スナボーに到着して、まず最初に観光したのがこのデュボル歴史センター Historiecenter Dybboel Bankeです。ここは1864年の第二次スレースヴィ・ホルシュタイン戦争の戦場となった場所で、2ヶ月半あまり防衛線としてここでデンマーク軍はがんばったのですが、プロイセン・オーストリアの総攻撃を受け、陥落して降伏せざるを得なかったのでした。その後、ロンドン会議が行われ、一時は休戦となるも、プロイセン、デンマーク両国は国境をめぐって互いに合意できず、再びプロイセン軍の攻撃を受けることになります。アルス島に上陸したプロイセン軍に対し、デンマーク軍は敗退、プロイセン軍は北上を図り、7月20日、デンマーク軍は降伏、10月30日にウィーン条約を締結しました。
これによりデンマークは三公爵領(プロイセン、ホルシュタイン、ラウエンブルグ)を失い、国内の充実を目指しての大きな転換期となります。思うに、一般的にどこの国でも、戦争に負けると国内にあったおごり高ぶった考え方が払拭され、国として自己を見つめ直し、より平和的な国力(経済力、人材力、生産力など)を目指すようになるのでしょう。
デンマークにとってはこの1864年がそういう意味での転換期で大きく取り扱われていますが、この戦争が世界史的にはあまり大きなものではなく、この後に続く、普墺戦争のほうがビスマルクがドイツ統一への道筋を作ったということで、重視されています。
さて、実際にその戦場だった場所に立ってみると、800人がここで戦死しているものの、やはり当時の戦争が素朴だったことを感じざるを得ませんでした。逆に、20世紀の二つの世界大戦がどんなに悲惨だったか、特に第二次世界大戦がこうした戦場で行われただけでなく、都市などへの攻撃により、多くの一般市民が犠牲者となったことのひどさを、実感しました。昔はこういう切り離された場所で行われていたことに、まだ素朴なものだったと感じたのでした。
掘られた塹壕
スズを使って、当時のやり方で手作りで弾を作れます。
棺も置いてありました。
当時のパンケーキ作りも体験できます。フライパンが重い!
できあがるとシュガーをたっぷりかけてくれて、あつあつを食べます。
これが今まで食べたパンケーキの中でもっともおいしかった、という絶品でした。
今度キャンプでぜひやってみたいです。
資料館では映像で当時の説明があったり、写真や軍服などの展示があります。また、すぐ近くにはデュボル・ムレ Dybboel Moelleというこのあたりのシンボルとなっている、大きなミルがあります。今では使われておらず、博物館として19世紀からの戦争の写真が展示してあります。中でも1920年再びこの地域がデンマークに返還され、クリスチャン10世のセレモニーに参加したときの写真や絵が多く展示されていました。