で接していました。

 子どもがしたいことを最大限認め、自分より愚かな者としてではなく、対等に公平に渡り合おうとする子育てであれば、子どもは親に反抗する材料がなく、あるのは意見の違いなのだと思います。もちろんその違いから発展して、親子が衝突して子どもが反抗的になることはデンマークにだってないわけがないのですが、日本ほどの言葉の、あるいは身体の暴力的なものまでには至らないのだと思います。

 日本はどうでしょう。親は根拠のない命令、自分と子どもの無意識のうちの同化、親が自分本位の子育てをしているのではないでしょうか?そういう親ならば、いつか子どもが論理的に自己主張したくてもできず、親に対して、過度な反抗という手に出るしかないのかもしれません。

 とはいえ、14歳あたりが大人への入り口として微妙な年齢であることは、きっと世界共通で、デンマークだって他の国だって、それなりの問題はいっぱいあることでしょう。でも、私も一人の親として、子どもにフェアに向き合うこと、きちんと話し合うこと、自分の子どもであっても他者であることを忘れないことなど、これからの子育ての中で、こういうところは個人主義のデンマーク流子育てを見習っていきたいとレクチャーを聞いて思ったのでした。(そうしたら、うちの子ども達はひどい反抗期はないかな?・・・ああ、ほんとにありませんように!!)

スケーエン滞在 その⑪ <写真集>

2008-11-17 17:13:55 | デンマークのあちこち
          

          私たちがオールベックで借りた家。スーパーが目の前!

          
          オールベックで見かけた車椅子付き自転車。
          クリスチャニアバイクといい、デンマーク人はどんどん
          オリジナルな自転車を作っちゃうのかな?

          
          同じくオールベックにある、ベルギービールの
          テイスティングのできるレストランカフェ。
          ビールはすごくおいしかったけど、一気に飲んじゃうのと
          少々強めなのとで酔っ払う!

          
          帰る前日はサイクリングへ。
          デンマークの自転車はサドルは固く、ブレーキは足で
          逆方向に動かして、自転車を停めます。
          うーん、ちょっと慣れなくて怖かった!
          ちょうど日食で、途中で会った見知らぬおばさんが「太陽を
          見てみる?」と黒い板を差し出してくれました。

          
          自転車で最後は海へ。最後の一泳ぎ。
          どこまでも遠浅です。

          
          これがデンマーク最古の燈台

スケーエン滞在 その⑩ <サンセット>

2008-11-17 16:58:29 | デンマークのあちこち
 スケーエンはサンセットが有名。私達もぜひ見に行こうとはりきって、ある夕暮れ(といっても19時半すぎ)にグレネンに行ってみました。バスの発着所にあるカフェで、ワインを飲みながら、日が暮れるのを待ちました。

          
 
          

 他にも観光客がいましたが、有名というわりにはにぎわってはおらず、何か変。それでも淡い色合いの夕暮れの空は趣があり、寒さに耐えつつ、サンセットを見守りました。まあ、誰もいないグレネンの先端部分を見るのは、それなりに静かで素敵でした。

 そして、その翌日、なんと間違っていたことに気づきました。有名なサンセットスポットはその先端部分ではなく、ガメルスケーエン(オールドスケーエン)のほうでした!

 早速その日の日没前に行ってみると、こちらのほうはもう車も停められないほど、道にぎっしり駐車してあり、ぞろぞろ海岸に向かって人々が歩いています。やっぱりこっちだったのね、と言いつつ、かなり遠いところに駐車し、海岸まで歩いて行きました。       

 こちらのほうは高級なエリアで、素敵なレストランや宿があります。黄色い壁の住宅が段々になって並んでおり、雰囲気のあるいい感じです。子連れにはちょっと向きませんが、熟年夫婦がスケーエンに滞在するなら、このガメルスケーエンは落ち着いていてお勧めです。

          
          ぞろぞろと海岸に集まる人々

 いよいよサンセットが始まると、みんな思い思いに座り、寒さに互いにくっつきながら見ています。太陽が沈むのは意外と早く、見ている間にどんどん地平線にくっつき、潜っていきます。そうしてあっという間に地平線から姿を消し、あたりがピンク色の光に包まれると、いっせいに観光客達から拍手が起こりました。まさに、何よりも感動する、自然の舞台です。ただ普通の舞台と違うのは、普通は終わると高揚感があるものですが、このサンセットの舞台はいつもなんだか物悲しいんですよね。見るたびに心にぽっかり穴が空いたような気分になるのは、私だけなのでしょうか???

