私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

『シリアの真実』

2016-11-11 09:12:31 | 日記

November 11, 2016

寒さが厳しくなってきているせいか、私の骨折も一進一退を続けていて、ベッドに横になってラジオを聴いている時間が多い。先日NHKの「深夜便」で、シリア人の男性と結婚した女性カメラマンが、上梓した写真集を中心に、シリアの現実を語っていた。そこで話されていた政府勢力と反政府勢力という言葉の内情を知りたいと思い、何か一冊本を読むことにし、たくさんある中で、国枝正樹『シリアの真実』(朝日文庫)をアマゾンに注文した。

      

シリアについては、高校の世界史の授業で学んだ、悠久の昔からこの地を流れる大河ユーフラテス川が思い浮かぶ。「アラブの春」と呼ばれる、2010年からこの地に繰り広げられた民衆の蜂起とその後の紛争については、絶え間なく報道されている。しかしメディアを通して知らされるニュースは、世界のどこかで起こっている紛争のようにパターン化していく。シリアについて知りたいと思った時、「テレビ・新聞で決して取り上げない」という副題がついていたのでこの本を選んだ。著者の国枝氏は、外務省に入省し、2006年から2010年までシリア大使として勤務し、2010年に退官している。にわかメディアの報道にはないシリアの真実を伝えたいと思われたのだろう。まだ読了はしていないが、この混乱した地域の状況を分りやすく解説されていて、私には参考になり、また興味深い本である。

アラブの春から始まった地殻変動、民衆の蜂起、国際社会の介入、イスラム国の台頭、宗教・宗派(スンニー派とシーア派)の対立、化学兵器など、シリアの内戦という言葉ではくくれない問題がさまざまあり、とても簡単に理解できるものではない。しかも進行形の話である。悪者の象徴のように伝えられているアサド大統領の素顔を少し垣間見れたのも大きな収穫だった。小国であっても、この地域を率いる大統領は、国を維持していくという重い責務を負っている。昨今話題になっているアメリアカの大統領よりははるかに優れた能力を持った人たちではないかと思ったりもする。もちろん独裁や民衆を苦しめる政治は良しとしないが、その国の中に入ってみなければわからないことが多いと、本書は伝えているようだ。現代大統領列伝なんていう本があれば面白いかもしれないが、彼らはその地位を去れば数人の歴史上の人物となる人を除いてすぐに忘れられていく。さてさて、横道にそれずに、今は、シリアの地図を見ながら、この地の抱える問題をゆっくり読み解こうと思う。

画像は、妹のメールから、「サルビアレウカンサ」。ハーブの1種だそうだ。


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