晴れ間の彗星

楽しく生きよう!

木枯し紋次郎2

2009年05月02日 | 書庫の中から
 昨日の続きですが…

 紋次郎は、上州新田郡三日月村の貧しい農家に生まれた。
間引きがあたりまえの時代、紋次郎も両親の承諾のうえ、産婆が間引きの準備をする。その手から姉が奪い取り、一晩逃げ隠れし、翌日、祭礼の朝「今日生まれた子だ」と皆に見せて歩く。祭礼の日に生まれた子は間引く事が出来ない。
 姉に助けられて生きる事を許された紋次郎も、姉が身売りに出されたあと出奔し、無宿渡世への道へとすすむ。
 上州と言えばコンニャクの産地だが、間引きに赤子の口をふさぐのにコンニャクを使ったりする事もあり、紋次郎はどんなに飢えていてもコンニャクは食べられない…。

 旅の途中、紋次郎が生まれた事を一人だけ喜んでくれた姉の死を聞かされ、紋次郎は生きている理由を失う。だが、積極的に死のうとするわけではない。
生きている事も死ぬ事も、どちらも意味のない事だから、ただ今日を生きる。

 信じていた友に裏切られ、島流しにあわされ、からくも脱走し(逃亡者か!)
旅を続ける中で、関わりを持った者にもことごとく騙されかける。他人は、いや肉親であっても信じる事は出来ない。
「あっしには関わりの無い事で…」

 その、どうしようもない虚無感。しかし、それでも他人の思惑の中に巻き込まれてしまうやるせなさ。映画版の文太アニイは凄みがありすぎてちょっと違っていたし。今回の江口洋介アンチャンは、「違うか!」と叫びたい。
 無名の新人をと、中村敦夫を抜擢した市川崑監督に敬意を表します。

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