          


スケーエン滞在 その⑨ <自然史博物館>

2008-11-15 08:25:17 | デンマークのあちこち

 すっかりスケーエンの「砂」に日々驚き、魅了された夫と私。「どこかにこういう砂のことをもっと説明してくれる博物館があればいいのにね」とグレネンに向かう車の中で話し合っていたちょうどそのとき、「え、あれは!?」と見つけたのがNaturhistorisk Museum 自然史博物館の看板でした。急遽、右折して飛んでいったのですが、残念ながらその時間は閉まっており、改めて翌日来ることにしました。

 さて、翌日、高鳴る胸を押さえて、その黄色いかわいらしい建物の博物館へ。なんだか子どものような気持ちで、こんなにわくわくしながら入るのは初めてかもしれません。

 中に入ると、このあたりで見つかったという動物や鳥などの剥製が展示され、同じく興奮する子ども達と一緒に一通り見て、次へ。次の部屋は、氷河期から時代ごとに区切って、その時代ごとに(といっても一時代が何千年もあったりする)当時の様子を再現し、マンモスや人の骨、化石などが展示されています。だいぶ地形も変わっており、説明とともに地図も添えられていました。

          

 いろいろな石も集められています。その石がどこから来たのか、例えば今のスウェーデンやノルウェーなど、あちこちから氷河とともに運ばれてきていて、どこの石かによって模様が違い、重さも違うなどということがわかりやすく展示されています。

          

          

 黒い砂と白い砂は重さが違う、ということで、樽に入った砂を磁石で黒と白に分けて、天秤にかけて量る→そしてその砂を顕微鏡で見てみる、などという展示もありました。子ども達は砂が大好きで、参加型のこの展示にはかなり楽しそうでした。

 さて、ここからが夫と私にとっての本番、「砂について」です。まずは地図とともに、スケーエンの地形の変化を目で確認、今のスケーエンのホイップクリームのような先端部分は、だいたい300年前くらいにできあがったそうです。

 次に、内陸で砂が移動することによって、砂丘ができたり、教会が砂に埋まってしまったり、木が傷み枯れてしまったり、あるいは木々や建物そのものが砂に飲み込まれてしまったり、ということが起きるわけですが、それがなぜ起きたかという展示を見ました。もちろんこれは自然のなした業、あるいは自然災害でもあるのですが、一方で人災の面もありました。このあたりでよく見かけるあまり見かけのよくない草がありますが、昔、人々は農地にしたり、牧畜のためにこの草を刈り取りました。そして新たに違う作物などを植えようとしたわけですが、ことごとく砂にやられてだめになってしまったようです。そして草がないことによって、砂がもっと移動することになり、被害が広がったのです。その後、それに気づいて、1800年代くらいから人々はまたこのもとからあった草を植え始めました。
          
          「砂との戦い」草が植えられたところ

          
          草を奥深く植え込むために、昔から使われていた道具

          
          当時、植えられた草

 スケーエンをあちこち見ていると、明るい素敵な観光地やビーチであることとともに、本当に砂との闘いであることを肌で感じますが、展示を見て、改めてこの地とともに生きてきた人々の強い思いを感じました。

 さて、この博物館、実は個人の所有です。入り口にいた入場料を受け取るおじさんが、実はこの博物館の所有者であり、個人の収集したものを、また彼の研究をここに展示し、公開しているというわけです。その収集力のすごさとともに、展示されているものをすべて(まあ、何かを発注したということはあるでしょうけど)、彼が手づくりしたという情熱のすごさ、研究者気質を本当に素晴らしいと思ってしまいました。彼は夏が終わるとグループでこのあたりの調査を行い、また必要なところに植林するというプロジェクトも行っているそうです。

