April 21, 2018
以前も図書館を利用することはあったが、70歳を過ぎてからは、特にハードカバーの本は図書館で借りて読んでいる。先日図書館で借りた辻邦生『背教者ユリアヌス』(中公文庫)があまりにも汚いうえに、古い本なので字が小さく、さすがにこれはだめだと思い図書館に返し、私としてはかなりの出費であったが、4巻新しいものを本屋で購入した。図書館に予約してある本は、突然2,3冊が同時に届くことがあり、結局読まずに返してしまい、再度借り直すといったこともある。今回も、だいぶ前に予約してあった、芥川賞受賞作、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)と新聞広告で目にした、松家仁之『光の犬』(新潮社)が同時に届いたというメールを受けて借りてきた。ひとまず『背教者ユリアヌス』は置いておいて、この2冊を読んだ。2冊とも最後まで引っ張ってくれたが、心を惹かれたといった作品ではなかった。ユリアヌスをゆっくり読もう。
松家仁之氏は、編集者を経て、2012年長編小説『火山のふもとで』で読売文学賞を受賞、作家に転じた方だ。以前朝日カルチャーの英語点字講座を受講したときに、女性2人男性2人という少ない受講者の中の男性のお一人が、この本を教えてくださった。今回の本は松家氏の4作目の長編だそうだ。あまり才能があるとは思えない作家の本を読み続けたのは、このご縁があったからだ。1年間の受講が終わって、別の点訳の会に入り、4人はバラバラになってしまったが、あれから10年余、この作家は、楽しかったあの頃の思い出につながる。最近この男性が亡くなられたということを風のうわさで知った。若いころ知り合った友人・知人も壮年を過ぎて知り合った方も、みな年をとりいつか永遠に別れていくのだと思うと、今読みかけたばかりの本『背教者ユリアヌス』の夢の中の老婆の予言に心を動かされたりする。
画像は、図書館の庭で撮った。