私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

必要な虚偽

2014-06-05 22:07:52 | 日記
June 5, 2014

数日前の朝日新聞「天声人語」の文頭で、芥川龍之介が書いた「あらゆる社交はおのずから虚偽を必要とするものである」という言葉を引用していた。日本維新の会の決別に関する話題だった。今日も、それぞれのグループの数合わせがニュースになっていたが、私はこういった政治には最近すっかり興味を失いつつある。これではいけないと思いながらも、現代は、世界中が保守化の傾向が強くて、自分の信念はどこやらに隠して、お行儀よくあたりさわらずなことをいうという時代のようだ。そう考えると、芥川のこの言葉は、今の社会にぴッたリ当てはまりそうだ。

ブログの更新がもたついているうちに時はどんどん過ぎていく、恐ろしいほどの速さで。6月4日は理数点訳の会の例会があり、渋谷あたりの会場まで出かけた。ここもまさしく社交の場であり、私には一番苦手な環境だが、芥川の言葉が頭の隅に残っていたので、皆さんの行動を観察する余裕はできた。私も小さな虚偽を使って例会後のお茶をやめて、若い友人が合唱で参加されるという演奏会のチケットをいただき、早々に帰宅した。この方をみていると、上手にご自分の世界を持っていて、点訳のボランテイアに埋没しない態度を私も見習わせてもらっている。

今日は図書館に本を返して、予約してあった本、アーロン・エルキンズ『葡萄園の骨』(ハヤカワ文庫)を受け取ってきた。エルキンズの「骨」シリーズは、いぜんは文庫本になるとすぐに買って読んでいたが、新作は久しぶりだ。いつもの友人のブログで紹介されていたので、早速予約したら、意外に早く届いた。著者のエルキンズは人類学者だったが、作家デビューし、今やアメリカを代表するミステリ作家である。たしか『水底の骨』という題名のものだったと思うが、モン・サン=ミシェル島の引き潮のときには海に浮かび、満ち潮の時に現れる陸橋を題材にしたミステリが記憶に残っている。なにはともあれ、梅雨に入り、うっとうしい空気の中で、懐かしいミステリ・シリーズの一冊が手にできたことはうれしい。

画像は、友人のメールから「オリエンタルポピー」。赤い色が鮮やかだ。

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