 砂についての展示とともに、彼の人生に深く感銘、何かを楽しい気持ちで追求していくことのすばらしさ、そしてそれがごく自然に自分のできることとして周りに貢献していることのすばらしさをも見せてもらった気がしました。

 帰りがけ、これまた手づくりの素朴なミュージアムショップコーナーで、何か買いたいなと思って見ていたところ、ドアに貼ってあるこの博物館や鳥、このあたりの植物などを描いたポスターを発見、それを3種類買うことにしました。すると、なんと絵はプロの人に描いてもらったそうですが、印刷のときに色をつけると高くなるので、色は後から絵の具で自分でつけているとのこと。どこまでも手づくりで、ほほえましい博物館でした。   

          
          これがそのスケーエンを守る大事な草です。  

スケーエン滞在 その⑧ <ドイツ軍のバンカー>

2008-11-14 16:16:04 | デンマークのあちこち
 滞在していたオールベックのちょうど反対側にある港町、Hirtshalsヒヤツハルスに行ってみました。町としてはごく普通の漁港のある町でしたが、ここでこれまで見たことのないほどの、ものすごい、ものすごい数のてんとう虫と遭遇。海辺の野原の葉という葉に、びっしり、文字通り鈴なりになっているてんとう虫。町中ではさすがに数が少なく、子ども達がかわいいと追いかけていたのですが、港へ続く坂を降りていくほどにだんだん数が増え、海辺では信じられない数となっていました。壁にてんとう虫がぎっしりはりついており、またそれが飛んで当たるとちくちくと痛いのです。あんな経験、初めてしました・・・。

 さてそのヒヤツハルツのすぐ隣の町がTornbyトーンブーで、夫が行ってみたかったドイツ軍のバンカー(掩蔽壕えんぺいごう)に立ち寄りました。現在はそこがミュージアムとして管理されています。駐車場に車を停めると、灯台があり、それがバンカーの入り口です。

          

 灯台の向こう側に出ると、一見よくわからないのですが、少し歩いていくとコンクリートで作られたバンカーが見え始めます。ここには確か50-60のバンカーが作られており、第二次世界大戦中はドイツ軍がここに進駐していました。バンカーには小窓がついていて、地上にあったり、地下にあったりしますが、そこから兵士が覗いて監視できるようになっています。また大砲のための小窓などもありました。バンカーにはすべて番号がついており、監視用のほかに資材を置いておくためのバンカーなどもあります。

          

          
          半地下に作られたバンカー。けっこう広い。

 バンカーは基本的には草むらを利用してカモフラージュされています。そして、バンカーとバンカーの間には細い路でつながっており、そこを歩くと空しか見えず、まるで迷路のように迷いそうになります。(閉所恐怖症の私には実はこれはけっこう恐いものでした。)

 やはり実際に見ると物々しくもあり、ここで60年余り前、兵士達が寒くても暑くてもひたすら海を見ていたのか、と私はドイツ兵の気持ちや、ここにバンカーを作られてドイツ人が始終出入りするようになったでだろう町の人たちの想像しようとしてみました。その傍らで、まさに、戦いにはうってつけのこのバンカーと迷路で、大喜びで歓声をあげて、戦いごっこをしているうちの子ども達・・・。逆に複雑な気分になった私でした。

          
          迷路のような路

 反対に海岸側から見ると、下の写真のように、まったく何もないように見えます。

          

 デンマークにはドイツ軍の占領時に作られた、こうしたバンカーが多数残っているようです。最も観光客の多い、先に紹介したグレネンの海にも大きなバンカーが残っていました。今は落書きされ、上に登って若者達が遊んでいました。

                              

 


スケーエン滞在 その⑦ <砂に埋もれた教会>

2008-11-08 07:37:34 | デンマークのあちこち

 次に訪れたのが、砂に埋もれた教会、Den Tilsandede Kirke デンティルサンデーズキアケです。この教会は1400年頃に2つの町の人々が行けるようにと、両方の町の間に作られたゴシックスタイルの教会でした。正式にはSct.Laurentii Kirkeという名前でしたが、今では観光名所となって、砂に埋もれた教会と呼ばれています。

 けれども砂の侵食によって、1795年には教会は閉鎖されてしまいました。そして今ではランドマークとして、塔の部分だけが残されています。

          
          塔の入り口、前面部分。

          

