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December 5, 2017
友人宅で、忘年会を兼ねた今年最後の読書会があった。本は、カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』(新潮文庫)。昨日、メンバーの一人の方から電話があり、ご主人様が入院されたとかで欠席されるとの連絡が入った。いつもは別の日に変えるのだが、明日ということもあり、また今年も押し迫ってきているので、残るメンバーで始めることにした。
いつも思うことだが、私たちの読書会の良さは、どなたかが取り上げてくださった本を読めるという喜びである。本書もたぶん自分で本屋で買って読むことはなかったであろう。文庫ではあるが330ページほどの、読みでのある本だった。村上春樹訳の文章は読みやすいが、内容はなかなか難解である。活字に親しんでいないと、この作家の世界に入るのに時間がかかるかもしれないな、と私は思った。今回レポーターになった方の全体像の解説がわかりやすく、感覚で本を読む私にはとても刺激になった。
1部2部3部と別れていて、主人公の12歳の少女がパート毎に名前を変えて登場する。兄の結婚式のメンバーに自分も当然入っているはずだと思い込む少女、結婚式までのアメリカ南部の暑い夏の1週間に、この少女が大人へと変わっていく様を描いている。80歳を過ぎた今の私にとっては、12歳はあまりにも遠い。しかし毎日が変わりなく流れ去っていき、昨日と今日、1週間前の日と今日の区別もつかなくなったような変化のない日常とは全く違った日々を送っていたことは確かだ。あの日を取り戻すことはできないとしても、一冊の本によって幼かった頃を振り返ることはできる。活字を通して得られる楽しみである。「緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき十二歳だった。」という書き出しで始まる本書を、もう1度読み返してみたいという気持ちになった。
画像は、友人のメールから、「冬のバラ」。