 こちらが後ろから見た塔です。この教会は典型的なゴシックスタイルで、上から見ると十字型の建物でした。前部分が塔、左右に側廊を持ち、そして後方に身廊が広がって、奥部分に祭壇という構成です。その側廊と身廊だった部分を、木の杭で示してあります。その杭を見ると、だいぶ大きな教会だったことがわかりました。

 と同時に、こんな教会を飲み込んでしまった砂というもののすごさを思いました。真っ白い塔の美しい風景ですが、スケーエンでの砂と人々の関わりが「闘い」でもあったのでしょう。

           
          砂で木が枯れてしまうので、絶えず植林しています。

          
          その日の観光を終えて、やっとアイスにありつけたジジ。
          「これでやっと海に行ける~!」

          

スケーエン滞在 その⑥ <Raabjerg Mile 砂丘>

2008-11-08 06:37:40 | デンマークのあちこち

 
 スケーエンは砂の移動のために、そのホイップクリームのような北先端部分の地形が少しずつ変わっています。そしてなんと、陸の部分においても砂が移動していて、その砂が砂丘を築いているのです。それがRaadjerg Mile ロビャーグミーレです。

 ロビャーグミーレのある先端部分は、西のスケーラック海峡側からカテガット海峡側までがだいたい5キロメートルくらいで、その間をスケーラック海峡からカテガット海峡へと砂丘が少しずつ、移動しているのです。

          

 パーキングに車を停め、しばらく細い道を歩きます。このあたりはまだ両側に草がありますが、砂ですでに歩きにくくなっています。

         

 けっこうな急勾配、しかもこの日はとても暑かったので、えっちらおっちら上がっていくのは大変でした。他の人たちは砂丘のふもとの木陰に、サンダルや荷物を置きっぱなしにして登ったりしていました。荷物も置きたくなるほど、本当にきつい砂丘登りでした!

          

 残念ながらこの写真からだとちょっと伝わりにくいのですが、頂上に登るとそれは360度のパノラマで、周囲がすべて見渡せます。遠くに家が見えたり、風車が見えたりしますが、基本的には緑と海の青の風景です。さえぎるものがないので、私の大好きな、大好きなデンマークの風の歌がここではヒュウヒュウと耳元で渦巻いて聞こえます。しばし、目を閉じて風を感じていると、心身ともに洗われて、デンマークのこういう自然は最高としみじみ思ってしまいます。

 そして、西を見ると砂が今まで通ってきた土地があり、そこには低い草が生えてはいますが、大きな木などがありません。砂ですべてやられてしまった感じがよく目で確認できます。一方、これから砂が向かう方向を見ると、家があったりして、この家に住んでいる人たちはどうするのだろうと思いました。

 この砂はこれからも少しずつ移動し(年間15メートルでしたか)、2300年ごろには東のカテガット海に到着するそうです。このロビャーグミーレが一番大きな砂丘なのですが、スケーエンには他にも小さな砂丘がいくつかあるようです。ロビャーグミーレの砂がカテガット海に到着するころには、また新しい砂丘が生まれているのかな?



 

スケーエン滞在 その⑤ <図書館編>

2008-11-04 17:45:21 | デンマークのあちこち

 
 私が買い物をしている間、ちょうど通りかかった図書館で夫と子ども達が本を読みながら待っていました。買い物が終わってから、図書館へ行くと、3人は子どもの本コーナーに。

 色とりどりの本が並び、また絵本などが探しやすいように箱に入れてあったり、階段を上がったところのコーナーをかわいらしく飾ってあったりして、そこは本好きの子どもには楽しい空間です。

 日本の図書館の子どもコーナーも最近はだいぶきれいに、明るくなってきているように思いますが、デンマークのこの子どもコーナーにはちょっと感動してしまいました。かわいい!!(やっぱり色の使い方がデンマークはとてもかわいいです。)

 真ん中に置かれたテーブルでは、そこにいた子ども達があれこれ本のページをめくり、それぞれの世界を楽しんでいました。絵本が広げてくれる世界は、子どももですが、大人もなんだかやわらかい気持ちになりますね。